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Honda Team 2010

鈴鹿8耐 決勝 レポート

July 25, 2010
Honda Racing
  • 表彰式
  • MuSASHi RT HARC-PRO.
  • 高橋巧
  • 清成龍一
  • 高橋巧
  • 伊藤真一
  • 玉田誠
  • 伊藤真一、玉田誠
2010年7月25日(日)

清成/中上/高橋巧組が優勝、2位伊藤/玉田、3位秋吉/レイ/高橋裕紀で 鈴鹿8耐Honda表彰台独占!!

会場:鈴鹿サーキット
天気:晴れ
気温:34.3℃
観客:5万6000人

7月25日(日)に鈴鹿サーキットで「2010 QTEL FIM 世界耐久選手権シリーズ第3戦“コカ・コーラ ゼロ”鈴鹿8時間耐久ロードレース」(以下、鈴鹿8耐)の決勝が行われた。

真夏の祭典「鈴鹿8耐」のレースウイークは、連日の猛暑で最高気温37℃超えが続いている。路面温度は、ピーク時には65℃以上を記録。タイヤサービスのスタッフも「こんな数字を見たことがない」と言うほど。数年前からドーピング違反になるとのことで点滴が禁止されるようになり、ライダーの脱水症状対策は走行後のプールで身体を冷やす、マッサージを受けるなどの対策が取られているが、猛暑の今年は体力回復がキーポイント。事前テストでマシンの耐久性は確認されているが、記録的な暑さに挑むのは初めてとなる。この暑さが8時間の中でマシン、タイヤ、ライダーにどんな影響を及ぼすのか、予測のつかない過酷な戦いが始まった。

今年の鈴鹿8耐で優勝候補に挙げられているチームは、それぞれチームメート同士がほぼ同タイムを記録できるほどバランスがよく、レースウイークを通じて、どのセッションでもハイレベルな戦いが繰り広げられた。酷暑の中でもコンスタントに2分7秒台を記録している#11 F.C.C. TSR Hondaの秋吉耕佑/ジョナサン・レイ、2人とも2分8秒台に入れている#634 MuSASHi RT HARC-PRO.の清成龍一/中上貴晶/高橋巧組、#33 Keihin Kohara Racing Teamの伊藤真一/玉田誠組らがトップ争いに絡むのは必至と見られた。土曜日の最終予選の結果、#11 秋吉/レイは2番、#33 伊藤/玉田は3番、#634 清成/高橋は4番。#2 Honda DREAM RT 桜井ホンダのウェイン・マクスウェル/亀谷長純は6番グリッドから勝利を目指すことになった。

決勝スタート直後のホールショットは、#12 酒井大作(スズキ)が奪う。#11 秋吉はエンジンに火がなかなか入らずスタートが遅れた。さらに後続車と接触しクラッチレバーが外れそうになるダメージを追う。1ラップ目の通過順位は#12 酒井、#48 出口修(スズキ)、#3 浜口俊之(北口浩二/谷誠士郎組、クラウン警備保障RACING)、#1 イゴール・ジャーマン(ヤマハ)、#634 高橋、#33 伊藤、#11 秋吉、#2 亀谷、#999 野田弘樹(関口太郎組、テルル・ハニービーレーシング)、#73 手島雄介(岩田悟組、TEAM PLUS ONE)のオーダー。その後、#634 高橋は一気に3番手に浮上、200Rで2番手にポジションアップしてトップに迫る。さらに#11 秋吉もペースアップし、バックストレッチで#634 高橋をパスして#12 酒井への追撃態勢を整える。#11 秋吉は3ラップ目には2分8秒820を記録、2分9秒台の#12 酒井へと迫る。それを#634 高橋、#33 伊藤が追う。トップ#12 酒井、2番手#11 秋吉は変わらず、3番手争いが激しくなる。#2 亀谷は2台をパスして5番手に浮上。#11 秋吉は2分8秒台を連発して#12 酒井の背後に迫る。

10ラップ目、1コーナーで周回遅れのマシンを利用して#11 秋吉がトップ浮上。12ラップ目には#33 伊藤が#634 高橋を捕らえて3番手に浮上する。ヘアピンで2番手の#12 酒井が転倒するも再スタート、4番手で通過する。#11 秋吉は首位に立ってレースをリード、2分11秒台の危なげない走りで周回を重ねた。2番手争いは接近しており、#33 伊藤、#634 高橋はコンマ差のまま。4番手#12 酒井。5番手には#3 浜口、6番手に#2 亀谷、7番手#48 出口、8番手#73 手島、9番手#999 野田、10番手に#94 デヴィッド・チェカ(ヤマハ)のオーダー。

