2018 タイヤメーカー合同テスト 2018.07.06

1回目の走行はRed Bull Honda with 日本郵便の中上が3番手タイム
2回目はKYB MORIWAKI MOTUL RACINGの清成がトップタイムを記録

真夏の祭典「鈴鹿8時間耐久ロードレース(鈴鹿8耐)」に向けての公開合同テスト1回目(5~6日)が三重県鈴鹿サーキットで行われました。

2日目になった6日は、午前9時から10時30分まで、午後は14時から15時30分までの2回の走行が本降りの雨の中で行われました。10年ぶりにワークス復帰で注目を集めるRed Bull Honda with 日本郵便は、高橋巧に加え、MotoGPライダー中上貴晶が参加しました。しかし、雨の走行に関しては経験豊富な高橋巧は走行せず、中上の走行時間にあてました。高橋巧はツナギに着替えることなくチームシャツのまま、ピットで中上の走行を見つめていました。中上は精力的にウエットコンディションのコースに出てマシンの感触を確かめました。

MuSASHi RT HARC-PRO. Hondaは、5日に続き、水野涼に加えて、Moto2ライダー、ドミニク・エガーターと世界耐久選手権(EWC)のランディ・ドゥ・プニエが参加しましたが、今回は午前にエガーターが走り、午後に水野がロングランをして走行を終えました。EWCにフル参戦しているF.C.C.TSR Honda Franceは、アラン・テシェ、フレディ・フォレイ、ジョシュ・フックが参加。3人が均等に走行をこなし、マシン、タイヤの確認を行いました。EWC参戦が主となっているF.C.C.TSR Honda Franceは、鈴鹿サーキットがイレギュラーなコースのため、調整事項が多く、確認作業を繰り返しました。

F.C.C. TSR Honda France
F.C.C. TSR Honda France

Mistresa with ATJ Racing
Mistresa with ATJ Racing

KYB MORIWAKI MOTUL RACINGは清成龍一、高橋裕紀が参加。タイヤの比較テスト、雨セッティングの確認作業を行いました。昨年~今年と積み重ねてきたデータを元に、絞り込み作業を行いながら、タイムアップしました。

au・テルル MotoUP RTは秋吉耕佑、イサック・ビニャーレスが走行をこなしました。Honda Dream RT 桜井ホンダは濱原颯道と伊藤真一が参加。2人での参戦がほぼ決まり、決勝用のマシンに伊藤が乗り、微調整を加えながらセッティングを詰めていきました。濱原も乗りやすいマシンに仕上げようと精力的な走行を繰り返しました。

Honda Asia-Dream Racingからは、今季から全日本JSB1000にフル参戦し、アジアロードレース選手権(ARRC)スーパースポーツ(SS)600とのダブル参戦中のザクワン・ザイディ、オーストラリアスーパーバイクのトロイ・ハーフォス、ARRCのSS600で走るアンディ・イズディハールが参加。Team SuP Dream Hondaは山口辰也、J-GP2の作本輝介、岩戸亮介が引き続き走行しました。

KYB MORIWAKI MOTUL RACING
KYB MORIWAKI MOTUL RACING

Honda Asia-Dream Racing
Honda Asia-Dream Racing

1回目の走行はRed Bull Honda with 日本郵便の中上が3番手タイムの2分21秒003を記録しました。2回目はKYB MORIWAKI MOTUL RACINGの清成がトップタイムの2分20秒801を記録しました。中上は2分21秒570で6番手タイムとなりました。

総合では2番手にKYB MORIWAKI MOTUL RACING。Red Bull Honda with 日本郵便の中上は5番手。7番手はHonda DREAM RT 桜井ホンダの伊藤が記録した2分21秒233。9番手にMuSASHi RT HARC-PRO. Honda。13番手にau・テルル MotoUP RT。14番手にTeam SuP Dream Honda。15番手にHonda Asia-Dream Racing。20番手にF.C.C.TSR Honda Franceとなりました。

