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全日本トライアル選手権

round 06

SCHEDULE

October 11 2015, RACE All Japan Trial Championship Kyosei Driver Land

日本キョウセイドライバーランド

小川友幸、地元で勝利。3連覇にあと一歩

2015年10月11日(日)・決勝  会場:キョウセイドライバーランド(愛知県)  天候:雨のち曇り
気温:25℃  観客:2400人  セクション:泥・岩・斜面

2015年全日本選手権シリーズも終盤戦。第6戦中部大会は、キョウセイドライバーランドで開催されました。12セクション2ラップ、そして2つのスペシャル・セクション(SS)による戦いです。前回の第5戦は雨の影響で厳しいコンディションとなりましたが、今回も夜半から昼前まで雨に見舞われ、コンディションの変化に悩まされる大会となりました。第5戦で勝利して黒山健一(ヤマハ)にランキングポイントで3点差をつけた小川友幸(Honda)は、ここで勝利してよい条件で最終戦に臨みたいところです。

  • 小川友幸小川友幸
  • 小川友幸小川友幸
  • 小川友幸小川友幸
  • 小川友幸小川友幸
  • 小川友幸小川友幸
  • 小川友幸(左)小川友幸(左)
  • 小川友幸小川友幸

厳しいコンディションにもかかわらず、トップライダーは12セクションすべてをクリーンするつもりで試合を進めました。下見の段階で予想されていたように、当日になって雨模様のためにわずかに設定が変更されて難度が下がりました。そのため、わずかな失敗が順位を変動させる状況となりました。

そんな中、小川友幸は第2セクションで1点を失ってしまいます。1点の減点は、まだまだばん回が可能です。同じ第2セクションでは野崎史高(ヤマハ)も2点、小川毅士(ベータ)は1点を失っていて、トップは黒山となりました。小川友幸は第8セクションでさらに1点を失いました。小さな減点ですが、ライバルはクリーンを続けています。トップは黒山で減点0、2番手が小川毅士で1点、3番手が野崎で2点。小川友幸は2点で野崎と同点ながら、クリーン数差で4番手となって、後半の追い上げに望みを託すことになりました。

小川友幸に勝機が訪れたのは、第9セクションからでした。それまで減点0を続けていた黒山が、第9セクションで3点、第10セクションで5点、さらに第12セクションで5点と、突然減点を喫し始めました。小川友幸は第12セクションで1点を失いますが、野崎も第12セクションで2点減点を喫しており、また小川毅士は第11セクションで5点減点となるなど、1ラップ目終盤にはいくつかの波乱が待っていました。これで小川友幸はトップに躍り出ます。1ラップ目が終わって、トップの小川友幸は減点3点。2番手に4点の野崎がつけ、3番手が小川毅士の8点。黒山は減点13点で4番手です。

そして2ラップ目。小川友幸はこのラップをすべてクリーンするつもりで臨みました。小川友幸のテクニックを持ってすれば、それは十分に可能なはずでした。しかしそんなに簡単にことが運ばないのがトライアルです。第8セクションでは小川友幸はスムーズさを欠いて2点減点となりました。さらに続く第9セクションでも、最後に足を出して、2点を失ってしまいます。

このとき2番手につけていたのは野崎。小川友幸と野崎の間には3点のギャップがありました。まだまだ、3点差では安心はできません。小川友幸はさらに第9セクションでも1点を失い、第12セクションでは3点を失って12セクション2ラップを終了しました。

しかし小川友幸同様、ライバルにもミスが出始めていたのが2ラップ目後半でした。野崎が第10セクションと第12セクションで2点ずつを失い、黒山はその第10セクションと第12セクションで3点ずつを失っています。2ラップ目終盤の減点は小川友幸らしくないものでしたが、それでもトップを維持し続けました。

2ラップを終えて、トップの小川友幸は11点、2番手は野崎で14点、3番手の黒山は19点、4番手の小川毅士はやや離されて29点。3番手の黒山に10点差をつけられた小川毅士はこの時点で表彰台の権利を失っています。上位3選手については、まだ順位の変動があり得ます。

