モータースポーツ > 全日本ロードレース選手権 > SPOTLIGHT ON THE FIGHTERS 「Hondaで戦うライダーたち」 > 國川 浩道
■可能性がある限り、全力で2連勝を奪いにいきます
初優勝を勝ち取った翌日、ST600の第2戦となる日曜日のレースで悔しい転倒リタイアを喫してしまい、ノーポイントとなったのですが、あの転倒がここにきてチャンピオン争いに大きく影響しています。トップで並ぶ小林龍太選手(ミストレーサ with HARC-PRO)とチャランポン・ポラマイ選手(ヤマハ)との差は18ポイント。残念ながら自力でのシリーズチャンピオンこそ不可能となりましたが、だからこそ残り2戦をなんとしても勝ちにいきます。自分に対する意地みたいなものかもしれません。油断はできません。今シーズンは僕をはじめとして全戦優勝するライダーが違う混戦状態。だれにでもチャンスはありますが、それでも勝つ自信はあります。
■優勝したレースより2戦目のほうが勝利へのイメージができたけれど
ちなみに、2戦目も僕としては決して悪いレース展開ではありませんでした。むしろ、優勝した土曜日よりも勝利へのイメージができたレース展開だったかもしれません。スタートがよくなく、おまけにタイヤのコントロールに苦労して、トップから1秒以上離されてしまいましたが、冷静に前の集団を見る余裕が生まれ、残り3周でトップ3に急接近。最終ラップに入るホームストレートで2連勝の手ごたえを感じるところまで追いつきました。勝利へのイメージを描くことができたんです。
ところが、ラストラップの1コーナーでメカニカルトラブルが発生。悔しい結果となりました。実はこのときの転倒の原因が尾をひいて、ツインリンクもてぎ、さらにはスポーツランドSUGOでのテスト走行や本番でも満足できる結果を見いだせず、フラストレーションのたまる前半戦となってしまいました。
■悪い流れをスイッチするきっかけとなった鈴鹿8耐参戦
前半戦を終えてスイッチするきっかけとなったのは鈴鹿8耐への参戦でした。声をかけてもらった山口選手とは、一昨年に続き2回目の8耐。全日本ロードレースでは同じチーム母体ということで、ピットも隣り合わせで、シーズン中はほぼ同一行動。気心も知れていますし、トップランカーのアドバイスを受けることもできます。
さらに、第3ライダー登録となったのが同クラスのライバルである小林龍太選手だったことが、僕にとってはプラスに働いたと思います。8耐での役割は、タイムアタックをする山口選手のマシンに対して、2人が確実にポジションをキープする安定した走りをすること。それでもコンマ1秒でも貢献しようと、お互いに切磋琢磨した8耐でした。
■ライバルとともに同じマシンで切磋琢磨できる環境に感謝
まして同じマシン、同じミッションのもと、データを共有比較できることは滅多にあることではありません。走りのスタイルやアクセルワークの違い、ブレーキングのタイミングなど、JSB1000のマシンとはいえ、得るものが多い8耐となりました。
トップ10トライアルにも進出。僕はセカンドライダーとして、20名の選ばれたライダーの先陣を切って走行できました。あれは気持ちいいですね。序盤で勢い余ってミスをしてしまい、満足できるタイムは出せなかったけれど、あの環境で鈴鹿サーキットを独り占めできたことを僕らしくポジティブにとらえ、後半の残り2戦につないでいきたいと考えています。
■次戦・岡山はなにかと思い入れのあるサーキットだけにポジティブにいきたい
思い返せば全日本ロードレースに参戦して、初めてトップを走ったのは2010年の岡山国際サーキットです。レース前半は3番手でしたが、中盤で逆転。トップを奪っていよいよ後半に入ろうかというところで、マシントラブルが発生してスロー走行となり、最終的にはリタイアとなりました。そのときのトップが実は山口選手でした。
その次戦からMotoGPへのスポット参戦となったため、2010年度の僕のレギュラーシーズンはここで終わりましたが、僕としては得意とするコースでもあり、いわば上昇のきっかけをつかむことができたサーキットの一つだけに、2連勝への弾みをつけたいところです。練習走行初日こそ、1分33秒台と少し出遅れてはいますが、チェッカーをだれよりも先に受けるための準備は整っています。
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