Honda Suzuka Racing Team
Honda Suzuka Racing Team

Red Bull Honda with 日本郵便
Red Bull Honda with 日本郵便

ジョシュ・フック|#5 F.C.C. TSR Honda France
「昨日に続いて今日も雨だったので、マシンをいい方向へ持っていくためのデータ集めに苦労した一日になりました。それでもウエットでのテスト項目をたくさん消化できたので、それに関してはよかったと思います。午後の走行からそれまでとは違うタイヤをテストしたんですが、高いポテンシャルがあることが分かり、かなり好調に走れました。また天気が雨になったら、これをベースにしてウエットでのセッティングを仕上げていきたいと思います。まだドライコンディションでの走行ができていないので、早くドライのコースを走ってマシンの感触をつかみたいです。次の走行がドライならば、やらなければいけないテスト項目をこなせていないのでそれを終わらせて、ライダー3人のバランスを取ったセッティングを見つけていきたいです」

フレディ・フォレイ|#5 F.C.C. TSR Honda France
「初日より雨の量が増えて、とてもリスクの高い状況でした。その中でも昨日よりさまざまな面で手応えを感じることができたので、よかったと思います。まだドライでやらなくてはいけないテストが残ってしまったので、今後それを確実にこなさないといけません。今日は午前中に試したセッティングが好感触でしたが、午後に試したセッティングはイマイチだったので、まだ手探りの部分が残っています。この鈴鹿サーキットは、これまで耐久選手権で走ったことのあるほかのサーキットとはまるで特性が違うコースです。ここで強い競争力を発揮するためには、もっと扱いやすく、イージーに乗れるマシンに仕上げることが必要で、細かく調整をしていかないといけません。まずは、とにかく早くドライコンディションで走りたいですね」

アラン・テシェ|#5 F.C.C. TSR Honda France
「2日間雨の中でいろいろなテストをやって、いいところ、悪いところが分かりました。このおかげでウエットの状況でのベースになるセッティングができあがったので、もし決勝レースが雨になっても間違いなく戦えると思います。タイヤに関しては午後のセッションの最後の最後で、それまでと違うものにトライしたんですが、これがなかなかよくて、大きな前進になりました。ドライで一度も走れていないのが気がかりです。ドライでのマシンの挙動をできるだけ多く確認するため、少しでも早く乾いた路面でテストをしたいですね。ポイントランキングで競っているライバルチームが速いラップタイムを刻み、安定して走れているように見えたので、決勝でも油断はできません。ただ、僕らの目標はその相手を負かしたいというのではなく、EWCのシリーズチャンピオンになることです。それを目指して、これからも集中してやっていこうと思います」

清成龍一|#19 KYB MORIWAKI MOTUL RACING清成龍一
「2日間ともに雨でしたが、いろいろトライすることができました。ピレリのレインタイヤにも前向きなものが見つかったし、よかったです。マシンのセッティングは悪くはありませんが、僕自身が雨をあまり得意としていないので、僕のライディングがもっとマシンに歩み寄らないといけないと思っています。そこを改善したい気持ちは昔からずっと持ってきましたから、自分の練習だという思いで乗り込みました。次のテストはドライがうれしいですが、たとえ雨でもまだ煮詰めることがあります。やっぱり8耐の決勝はドライで走りたいですね。トップ争いをするには、もっともっと走り込んで仕上げていかないといけないので、次のテストはドライを希望します。それは、ほかのチームも同じ気持ちでしょう」

高橋裕紀|#19 KYB MORIWAKI MOTUL RACING
「初日はマシンのセットアップに専念しました。そして2日目の今日はピレリのレインタイヤの比較テストができました。その結果にはとても満足しています。僕も清成選手も雨の中をいいリズムで走ることができました。この状況に合わせたエンジンのセットアップなど、まだやることはありますが、この段階でも清成選手が2回目の走行でトップタイムを出したことから高いポテンシャルがあることが分かって、MORIWAKIチームとしてもポジティブです。調子は上向きだと思います。もちろんドライでも同じように高いポテンシャルでトップと並ぶタイムを出せるようにしなければいけません。だから次のテストはドライで、その作業に集中してやれたらうれしいですね」

ザクワン・ザイディ|#22 Honda Asia-Dream Racin
「全体として悪くない印象です。今日は新しいパーツを試しました。昨年の鈴鹿8耐では、安定したラップタイムを刻むのがかなり難しかった印象がありますが、今日のテストではユーズドタイヤでも安定した速さを発揮することができました。これはチームが去年から進化を遂げている証拠です。ウエットでのセッティングは今日でだいぶ固まりました。もし決勝がウエットレースになっても、十分戦えるはずです。ドライでは今日よりももっと速くなれると思うので、来週のテストではドライになることを願うばかりです」

