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Honda Indy V-8勢、フェニックス合同テストで着実にプログラムをこなす

■開催日 : 2月11日(水)～12日(木)
■開催地 : アリゾナ州エイボンデイル
■サーキット : フェニックス・インターナショナル・レースウェイ：全長1マイル(約1,609km)
■天候 : 11、12日とも快晴
■最高気温 : 11日 21℃/12日 18℃

　2004年に入って二度目のIRL主催合同テストが、アリゾナ州のフェニックス・インターナショナル・レースウェイで2月11、12日の2日間に渡って行われた。Honda Indy V-8勢は、第2戦の行われるショートオーバルでレースを睨んだセッティング調整を繰り返し、大きな成果を挙げた。

　アンドレッティ・グリーン・レーシングのダラーラ・シャシーに乗るダリオ・フランキッティは、2日間の総合で4番手につけるタイムをマーク。チームメイトであるダン・ウェルドン、ブライアン・ハータ、トニー・カナーンはそれぞれ5、6、7番手に続き、開幕に向けての仕上がりが順調であることを示した。日本人ルーキーの松浦孝亮(スーパーアグリ・フェルナンデス・レーシング)は、初日が12番手の21秒2112、2日目には20秒9317までタイムを縮めた。2日間総合での順位は17番手となった。今年から乗るインディカーを松浦は限られた時間の中で着々とマスターして来ている。2日間総合のトップタイム＝20秒1438を記録したのは、2003年チャンピオンのスコット・ディクソン(ターゲット・チップ・ガナッシ・レーシング)だった。

　1月28、29日に行われたホームステッドでの合同テストには、04年仕様のマシンが間に合わなかったグレッグ・レイ(アクセス・モータースポーツ)だが、今回のフェニックスには参加。04年のIndyCarシリーズをフルシーズンで戦うHondaチーム、そしてドライバー全員が走行を重ねた。
　アリゾナ州はメキシコと国境の北側、北米大陸の南西に位置することから、ニューヨークやシカゴが寒波に見舞われている今年でも、今の時期で日中の気温が20℃前後にまで上がる。ただし、砂漠地帯であるため朝晩との温度差は非常に大きく、テスト両日とも朝方の気温は3℃という寒さであった。シリーズ第2戦の200マイルレースが開催されるフェニックスのコースは、全長が1マイル(約1．60km)のいわゆるショートオーバル(ショートトラック)だ。今年は各チームによるプライベートテストが全面禁止のルールとなっているため、今回のテストは間近にせまっている第2戦に向けてだけではなく、シーズン中盤以降に組まれている合計6戦のショートトラック・イベントのためにも重要性が高い。
　また、全チームにとって今回のテストは上記の理由により、開幕前に行える最後のものである。04年仕様のマシンをどれだけ深く理解できるか、昨年までよりも明確に少ない走行時間をフルに活かすべく、ドライバーもクルーも緊迫感をみなぎらせて仕事にあたっていた。
　全チームが走行初日の午前中はフェニックスの1マイルオーバル用ベースセッティング発見に費やし、午後はレースを睨んだセッティングの詰めを開始するところもあった。2日目になると、どのチームもレース用セッティングにウェイトを置いたプログラムへと移行。予選アタックのシミュレーションを行うところもあった。

　Honda Indy V-8搭載マシン7台は、この2日間で合計1717マイルもの距離を走破。エンジン開発に欠くことのできない貴重なデータを収集した。これで開幕前の実走テストはすべて終了。2月29日決勝の第1戦ホームステッドを待つばかりとなった。

●ダリオ・フランキッティ(アンドレッティ・グリーン・レーシング)
2日間総合4位 (20秒3518)

「非常に興味深い2日間だった。というのも、コースコンディションが予想以上に大きく変化したからだ。1日目と2日目という意味ではなく、1時間ごとに路面状況が変化していったことが感じられた。路面の変化を追いかけることもトライしながら、我々は非常に多くのテスト項目をこなすことができた。3月にここでレースを行う時、今回手に入れたデータが大きく役に立つことを期待したい。我々のチームの総合力は、優勝を争うレベルに達していると思う」

	●ダン・ウェルドン(アンドレッティ・グリーン・レーシング) 2日間総合5位 (20秒4118)

