2016年7月3日(日)に全日本選手権第3戦九州大会が開催されました。九州大会は5月に開催される予定でしたが、熊本地震の影響で延期されていました。今回は開幕戦以来欠場していた、Honda熊本レーシングの選手たちも参加し、国際A級(IA)の松浦翼選手は、12位でポイントを獲得しました。
会場である山鹿市では、土曜日の夜中に雨が激しく降り、セクションのコンディションは厳しくなることが予想されました。決勝当日のスタート時刻までには、雨はほぼ上がりましたが、暑さと湿気がライダーを襲いました。
小川友幸
小川友幸
波乱は第1セクションから起こりました。第1セクションは難易度の高いセクションで、斎藤晶夫(Honda)、田中善弘(ベータ)、氏川湧雅(ヴェルティゴ)といった選手たちがセクションを抜け出し始め、柴田暁(ヴェルティゴ)、小川毅士(ベータ)が、1点で抜けるという好スコアをマーク。残るは、野崎史高(スコルパ)、小川友幸(Honda)、黒山健一(ヤマハ)というランキング上位の3選手となり、注目が集まりました。
そんな中、野崎が2点となり、小川友幸が失敗して5点となってしまいました。黒山も、ゲート不通過の判定を受けて5点となり、ランキングトップの座を争う2人が、5点で試合を始めることになりました。
小川友幸
小川友幸
今大会では、8つのセクションと、2つのスペシャルセクションが用意されました。キャンプ場の沢や大岩を使い、ダイナミックなセクション群が作られました。
小川友幸は第1セクションの5点のあと、滑りやすい斜面を走る第3セクションで3点、苔むした岩を登る第6セクションで1点、滑る丸い石を登る第8セクションで1点と、最小限の減点でまとめ、1ラップ目は10点。野崎、小川毅士の15点、黒山の17点を抑えてトップに立ちます。
しかし2ラップ目に、小川友幸は2度の5点を喫し、このラップを15点で終え、トップの座を野崎に渡してしまいました。野崎は2ラップ目を、この日ベストの7点で終え、小川友幸に3点差をつけてトップとなりました。黒山は27点で、小川友幸と2点差となりました。
そして3ラップ目。今度は野崎に細かいミスが出てきました。しかし小川友幸とともに、5点が1つもない見事な走りを披露。小川友幸は、3ラップ目を9点でまとめて逆転を狙いましたが、野崎のスコアは11点。わずかに1点届かず、小川友幸は2番手でSS(スペシャルセクション)を迎えることになりました。
用意された2つのSSは、大岩に飛びつくなど、ダイナミックな設定となりました。1つ目のSSで、野崎は失速して5点となり、小川友幸に逆転優勝の可能性が出てきました。小川友幸は、最後の登りで勢いを失いかけながらも、3点で登りきりました。
2つ目のSSは、上位のライダーたちは皆クリーンでクリアし、小川友幸はわずか1点差で逆転勝利。4戦を終えて3勝となり、4連覇に向けて、さらに前進することとなりました。
小川友幸(中央)
開幕戦で勝利をした小野貴史(Honda)がシーズン2勝目を挙げました。IAクラスでは、今シーズンの4戦すべて、Hondaマシンに乗るライダーが勝利しています。
小野は、前回の中国大会で6位となり、そこで出た課題を徹底的に克服して今回の戦いに臨みました。勝敗については、「最後の最後まで分からなかった」と小野。しかし、まずは自分で納得のいく戦いができたということで、その結果がシーズン2勝目に結びつきました。
小野は今シーズン、開幕からランキングトップを維持してシーズン前半を消化することになりました。
松浦翼
今回も5人のライダーが参加した全日本選手権。西村亜弥(ベータ)が今回も勝利を収めていますが、小玉絵里加(Honda)が2位と気を吐きました。
小玉が3ラップ目にマークした16点は、西村の2ラップ目のスコアと同点。トータルスコアではまだ差が開いていますが、その差を縮めるべく、小玉はがんばっています。
小玉絵里加
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム減点 | 総減点 | クリーン数 |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 1 | 小川友幸 | 0 | 37 | 13 | |
2 | 3 | 野崎史高 | スコルパ | 0 | 38 | 10 |
3 | 2 | 黒山健一 | ヤマハ | 0 | 45 | 10 |
4 | 4 | 小川毅士 | ベータ | 0 | 52 | 9 |
5 | 5 | 柴田暁 | ヴェルティゴ | 0 | 68 | 5 |
6 | 6 | 田中善弘 | ベータ | 0 | 83 | 4 |