トロイ・ハーフォス|#22 Honda Asia-Dream Racing
「今日のテストではマシンのポジショニングを昨日から大幅に変更し、フィーリングがかなりよくなりました。今日もドライでテストできなかったのは残念ですが、正しい方向性に進んでいるという実感はあります。今日は新しいタイヤであまり走っていないので、タイムは期待していた程よくはなかったですね。ただ、ドライでニュータイヤを履けば、かなり競争力を発揮できると思います。僕らのために日夜、作業を続けてくれたメカニックたちに感謝を言いたいです。僕はアンディ(イズディハール)や(ザクワン)ザイディとは体格がかなり違いますが、3人ともにセッションごとにタイムを上げていますし、マシンには今のところ満足しています。ウエットでのセッティングはかなり煮詰まってきたので、次のテストではドライ面を追求したいです」

アンディ・イズディハール|#22 Honda Asia-Dream Racing
「今日は昨日と異なるセッティングで走行を重ねました。トロイ(ハーフォス)は僕とザクワン(ザイディ)より身長が高いですが、セッティングに関しては昨日のセッションからライダー間で話し合いを続けていて、3人とも概ね満足するバランスを見つけられました。ただ、まだまだ速くなれるはずなのでこれからも改善を続けていきます。この2日間でウエットレースにはだいぶ自信が持てるようになりました。決勝日も雨で、しっかりミスなく走れればトップ10進出を果たせると思います。マシンに関しては現状、特に大きな問題はないので、細かい部分をしっかり詰めていきたいです」

中上貴晶|#33 Red Bull Honda with 日本郵便高橋 巧
「今日からテストに合流しました。全体的にマシンに乗る機会が少ないので、今日は無理を言って、午前・午後のすべてのプログラムを自分が走らせてもらいました。残念ながら雨の中でのテストでしたが、まずは今年型の8耐マシンで、この雨の量に慣れておくことが大事なため、とにかく周回数を増やそうと思い、走り込みました。8耐マシンに関しては、雨になってもウエットのセッティングで必ず走れるわけではないです。ドライ走行中に急に雨が降り始めたら、そのセットのままウエットを走るというのがセオリーなので、それに体を慣らしていた感じですね。もちろんタイムアタックはまだまだです。去年に比べても、びっしり走り込んだなって思えるほど、走れている実感がないので、そこが少し不安材料です。今日はドライで走りたかったのですが、プライベートテストでまた鈴鹿を走れる可能性があるので、そこで最終的な詰めをしたいです。日本には、(MotoGPの)オランダGPが終わって、チェコでマシンテストを行ってから帰ってきました。昨日の夕方に羽田に着いて、そのまま新幹線で移動してきたので体はキツいですが、そんなこと言ってられません。昨年は自分のミスもあって優勝を逃しているので、この一年間、ずっとリベンジしたいと思っていました。やっとそれができます。Hondaワークスチームとして鈴鹿8耐で優勝したいです」

宇川徹|#33 Red Bull Honda with 日本郵便 - 監督
「今日は中上選手にMotoGPからの強行スケジュールで来てもらって、まずはマシンに慣れることをメインに走行してもらいましたが、雨で十分なテストができませんでした。ただ、中上選手はGPライダーです。GPライダーのプライドもあるので、レースではいい走りをしてくれると思っています。来週の公開テストでは、高橋巧選手とレオン・キャミア選手が参加しますので、ドライでのアベレージタイムや燃費を確認しながら、マシンを仕上げていきたいと思います」

伊藤真一|#72 Honda Dream RT 桜井ホンダ
「今日はタイヤのチョイスなどを試し、2人の乗りやすいところを目指して走り込みました。今日は雨でしたので、ウエットの環境での確認はそこそこできたので、チームとしては、一歩進んだと感じています。来週のテストは、私は最終日の一日しか走れないので、その日はドライで走って詰めていきたいです。チームがうまくやってくれると思います。私たちの現状は今回のテストで分かりました。マシンのセッティングの方向は分かってきたので、ドライコンディションでもいい方向にいきそうです」