23ラップ目過ぎ、1回目のルーティンが始まろうとしたころ、#11 秋吉にストップ&ゴーペナルティが出される。チームは通常のルーティンを行い、その後、#11 レイがペナルティを受けるという判断を下してダメージを最小限に抑えようとした。#11 レイはコースイン後すぐにピットインして30秒ストップし、コースインした。

だが、再び11番にストップ&ゴーのペナルティが出された。1度目は1コーナーでの黄旗無視、2回目はデグナーでの黄旗無視。ポジションはトップから10番手へとダウン。30ラップ目、#11 レイはコースに復帰し、追い上げようとした矢先のスプーンで周回遅れと絡んで転倒してしまう。#11 レイは再スタートするもピットインを余儀なくされ、傷ついたマシンの修復にかかった。

レースは#634 清成がトップを走行。それを1秒6差で#33 玉田が追う。3番手#12 加賀山就臣(スズキ)、4番手#2 マクスウェル、#48 安田毅史(スズキ)、#73 岩田、#3 北口、#999 関口が続いた。#634 清成は2分10秒台を連発しながらトップを守る。#33 玉田は2分11秒台。3番手#12 加賀山も2分10秒台で追撃する。#2 マクスウェルも4番手をキープ、#48 安田、#73 岩田がそれぞれ単独走行する。

40ラップ目、#12 加賀山が#33 玉田の背後に迫る。S字で並びかけ逆バンクで#12 加賀山が、#33 玉田を捕らえた。さらに#12 加賀山はペースアップして#634 清成に迫り、その差、1秒2。2度目のルーティンでピットに入った際にポジションが入れ替わる。#12 加賀山は1周早くピットイン、約12秒のピットストップで#12 青木宣篤がコースイン。1周遅れて入った#634 清成から高橋へ、ピットストップが約15秒、ピットアウトでは#634 高橋が前だったが、#12 青木が1コーナーで#634 高橋をパスしてトップに浮上。だが、#634 高橋もペースを落とすことはなく、トップスピードで292q/hを記録する速さを武器に、#12 青木の背後にピタリとつけたまま周回を重ねた。3番手#33 伊藤は2分10秒台にタイムアップするが、#634 高橋との差は約40秒と大きい。

#11 レイは2分10秒台を連発し、シケインでコースアウトまでしながら追い上げて17番手までばん回。バトンタッチした#11 秋吉は2分9秒台のタイムで12番手まで浮上してきた。その後、マシンの微調整のためにイレギュラーでピットインすると、15番手までポジションを落とすが、すぐに2分10秒台にタイムアップして12番手までばん回した。

3度目のルーティン後でトップ#12 酒井、2番手#634 清成との差は7秒487。3番手#33 玉田がアウトラップながら2分11秒台をマーク、82ラップ目には2分10秒台に乗せてトップ争いに迫ろうとするが、その差は大きい。#634 清成は2分9秒台に入れ、ビハインドを削り取ろうとする。だが、先行する#12 酒井も2分9秒台にタイムアップし、約4秒差のまま周回が続いた。スタートから3時間が経過。トップ#12 酒井/青木/加賀山、2番手#634 清成/高橋、3番手#33 伊藤/玉田、4番手#48 出口/安田/児玉、5番手#73 岩田/手島、6番手#999 野田/関口が続いた。

トップ争いは95ラップ目に#634 清成がタイムアップし、その差が1秒を切った。96ラップ目には#12 酒井の真後ろでパッシングポイントを探り、スプーンで首位に立った。その後、#634 清成は2分10秒台をキープしてマージンをジリジリと広げた。#11 秋吉は2分9秒台で周回を重ねて、8番手まで浮上。ピット前の気温は39.2℃と15時を過ぎても下がらず、過酷な戦いが続く。

トップの#634 清成を追う#12 酒井が106ラップ目にS字で転倒、再スタートしてピットに戻る。#634 清成は高橋に交替してトップでコースイン。#33 伊藤が2番手に浮上。#12 酒井は加賀山に交替して3番手で戦列に復帰したが、その後トラブルでピットイン、ポジションを9番手まで落とす。その間に、#11 秋吉が過酷な暑さの中でファステストラップ2分8秒705を記録して、6番手まで浮上する。

5時間が経過、135ラップ目を過ぎてトップは#634 清成/高橋。2番手#33 伊藤/玉田、3番手#48 出口/安田/児玉。4番手#73 岩田/手島、5番手#999 野田/関口、6番手#11 秋吉/レイのオーダー。トップの#634 清成は危なげない走りで2分11秒台をコンスタントに記録しながらトップを快走する。2番手#33 玉田も安定したペースで周回を重ねた。

