Lucky Strike B・A・R Hondaは第7戦ヨーロッパGPからのレース復帰を予定しており、先週南フランスのポールリカールサーキットにおいて、2日間のテストを行なった。
今回のテストには、チームの4人のドライバー全員が参加。テスト初日の水曜日は、アンソニー・デビッドソンとエンリケ・ベルノルディが、最終日の金曜日にはジェンソン・バトンと佐藤琢磨が走行した。最初の2日間、サーキットは来たるモナコGPに向けたコースレイアウトになっていた。そのためチームは、テスト日数節約も考え、木曜日のテストはスキップすることになった。
今回の主なメニューは、ヨーロッパGP用に改良された空力パッケージの評価、そして同GPならびにカナダGP用タイヤのテストであった。さらにより長期的なミシュランタイヤの構造テスト、そしてブレーキ開発のプログラムも組まれていた。チームはこの2日間で532周、距離にして2,218kmを走破した。
水曜日のデビッドソンは、新しい空力パッケージの評価に専念。117周を周回した。しかし午後になって、電気系のトラブルが原因でエンジンにダメージが発生したため、予定より早くテストを切り上げることになった。ベルノルディはロングランを重ねて、タイヤ構造およびブレーキ評価テストを行なった。こちらは順調に周回し、171周をこなすことができた。
そしてモントリオール用にレイアウト変更された金曜日のコースで、バトンは水曜日のものをさらに改良した空力パッケージをテスト。ギアボックスの些細なトラブルや、セッションが頻繁に赤旗中断されたりしたものの、113周を周回。一方の佐藤は、今後のGPに向けてのタイヤ評価に専念した。佐藤の乗るB・A・R Honda 007は午前中、油圧系のオイル漏れで目一杯走ることはできなかっが、それでも夕方までに131周を周回。他のチームのマシンがセイフティ・バリヤに激突する事故が起きたために、午後のテストは通常より短いコースレイアウトに変更して行なわれた。
■ジェンソン・バトン
「予定していたほとんど全てのアイテムはテストできたけれど、ギアボックスにトラブルが出たりして、完璧な1日とは言えなかった。そのトラブルは特に難しい問題ではないけれどね。タイヤ評価は主に琢磨に任せて、こちらは空力テストに専念した。試したものは全ていい感じだから、どの方向に開発を進めて行くか、ハッキリ見えたよ」
■佐藤琢磨
「ニュルブルクリンク前の最後のテスト、そして今後3週間走れない僕たちにとって、今回は非常に重要なセッションとなりました。テストチームの皆はすごく頑張ってくれて、それだけに総合でトップタイムを出せたのは、彼らの努力に報いられた気持ちです。今回は1日のうちに2つのレイアウトを経験することになって、なかなかやりがいのあるテストになりました。午前中の長いコースでは、相当沢山のタイヤプログラムをこなせたし、午後のショートレイアウトでは、マシンセットアップに進化が見られました。その意味では順調な1日で、クルマも良い調子でした。やれることは全てやって、あとはヨーロッパGPを戦うだけです。より強く、速くなって、レースに復帰します」
■アンソニー・デビッドソン
「水曜日は主に空力評価を行ない、最後にセットアップ作業もこなしました。新しい空力パッケージで、マシンのフィーリングはいっそう良くなった。力強い開発ペースが確認できて、僕も嬉しいよ」
■エンリケ・ベルノルディ
「今回のテストは、ロングランでのタイヤ構造の評価だった。と同時に新しいブレーキダクトも試して、こちらはマシンバランスが良くなった印象だ。速いペースで周回をこなして、有益なデータも収集できた。良いテストだったと思うよ」
■マーク・エリス B・A・R Hondaチーフテストエンジニア
「理想的なコースレイアウトとは言えなかったが、予定していたプログラムは全て消化でき、その結果も前途有望なものだった。ヨーロッパ、カナダ両GP用に改良したパーツは、いずれも良い結果が出ている。復帰戦は、優勝に絡める走りができると確信している。ハイペースかつ絶え間ない開発こそが、レースでの好結果につながる」
■中本修平 エンジニアリング・ディレクター Honda Racing Development
「今回もエンジンに関して、有益なテストができました。レース復帰が、待ち遠しくてなりません」 |