8 | 12 | 斎藤晶夫 | 0 | 97 | 3 | |
14 | 11 | 砂田真彦 | 0 | 113 | 1 |
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム減点 | 総減点 | クリーン数 |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 24 | 小野貴史 | 0 | 39 | 8 | |
2 | 2 | 村田慎示 | 0 | 40 | 5 | |
3 | 1 | 永久保恭平 | ベータ | 0 | 42 | 8 |
4 | 13 | 久岡孝二 | ガスガス | 0 | 44 | 8 |
5 | 11 | 本多元治 | 0 | 46 | 7 | |
6 | 3 | 徳丸新伍 | 0 | 47 | 5 | |
11 | 6 | 寺澤慎也 | 0 | 58 | 4 | |
12 | 19 | 松浦翼 | 0 | 58 | 4 | |
16 | 63 | 橋本隆之 | 0 | 70 | 0 | |
18 | 41 | 鈴木克敏 | 0 | 71 | 1 | |
28 | 64 | 中山徹志 | 0 | 100 | 0 | |
37 | 50 | 多田雅志 | 0 | 109 | 0 | |
40 | 39 | 生田目俊之 | 0 | 111 | 0 |
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム減点 | 総減点 | クリーン数 |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 6 | 西村亜弥 | ベータ | 0 | 31 | 12 |
2 | 2 | 小玉絵里加 | 0 | 58 | 5 | |
3 | 1 | 小谷芙佐子 | スコルパ | 0 | 63 | 4 |
4 | 5 | 寺田智恵子 | シェルコ | 0 | 90 | 0 |
5 | 3 | 稲垣和恵 | シェルコ | 0 | 91 | 0 |
順位 | No. | ライダー | マシン | 総合ポイント | |
---|---|---|---|---|---|
- | 1 | 1 | 小川友幸 | 77 | |
- | 2 | 2 | 黒山健一 | ヤマハ | 69 |
- | 3 | 3 | 野崎史高 | ヤマハ | 62 |
- | 4 | 4 | 小川毅士 | ベータ | 52 |
▲ | 5 | 5 | 柴田暁 | ヴェルティゴ | 42 |
▼ | 6 | 6 | 田中善弘 | ベータ | 42 |
▲ | 8 | 12 | 斎藤晶夫 | 23 | |
- | 13 | 11 | 砂田真彦 | 6 |
順位 | No. | ライダー | マシン | 総合ポイント | ||
---|---|---|---|---|---|---|
- | 1 | 24 | 小野貴史 | 65 | ||
- | 2 | 2 | 村田慎示 | 60 | ||
- | 3 | 13 | 久岡孝二 | ガスガス | 56 | |
- | 4 | 11 | 本多元治 | 48 | ||
- | 5 | 1 | 永久保恭平 | ベータ | 48 | |
- | 6 | 7 | 磯谷玲 | ベータ | 35 | |
- | 8 | 3 | 徳丸新伍 | 29 | ||
▼ | 10 | 6 | 寺澤慎也 | 23 | ||
- | 19 | 19 | 松浦翼 | 4 |
順位 | No. | ライダー | マシン | 総合ポイント | |
---|---|---|---|---|---|
- | 1 | 6 | 西村亜弥 | ベータ | 80 |
- | 2 | 2 | 小玉絵里加 | 64 | |
- | 3 | 1 | 小谷芙佐子 | スコルパ | 62 |
- | 4 | 3 | 稲垣和恵 | シェルコ | 46 |
- | 5 | 5 | 寺田智恵子 | シェルコ | 44 |
- | 6 | 4 | 佐々木淳子 | ベータ | 28 |
小川友幸(優勝)
「調子は決してよくはありませんでした。開幕2連勝を果たして、期待していただき、そして自分自身でもプレッシャーをかけてしまうところもありました。前回もそうで、今回はずいぶん解消はしたのですが、それでもそんなプレッシャーが走りに出てしまったようです。今回は得意なはずの第8セクションで3度ともクリーンができず、1点、5点、3点で終わってしまったのは残念でした。それでも、野崎(史高)選手(スコルパ)のミスに助けられた形で勝利できました。2週間後の北海道こそ、満足のいく走りで勝利を決めたいと思います」