レースの注目は#11 レイの追い上げ。2分10秒台で4番手#73 岩田に迫っていく。#73 岩田のラップタイムは2分15秒台で、1ラップごとに差がグイグイ詰まっていく。そして遂にS字で#73 岩田を捕らえた#11 レイは4番手に浮上、次のターゲットは3番手を走行する#48 安田。約30秒の差もあっという間に詰め寄り、#48 安田を捕らえた#11 レイは3番手に浮上して表彰台圏内へとばん回する。残り約2時間でトップとの差は4ラップと大きいが、どこまで驚異の追い上げが続くのか期待が高まった。

ラスト1時間、トップ#634 清成/高橋は、2番手#33 伊藤/玉田を突き放し、そのトップは不動に見えた。後半になるとますます#634 清成のライディングはさえわたり、マシンを完全にコントロールしながらチェッカーを目指す。ペアの高橋も確実な走行へと切り替えた。周回遅れの#11 秋吉が#634 高橋をパスし、1ラップばん回、さらに#634 高橋に「ついてこい」と挑発するも、#634 高橋は自分のペースを守りきった。3番手#11 秋吉/レイ、4番手#48 出口/安田/児玉、5番手#73 岩田/手島、6番手#999 野田/関口らも、ひたすらチェッカーを目指す走り。

18時30分、ライトオンのサインが出され、最後のライダー交替を終えて#634 清成、#33 玉田、#11 レイが次々とコースへ飛び出した。#634 清成が給油のみのピットインを行うが、トップの座は変わらず。2番手の#33 玉田もラスト6周でピットイン。伊藤のラストランを見せるためにライダー交替すると、スタンドからは大歓声が起こった。3番手の#11 秋吉はペースを緩めることなく最後まで力を尽くす。

そして、19時30分、8時間が経過して#634 清成が暗闇の中で勝利のチェッカーを受けた。清成にとっては3度目、高橋とMuSASHi RT HARC-PRO.にとっては初の鈴鹿8耐勝利。高橋は3大会連続表彰台で、表彰台獲得率100%をキープした。2位に#33 伊藤/玉田。3位には11回ものピットインを繰り返しながらも驚異の追い上げを見せた#11 秋吉/レイ(第3ライダー高橋裕紀)が入り、Honda勢が表彰台を独占した。

4位には#48 出口/安田/児玉、5位に#73 岩田/手島が入った。序盤に4番手につけていた#2 亀谷は61周目、S字で転倒してコース復帰するもエンジンに火が入らず、マシンを押してピットまで運んで修復。コースインしたときには残り4時間34分だったが、そこからマクスウェルと地道に追い上げ、35位でチェッカーを受けた。

また、鈴鹿8耐優勝史上最年少記録は1996年の芳賀紀行の21歳だったが、今回、20歳の高橋巧がこれを塗り替えた。ただし、記録上は、決勝では走行していない第3ライダー登録の中上貴晶の18歳となった。

Honda Racing
  • ジョナサン・レイ
  • 秋吉耕佑
  • ウェイン・マクスウェル
  • スタートシーン
  • 鈴鹿サーキット
コメント

#634清成龍一(優勝)|MuSASHi RT HARC-PRO.「3回目の優勝ができて最高の気分です。最後のピットを出てからはとても長く感じて、一生忘れられない思い出深い時間になりました。今までは頼れる先輩についていくだけでしたが、今回は頼れる後輩とチームが本当にがんばってくれました。チーム、ライダー、スタッフ全員の後押しのおかげで優勝できました。応援ありがとうございました。来年もチャンスがあればぜひ参戦したいと思います」

#634高橋巧(優勝)|MuSASHi RT HARC-PRO.「優勝できて涙が出るほどうれしい。最後は体力的に辛くなって、清成選手に託しました。自分自身、運は強い方だと思いますが、今回優勝できたのはすばらしいマシンに仕上げてくれた清成選手をはじめ、チームスタッフ全員のおかげだと思います。今後もチャンスをもらえるなら、毎回必ず優勝するという気持ちで挑みたいです」

本田重樹監督|MuSASHi RT HARC-PRO.「やっと優勝することができました。このコンディションなので、体力的に辛いのは分かっていましたが、2人とも本当によく走ってくれました。MuSASHiをはじめ、今まで我々をサポートしてくれたみなさまに感謝したい。また、最後まで声援を送ってくれたファンのみなさまに後押しされました。8耐に参戦した全チームを代表してファンのみなさまに心から感謝したい。応援ありがとうございました」