濱原颯道|#72 Honda Dream RT 桜井ホンダ
「今日は電子制御を変更しましたが、まだ分からない部分があるので、伊藤(真一)さんに頼りながら、マシンセッティングの進め方の参考にしたり、アドバイスをもらい、テストを重ねました。タイムは徐々に上がってきました。最後にタイヤを変更したら、さらにタイムも向上したので、これで雨のセットはできたと思います。来週のテストは、ドライでしっかり走り、雨でも晴れでも不安なく8耐に臨めるようにしたいです」

山口辰也|#79 Team SuP Dream Honda山口辰也
「今日はサスペンションとタイヤのセットアップを中心に進めてきましたが、雨でも安定して走れるマッチングが見つかったのが一番の収穫です。タイムはもっと出そうだったので、来週はドライでもラップタイムを上げられるようにセットアップを進めていきます」

岩戸亮介|#79 Team SuP Dream Honda岩戸亮介
「昨日と同じ雨のコンディションで、いろいろなことを勉強して1000ccのマシンを扱えるようにしていきたかったのですが、転倒してしまいました。その点がまだ自分の足りていないところでしたが、山口選手にアドバイスをいただき、最後に自分で走って確認することができました。今日はマシンを直してくれたチームの皆さんに感謝しています。次のテストでは、ドライでもウエットでもいいタイムを出して決勝に向け少しでも自分が納得できる走りをしたいと思います」

作本輝介|#79 Team SuP Dream Honda
「昨日に比べてタイヤやセットアップを試してみて、徐々にマシンもよくなってきて、どんどんフィーリングがよくなってきた中で、転倒してしまい本当にチームの皆さんに申し訳ない思いです。チームでは山口選手が的確に問題点を挙げて、メカニックの皆さんとコミュニケーションを取りながら対応を進めてくれているので、私たちは気持ちよく走ることができています。来週が晴れたらドライで走るのが初めてになるので、3人でペースを上げながらいろいろ学んでいきたいと思います」

松山弘之|#79 Team SuP Dream Honda - 監督
「今日は足回り・サス・タイヤといろいろなテストをして、午後のセッションではタイヤと路面のマッチングをうまく合わせ、山口選手に22秒台を出してもらって若手にバトンタッチする予定でしたが、残念ながら転倒してしまいました。でも、岩戸選手、作本選手ともに24秒台のタイムまで上げてきたので、転倒さえなければ……。2人とも、もっともっと慣れてもらうしかないですね。来週のテストでは雨でのセッティングがどの程度通用するのかを確認して、若手に乗り込んでもらいます」

水野涼|#634 MuSASHi RT HARC-PRO. Honda
「今日は雨の量が多い午後に重点的に走行しました。本当はロングランをする予定だったのですが、転倒による赤旗があったりと、予定通りの連続走行はできませんでした。ただ周回数は想定していたくらいは走りましたね。コースもコンディションが悪く、川が流れているようなところもあったのですが、ウエットでの走り方、8耐用マシンの雨での走行にはきちんと合わせられたと思います。あとは、ドミニク(エガーター)と、(次回テストで合流予定の)パトリック(ジェイコブセン)とセッティングを合わせ込んで、次のテストはきっちりドライで走り込みたいですね。ドミニクも(テストライドした)ランディも、やっぱりポンと来て乗っただけで、すぐ速いタイムで走れるのがすごいなと思いました。雨が降る、今日のような環境でやれることはすべて準備できたと思います」

ドミニク・エガーター|#634 MuSASHi RT HARC-PRO. Honda
「今日は午前にロングランしました。昨日よりもきっちり雨が降っていて、中途半端なコンディションというよりは、きちんとしたウエットコンディションとなりましたが、今年型のCBR1000RRは雨での安心感が特に増えていると確認できました。僕はテストで走れるのが昨日と今日だけで、次にチームと合流するのはレースウイークになりますが、マシンの素性はきちんと理解できたと思います。セッティング、ジオメトリー、ライディングポジションと、3人のライダーで合わせる作業も準備ができたので心配ありません。これで、レース本番が晴れても雨でも準備はOKです。もちろんドライで走れた方がいいのですが、雨なら雨でできることはたくさんあります。いいテストになりました」

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