Honda | モータースポーツ | インディカー・シリーズ

初の合同テストで新Honda Indy V-8＝HI4Rは好調な滑り出し

■開催日：1月28日(水)～29日(木)
■開催地：フロリダ州ホームステッド
■サーキット：ホームステッド･マイアミ･スピードウェイ
■天候：晴れ
■気温：22度

2004年のIndyCarシリーズ開幕が刻々と近づいてきている1月下旬の28、29日の2日間に渡り、フロリダ州ホームステッドの1.5マイル・オーバルでIRL主催による合同テストが開催された。寒波に見舞われているアメリカ北部が氷点下の気温を連日記録しているのが信じられないほどに、フロリダ州最南端に近いホームステッドは穏やかな気候に恵まれている。テスト両日ともに朝から夕方までサーキット上空には晴れ間が広がり、日中の気温は20度ほどにまで上がった。幸いにも雨が降ることもなく、集結した8人のIndyCarドライバーたちは存分に走り込むことができた。

Hondaは、この冬の間に開発を進めたHonda Indy V-8＝HI4Rをアクセス・モータースポーツ、アンドレッティ・グリーン・レーシング、スーパーアグリ・フェルナンデス・レーシング、チーム･レイホールの4チームへ供給する。今回のテストには、その中から6台がエントリーした。アクセス・モータースポーツはマシンの準備が整わなかったためにマイアミ遠征を断念し、チーム・レイホールからツインリンクもてぎで開催される第3戦ブリヂストン･インディ・ジャパン300マイルと、第4戦のIndy500に出場するロジャー安川も今回はピットで走行を見守った。

今シーズンはレギュレーション改定によって各チームによるプライベートテストが全面禁止となり、出場チームはIRLが行う合同テスト以外、エンジン･マニュファクチャラー、あるいはタイヤメーカーの開発を目的としたテストでしか走行をする機会は与えられない。基本となるシャシー・モノコックこそ設計変更が許されていないものの、空力パーツは両コンストラクターともにほぼ全面的に新しいデザインを導入していることから、どのチームも少しでも多くのデータを、少しでも多く走り込むことで収集したい。エンジン・マニュファクチャラーとしても、冬の間も休まずに開発を重ねてきたエンジンに2種類のシャシーに合わせた調整やライバルとの性能差の確認など、今回のテストには多くのテーマを掲げていた。

新ルールによって実際にコースを走ってデータを集めることのできるチャンスが劇的に減ったため、合同テストの重要性は飛躍的に高まった。しかも、開幕戦の開催されるホームステッドは、昨年中に改修を受け、去年までのデータが基本的に利用できない状況になってもいる。6度と緩やかだったバンクの傾斜角が一気に最大20度にまできつくされたため、マシンセッティングさえ決まれば１周をフルにエンジン全開で走れるコースに生まれ変わったのである。

2日間とも午前、午後に各3時間の走行が行われ、18人のドライバーたちはそれぞれのプログラムに従って走行を重ねた。Honda Indy V-8勢は、昨年度ルーキー・オブ・ザ・イヤーのダン･ウェルドン（アンドレッティ・グリーン・レーシング）が初日に24秒5432のトップタイムをマークし、2日間の総合で2位につけた。2日目もブライアン・ハータ（アンドレッティ・グリーン・レーシング）が24秒6057を出し、こちらは2日間総合での3位のタイムとなった。Honda Indy V-8勢は、6人がエントリーしたうちの4人が2日間総合でトップ6に食い込んだ。

次回の合同テストは2月11、12日に第2戦の行われるアリゾナ州フェニックスで行われる。そのテストが終了すると、いよいよ2月29日決勝の開幕戦を待つだけとなる。

●ダン･ウェルドン(アンドレッティ・グリーン・レーシング)：初日1位、総合2位

「テストは本当に順調だった。クルーたちが最高の仕事をしてくれたおかげで、僕はどのセッションでも速さを見せることができた。アンドレッティ・グリーン・レーシング全体が素晴らしい仕事振りを発揮し、4台をすべて競争力があり、しかもイコールな状態に仕立ててくれた。我々はこの2日間でレースと予選、両方に向けての準備を進めることができた」

●ブライアン･ハータ(アンドレッティ・グリーン・レーシング)：総合3位

「テストの内容は非常に良かった。僕のマシンを走らせるクルーにとっては今回が初めての走行だったが、すべてがスムーズに進んでいた。その上、マシンはとても速く、フィーリングも上々だった。これだけ物事がうまく行ったことは、別に驚きでも何でもない。アンドレッティ･グリーン・レージングというチーム自体がとてもうまく行っているからだ。経験豊富なクルー何人かのいるところへ新しいメンバーが加わり、とても良いチームができた。我々はシーズンが開幕しても強さを発揮することができるはずだ」

●ダリオ・フランキッティ(アンドレッティ・グリーン・レーシング)

「レースに復帰できて本当に嬉しい(昨年は負傷欠場)。レーシングマシンを走らせ、とてもいいフィーリングを感じることができた。ドライビングをまた行えるということだけで喜びを感じられた。マシンはこの2日間ともに非常に良いものとなっていた。まだ仕事は残っているが、我々の進んでいる方向性が正しいことは間違いない」

●トニー･カナーン(アンドレッティ・グリーン・レーシング)

「この2日間で本当に多くの収穫を得た。この3ヶ月間は完全なオフだったが、アンドレッティ・グリーン・レーシングの実力が発揮され、この冬の間の準備は万全だった。まだやるべきことは残されている。まだまだ進歩させなくてはいけない。しかし、トラブルもない、とてもスムーズに進んだ2日間を過ごすことができたことに関しては、とてもハッピーだ」

●バディ･ライス(チーム･レイホール)

「新しいIRLシャシーを走らせるのは今回が初めてだったので、タイムを出すことよりも、シャシーをより深く知ることが大きな目的となっていた。チーム･レイホールは実力を秘めたトップチームで、仕事振りは見事の一言に尽きる。初日は細々としたトラブルが幾つかあったが、2日目には十分な走り込みができ、マシンを進歩させることができた」

●松浦孝亮(スーパーアグリ・フェルナンデス・レーシング)

「今日はタイムが良くなることを期待されていたと思いますが、自分たちの使っているシャシーに向上させられない部分があると昨日の時点でわかっていたので、2日目は自分たちのできることに集中することにしました。クルマのセットアップを色々と試し、多くの収穫を得ることができました。マシンは昨日に比べると随分とハンドリングが安定し、風による影響も受けないものとなっていました。今回のテストは、チームとしてすべきことを確実にやれたと思います」

	●ロバート・クラーク：HPD VP&ゼネラルマネージャー

	「今シーズンに向け、我々は手を入れることが許されている部分すべてに改良を施した。そして、その成果がテスト結果に現れていたと思う。今回は新しいシーズンの最初のテストで、それは我々の新しいエンジンにとっても、新しくなったシャシーに搭載しての走行としても初めてのものなった。また、ライバル勢との実力を比較することも初めてできたが、実力はなかなかに拮抗していると感じられた。アンドレッティ・グリーン・レーシングの4台がコンスタントに上位のタイムを出し続け、オフの間の開発がうまく進んだことを示していた。今年はより多くの勝利を目指して行く。優勝が増えれば、それがマニュファクチャラーズ・タイトルにつながって行く。今年の我々のチームは、どこも1年以上のIRL参戦経験を持つことになった。去年は何も経験のない体制であったが、その点でも我々は大きな進歩を遂げている。必ずや昨年以上の成績を残すことができるだろう。今後も休むことなくHonda Indy V-8の開発を続けて行く」