#33伊藤真一(2位)|Keihin Kohara Racing Team「昨日の予選がいまひとつで、今日の気温も考えると苦しいレースになると思いました。久しぶりのレースということで、細かいところまで玉田選手やチームがバックアップしてくれました。上位のアクシデントはあったものの、2位は2位、満足しています。また、ファンのみなさん、応援ありがとうございました。今日は幸せな時間を過ごせました」

#33玉田誠(2位)|Keihin Kohara Racing Team「2位表彰台という結果はうれしいが、今日の自分の走りには満足できません。本来であれば伊藤選手の体力的な部分を補いたかったのですが、逆に伊藤選手に頼ってしまうような走りをしてしまいました。伊藤選手やチームに申し訳なく思っています。今日は不完全燃焼のまま終わってしまいました。また機会があれば、完全燃焼できるレースをしたいです」

#11秋吉耕佑(3位)|F.C.C. TSR Honda「今回の鈴鹿8耐はとても楽しかったです。最初のスタートで出遅れ、1コーナーの混走で接触してしまい、クラッチが曲がるというトラブルがありました。その後もペナルティを2度も受けて納得できない部分もありました。そんな状態でジョナサンにマシンを渡さなくてはならず、申し訳ない気持ちでした。ただ、ジョナサンも一生懸命に走ってくれて、またマシンの状態もよく、フルにパワーを発揮できたことで、3位まで順位を上げることができました。チーム、そして応援してくれたファンのみなさんには感謝しています。今日は暑い中ありがとうございました」

#11ジョナサン・レイ(3位)|F.C.C TSR Honda「チームをはじめ、応援してくださった日本のファンのみなさん、ありがとうございました。今日は、タフな一日でした。思いがけないトラブルや僕のミスで順位を落としてしまい、正直悔しい気持ちが強いです。ただ、秋吉さんと協力し、絶対にあきらめないと自分に言い聞かせて走ったことで、表彰台に上がることができました。また機会があればぜひ鈴鹿8耐に出たいです」

リザルト
リザルト

決勝

順位 No. チーム/ライダー マシン 周回数/差
1634MuSASHi RT HARC-PRO.
清成龍一&中上貴晶&高橋巧
Honda 215Laps
233Keihin Kohara Racing Team
伊藤真一&玉田誠
Honda +1Lap
311F.C.C. TSR Honda
秋吉耕佑&ジョナサン・レイ&高橋裕紀
Honda +2Laps
448PLOT FARO PANTHERA
出口修&安田毅史&児玉勇太
スズキ +3Laps
573TEAM PLUS ONE
岩田悟&手島雄介
Honda +4Laps
612ヨシムラスズキwithENEOS
酒井大作&青木宣篤&加賀山就臣
スズキ +4Laps
7999テルル・ハニービーレーシング
野田弘樹&関口太郎
Honda +5Laps
1040Honda浜松エスカルゴ&PGR&狭山&H-TEC関東
久保山正朗&中津原尚宏
Honda +9Laps
1125Honda Suzuka Racing Team
中村知雅&秋谷守
Honda +10Laps
12888石垣島マグロレーシング・海人withモトバム
高橋孝臣&大木崇行&清水郁己
Honda +11Laps
1775Team NAP'S
里実&五十嵐明弘&清水匠
Honda +13Laps
2085Honda QCT Q遊会明和レーシング
安藤元之&野寄真二&荘智義
Honda +16Laps
2167Honda DREAM RT 和歌山
西中綱&相馬利胤&安冨成士
Honda +17Laps
2466DOGFISH オーテック・スズカレーシング・YIC
大内田実&矢木清貴&渡辺幸夫
Honda +18Laps
25111Honda 向陽会ドリームレーシングチーム&SHOWA
中村浩&海老沼孝志
Honda +19Laps
263クラウン警備保障RACING
浜口俊之&北口浩二&谷誠士郎
Honda +20Laps
2923鈴鹿コミュニティーレーシングチーム
松井秀樹&下地申悟
Honda +22Laps
3034Honda緑陽会熊本レーシング
吉田光弘&飯田将人&北折淳
Honda +23Laps
3350ミトモト&e,freaks
高野弘毅&小林哲朗&岡田聡
Honda +31Laps
352Honda DREAM RT 桜井ホンダ
ウェイン・マクスウェル&亀谷長純
Honda +34Laps
3628Team ホンダ学園
古澤基樹&浜口喜博
Honda +34Laps
37112Honda EG Racing
栗林剛&本道雅樹&藤島翔太
Honda +43Laps
RT74チームスガイPLUSONE
須貝義行&渡辺一馬
Honda +207Laps
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