	「ショートオーバルは走っていて楽しい。今回のテストで、走行を重ねるごとにマシンが良くなって行くのを感じられたことも嬉しかった。ショートオーバルではマシンのセッティングが極めて重要だ。チームメイトとエンジニアたちは、僕のショートオーバルでの走りが良くなるよう助けてくれている。今回の2日間のテストでは、決勝用の素晴らしいセッティングを発見することができたと思う。今度ここにレースに来る時には、プラクティスの時間も短いため、今回のテストで得られたものが大きな意味を持ってくる」

	●ブライアン・ハータ(アンドレッティ・グリーン・レーシング) 2日間総合6位 (20秒4238)

	「4カー体制を活かしてのプログラムを進めた。2日間で本当に多くのことをトライできたし、多くの収穫が得られたと思う。ひとりひとりが別のプログラムをこなし、その情報を交換し合うシステムは、テストでも大きなアドバンテージとなるが、レースウィークにより大きな効力を発揮するものになると思う。今回のテストでもマシンはかなり満足の行くレベルにまで向上させることができたし、我々のチームは高い競争力を開幕戦から発揮できると思う」

	●トニー・カナーン(アンドレッティ・グリーン・レーシング) 2日間総合7位 (20秒4322)

	「いい2日間だった。まだ我々はシャシーを学んでいる段階で、今の状況で物事をすべて判断するべきではない。テストが始まってすぐには少々セッティングで苦しんだ。今年のフェニックスは去年までのものとレイアウトが少し変わっていることも影響した。シャシーも空力が変わっている。我々のチームは期待されていただけのスピードを手にすることができなかったように見えるかもしれない。しかし、この2日間で僕らが最も重要視していたのは決勝用セッティングだった。それが最も重要だからだ」

●グレッグ・レイ(アクセス・モータースポーツ)
2日間総合9位 (20秒4700)

「昨日マシンの用意が完了した時には、すでに太陽が傾いており、ドライビングを始めるには適したコンディションと思えなかったので、今日から本格的にテストを行った。そして、走り始めからマシンのフィーリングは非常に良く、すぐにまずまずのタイムを出すことができた。今年はHondaユーザーにＧフォース・シャシーが増えた。これは我々にとっていいニュースだ。Hondaチームが協力し合い、より多くの勝利を飾れるよう頑張って行くつもりだ」

	●バディ・ライス(チーム・レイホール) 2日間総合12位 (20秒5951)

	「2日目はフルに走り込むことができ、250ラップ近くも周回した。初日に起きた電気系トラブルのために1日の遅れを取ってしまったが、すべてのワイアリングを交換し、2日目を意義のあるものにできた。このテストで我々は多くのセッティングをトライし、レースを想定した連続周回もこなし、ピットストップの練習も行った。もちろん、あと1日あったら嬉しいが、チーム・レイホールは非常にプロフェッショナルで、開幕に向けたプログラムは非常に良いものが用意されており、多くの成果を挙げることができた」

●松浦孝亮(スーパーアグリ・フェルナンデス・レーシング)
2日間総合17位 (20秒9317)

「開幕前の最後のテストは、凄く残念な結果に終わってしまいました。2台目のシャシーを今回走らせ始めたのですが、トラブルが続き、期待していたところまでマシンを進歩させることができませんでした。インディアナポリスのワークショップに戻り、もう一度じっくりとチームとミーティングを行って、開幕戦までに少しでもいい状況、いいクルマを準備できるようにします」
松浦孝亮チームテストレポート

	●ジーン・ヒンガート：HPD シニア・エンジニア

	「フェニックスでの2日間で大きな成果を上げることができた。シーズン開幕までに今年は非常に限られたテストしか行えないこととなったが、我々にはたくさんの試したいパーツや項目があった。そこで、今回のテストでは各チームに別々のアイテムをトライしてもらった。その結果、レース仕様が満足の行くものにできるとの確信を得ることができた。レースを想定し、そのための信頼性を確保するのが最重要課題で、それが高いレベルにあることが確認できた。　我々は常に開発を続け、着実に性能を向上させることを目指して行く姿勢でレースに取り組んでいる。最重要課題を信頼性に置くことは変えないが、開幕戦の最初の走行セッションまでには、今回のものとは異なる最新のスペックを投入する」