2つのSSは、どちらも難度が高いものでした。トップライダーならクリーンができるかもしれませんが、決してクリーンして当然というセクションではありません。まずSS第1では柴田暁(Honda)が減点1で抜け出たのが最初でした。続いて小川毅士が2点、野崎も2点で、最後にトライする黒山と小川友幸の2人に注目が集まります。

黒山は、ここを力強くクリーン。勝負をまだあきらめていないところを見せつけました。続いて小川友幸のトライ。小川友幸は黒山以上にスムーズに美しく、このSS第1をクリーン。勝負の行方とともに、難度の高いSSは誰がクリーンをするのかにも注目が集まります。

そしてSS第2です。小川友幸11点、野崎16点、黒山19点で最後のセクションを迎えました。大きなタイヤを縦方向から越えたり、連続して横向きに置かれているビッグタイヤを越えたりと、設定はダイナミックです。ここでは、タイヤの穴に落ちることなく、先へ進まなければいけないポイントと、最後に用意された、全く攻略のきっかけとなるようなものがない、地面と垂直に立った170cmのコンクリートブロックが鬼門でした。

SSの得意な柴田が5点となり、上位4選手がトライする前にSS第2を抜けられたのは野本佳章(ベータ)のみでした。その後は、小川毅士が3点で抜け出たものの、野崎はタイヤのセンターに落ちて5点。残るは黒山と小川だけになりました。

黒山のトライは完ぺきでした。みんなが苦労するタイヤのセンターは、フロントタイヤを高くあげたまま、ぽんぽんと飛ばすようにクリア。最後の垂直の壁も美しくクリアし、SS第2で初めてのクリーンを出しました。この時点で、黒山は野崎を逆転して、2位にまで順位を戻しました。しかしこの時点で小川友幸と黒山の点差は8点。残り1セクションでの逆転は不可能です。つまり、この時点で小川友幸の第6戦勝利は決まりました。前回大会から2連勝。そしてランキング争いでは、黒山に対して6点のリードを得ることに成功しました。

優勝が決まったとはいえ、黒山よりも美しい走りを披露してクリーンしてこの大会を終えようと、小川友幸もSS第2を走ります。しかし、鬼門のタイヤで1点を失ってしまいます。この難セクションを1点のみで抜けるのは決して簡単ではないのですが、最後のセクションを美しく走れず、セクションアウトして試合を終えた小川友幸の表情には、勝利を飾った喜び以上に悔しさが見え隠れしていました。

第5戦、第6戦と2連勝を飾った小川友幸は、最終戦で3位以上に入れば、3年連続のチャンピオンが決定します。

コメント

小川友幸(優勝)
「優勝をして3連覇に向けて有利な戦況を作れましたが、今日の試合内容を思うと、悔しい部分がいろいろあります。序盤に減点をして追い上げに不安を抱えながら試合を進めたこと、オールクリーンをしようと誓った2ラップ目に不注意な減点をしてしまったこと、そして最後に、SS第2でクリーンができなかったこと。勝ててチャンピオン争いにはよい結果となりましたが、今日は少し後味の悪い勝ち方でした。最終戦では、気持ちよい戦いをして、笑顔でシーズンを終えたいと思います」

決勝リザルト

順位 No. ライダー マシン タイム減点 総減点 クリーン数
1 1小川友幸Honda 0 12 18
2 2 黒山健一 ヤマハ 0 19 21
3 3 野崎史高 ヤマハ 0 21 18
4 4 小川毅士 ベータ 0 34 16
5 6 田中善弘 ベータ 0 81 6
6 5 柴田暁 Honda 0 83 5
 
11 14 砂田真彦 Honda 0 114 0
13 13 佐藤優樹 Honda 0 117 0

ポイントスタンディング

順位 ライダー マシン 総合ポイント
1 小川友幸 Honda 112
2 黒山健一 ヤマハ 106
3 野崎史高 ヤマハ 88
4 小川毅士 ベータ 84
5 柴田暁 Honda 64
6 田中善弘 ベータ 60
   
11 砂田真彦 Honda 18
12 斎藤晶夫Honda 16