HONDA The Power of Dreams

　エンリケ・ベルノルディがLucky Strike B・A・R Hondaチームのテストドライバーとして、来月のヘレス・サーキットでのテストに参加することになり、2004年GPレースシーズンの残り2回のテストでF1マシンにカムバックすることになった。

　今シーズンの最終3戦は、中国、日本、ブラジルが舞台となる。つまり、B・A・Rレースドライバーのジェンソン・バトンと佐藤琢磨は、ヨーロッパでのテストに参加するのが非常に難しい。しかし、各レースの合間に行われるテストは、B・A・Rが現在の好調さを維持してシーズンを終え、選手権ポジションでさらに高得点を獲得するために極めて重要な意味を持っている。

　チームは現在、コンストラクターズ選手権3位に付けており、2位のルノーチームにわずか8ポイント差まで迫っている。残りの5レースに全力を尽くさなければならないのは、言うまでもない。このため、テストにはF1で確かな経験を積んだドライバーが絶対に必要とされる。そこでB・A・Rが白羽の矢を立てたのが、あらゆる資質を備えた25歳のブラジル人ドライバー、エンリケ・ベルノルディであり、アンソニー・デビッドソンと一緒に9月と10月のヘレス・テストに参加することになった。なお、チームはテスト・ドライバーとしてオプション契約も結んでいる。

　エンリケは、2001年にOrangeArrows F1チームからレースに参戦。経験の差にもかかわらずこの年、チームメイトより17戦のうち10戦ほど上位ポジションで予選を通った。エンリケは、2002年もチームへの残留が決まっていたが、シーズンの終わりにチームが財産管理を受けたため、不運にもF1キャリアの道が絶たれてしまった。それ以降、エンリケは活躍の場をSuperfund World Series by 日産に移し、今シーズン全9回戦の折り返し地点で、現在ドライバーポイントランキング2位にランクされている。

　先週エンリケは、シートフィッティングのために、英国ブラックレーにあるB・A・Rファクトリーに訪れ、チームの上級技術者およびレースエンジニアたちと面談した。

　ジェフ・ウィリス、B・A・Rテクニカルディレクターのコメント:「短期間ですがとても重要なチームのテストプログラムにエンリケを迎えることができ、大変うれしく思います。彼はこれまでに28戦F１レースに出場しています。シーズン終盤戦を戦う我がチームが引き続き好調を維持するために、彼の確かなF1経験が大いに役立つはずです。5週間のテスト禁止期間が終わり、全チームが最後の追い込みに入ります。ポイント獲得と選手権上位ランキングをめざし、どのチームも全身全霊をかけてレースに臨んできます。もちろん、私たちも例外ではありません。エンリケには、2回ほど内容の濃いテストをこなしてもらうことになります。」

　一方、エンリケもB・A・Rテストプログラムへの参加を心待ちにしており、次のようにコメントしている。「僕にとって実にすばらしい機会だし、F1マシンを操るのが待ち遠しいね。2年前Arrowsチームの事情でF1レースから撤退したときはまだ23歳で、自分の実力をまだ完全にはアピールをできていなかった。将来に絶望した時期もあったけど、レースに必要な集中力を失わないように、ずっとシングルシートレースに出場し続け、それを未来に向けて積み重ねていくことが自分にとってベストであると確信したので、こうして激戦のワールドシリーズで戦い続けているんだ。1年目はチーム自体が新しかったので、ここぞというときに力を発揮できなかったけど、ポールポジションや表彰台をいくつか獲得したことには満足している。今シーズンに入って、チームはより効率よく動くようになったと思うし、そのおかげで、僕はいまのところ選手権2位に入っているし、チャンピオンの座も狙えるポジションにいるんだ。」

「B・A・Rの開発プログラムに参加して欲しいというオファーが僕にきていると聞いて、すごくうれしかった! 数日前、シートフィッティングのためにB・A・Rのファクトリーに訪問してエンジニアたちに会ったんだ。コックピットに入った瞬間は、格別な気持ちだった。ブラックレーの施設は大変印象的で、どのスタッフも大歓迎してくれたんだ。あそこに1日滞在して、B・A・Rが今シーズン上位チームで活躍している理由が分かったよ。チームが残りのレースを戦い抜くのに必要なとても重要な仕事を任されていると認識しているし、僕を信頼してこのような機会を与えてくれたB・A・RとLucky StrikeおよびHondaの方々に感謝しています。」