HONDA The Power of Dreams

　毎年6月の初めに英国北西部にあるマン島で行われる“マン島TTレースウイーク”。今年も6月3日、土曜日にメインレースの1つであるTTスーパーバイク・レースが開催された。

　1周60.36kmのマウンテン・コースを6周して競われるTTスーパーバイク・レースを制したのは、ジョン・マクギネス選手(HM Plant Honda Racing)。Honda CBR1000RRに乗るマクギネス選手は、2位になったイアン・ルーガー選手(Stobart Honda)に39秒という大差をつけて優勝。今回、ラップレコードとレースレコードの両方を更新したマクギネス選手にとって、自身9回目のマン島での勝利となった。

　マクギネス選手は、プラクティスの時から自分が持つラップレコードを破るタイムを叩き出していたが、それでも本番ではさらに攻める作戦に出た。スタート・フィニッシュ地点のダグラスに向かう、終盤のスネフェル・マウンテンで、できるだけタイムを詰めるというのがその作戦だったのだ。

　過酷なマウンテン・コース用に特別チューンされたCBR1000RRに乗るマクギネス選手は、1周目の途中からイアン・ハッチンソン選手(カワサキ)をリードしていた。しかし、その後、ラムゼイで同じCBR1000RRに乗るルーガー選手が2番手に上がった。

　マウンテン・セクションで攻めたマクギネス選手は、1周目に平均スピード204.53km/hという驚異的な記録を打ち出した。1周目を終えた時点でルーガー選手に12秒の差をつけたマクギネス選手は、2周目に204.68km/hを出し、17分41秒71というラップタイムをマーク。この時、ルーガー選手との差は22秒になっていた。

　マクギネス選手は、2周目を終えた時点で一旦給油を行い、さらに4周目に給油とリアタイヤの交換を受けた。この時点で差は30秒に広がっていたが、さらに快走を続け、最終的に39秒差をつけて優勝したのだった。

　2位にはマン島TTレースでの表彰台は25回目というルーガー選手が入り、3位はハッチンソン選手となった。4位はマーチン・フィネガン選手(Klaffi Honda/Alpha Boilers)、5位キャメロン・ドナルド選手(Robinson Concrete)と続き、上位5位までに4人のHondaライダーが入った。

■ジョン・マクギネス選手(優勝)
「素晴らしい。マシンの調子は最初から最後まで良かった。過去数ヵ月間、今日のためにいろいろ作戦を考えてきた。チームの皆も本当に良く頑張ってくれた。今日はずっと集中力を保つことができ、ライディングを楽しめた。マウンテン・セクションで快調に飛ばすことができたので、最初の2周はかなり良いタイムが出ているのだろうと思っていた。でも、まさかこれほど良いとは思わなかった。トラブルも全然なかった。唯一苦労したのは、最終ラップにラムゼイのところでバックマーカーが数人いたことだ。リスクを犯さないで、慎重に彼らを抜いたんだ」

■イアン・ルーガー選手(2位)
「喜んでいいのか悲しんでいいのか分からない。本当は勝ちたかったからだ。今回も2位だけど、それでも素晴らしい結果だと思う。マシンはとても速かったし、まったく問題がなかった。今回のレースは、TTウイークの良い滑り出しになったね」