モータースポーツ > 全日本ロードレース選手権 > SPOTLIGHT ON THE FIGHTERS 「Hondaで戦うライダーたち」 > 浦本 修充

ひときわ長身で目立つ選手、ハルクプロからJ-GP2クラスに参戦する浦本修充(うらもと なおみち)。レースを始めたときからMotoGPの魅力にとりつかれ、世界を舞台に戦うことを夢見る20歳の青年だ。名門ハルクプロに入り、ときに落ち込んだりしながらも、チームの先輩から多くの知識を吸収し、世界を目指す若者たちがしのぎを削るJ-GP2クラスで急成長している。

■MotoGPライダーになるにはどうしたらいいか、子供のころから考えていました

5〜6歳のころ、自転車がすごく好きで、自転車で遊べる公園に親と毎週行っていたんです。そのときに、ポケバイをやっている子に出会い、自分もやりたいと思って千葉のコースに連れていってもらったのがバイクに乗り始めたきっかけです。それからはポケバイに夢中になって、世田谷から千葉まで、少なくても毎週2回、多いときは週3回(笑)。

そのころ、レースの世界は全く知らなかったんです。とにかくポケバイが楽しくて、始めてすぐレースに出てました。その年にMotoGPを見にいって「カッコいい!」と衝撃を受けて「このレースに出てみたい!」って思ったんです。当時7歳だったんですけど、MotoGPライダーになるにはどうしたらいいかと、僕なりに考えて、段階を踏んで目指そうと思っていました。運動するのは好きだったのでサッカーもやっていましたが、小学4年生のとき、父に「サッカーとバイクをどちらか選べ」と言われ、迷わずバイクを選びました。



■「ハルクプロに入りたい!」と直談判しました

ミニバイクレースをやっていたときにお世話になった、レーシングスーツのセクレテールの社長から、そのころに活躍していた中上貴晶選手のことをよく聞かされていました。「レースをやるならハルクにいきなさい」と言われ、子どもながらに、「入りたいなぁ〜」とは思っていたのだけど、敷居が高いというか、名門ですし、ミニバイク時代の僕には想像がつかなかったんです。それから、プライベーターで全日本に参戦することになって、実際のハルクプロを目にして、「このチームに入りたい」という気持ちが高まって直談判に行きました。

当時、ハルクプロの本田重樹監督は、僕のことはよく知らなかったそうですが、走りを注目して見てくれていたHRCスタッフの助言もあり、翌年念願のハルクプロ入り。全日本のJ-GP3クラスに参戦することになりました。



■すばらしい先輩たち、負けられない

ハルクプロに入った年は、中上貴晶さん、高橋巧さん、小西良輝さん、小林龍太さんと、全日本で活躍している人しかいないことに圧倒されました。「名門チームに入ったんだなぁ」という実感もありましたし、こういうチームに入ったからには結果を残さなきゃいけないというプレッシャーもあったかもしれません。初レースでは他車に巻き込まれて転倒してしまったり……。J-GP3クラスを戦うにしては体格が大きすぎて厳しい年だったのですが、表彰台にも乗ることができて、とても勉強になった一年でした。

プライベーターのころと違って、周りにアドバイスしてくれる人もいっぱいいて「これがプロのチームなんだ!」という印象がすごくありました。

翌年はJ-GP3クラスからST600クラスにスイッチし、ようやく身体のサイズにあったマシンでの参戦。最高4位のシリーズランキング8位の成績を収め、いよいよMotoGPに一番近いとされるJ-GP2クラスへとステップアップしました。



■「なんて乗りやすいバイクなんだ!」と開幕で優勝したものの……

いい感じで乗れていたのに、その後流れを崩してしまい、自信喪失。優勝した次のレース(筑波)で転倒してしまったんです。優勝を狙えるところにいたのに、自分の焦りから転倒してしまって、そこから2&4でも転倒、転ぶたびに自信がなくなって、うまく走れなくて悩んだ時期でした。

でも、そのつらい時期を乗り越えて、昨年の最終戦でJ-GP2クラス初優勝を果たしました。スタートしてふっと不安が切れて、「これは勝たなくちゃ!」と思ったらすごく集中して走ることができたんです。勝ったときはめちゃくちゃうれしくて(笑)。初めて勝ったときよりうれしかったです。

その後のシーズンオフのトレーニングも充実していました。昨年のチャンピオンの野左根航汰さん、そして中上さん、ダートトレーニングは清成龍一さん、高橋巧さんと、トップランカーの人たちとのトレーニングはすごく勉強にもなるし、刺激にもなるし、イコールコンディションなら負けたくないという気持ちもあります。そうやって自信を持って取り組んだオフシーズンのトレーニングが、今につながっていると思います。



■目指す世界、階段を一つ1つ登っていく

今シーズンは2度の2位表彰台で、現在ランキング3位。まずは1勝が欲しいです。そして、目指すはタイトル。残り2戦、トップとの差は16ポイントと厳しいですが、可能性は十分あります。みんな努力してやってきているから、少しでも妥協するとレースは勝てません。J-GP2クラスの中で勝つには、だれよりも頭一つ、出なくちゃいけない、そのためには体力面もメンタルでも、少しも妥協はしたくないと思っています。

中上選手がMoto2に戻ってきたのが今の自分の歳なんです(20歳)。10代からGPで活躍している外国人選手とは環境が違いますから、今の自分でも遅くはないと思っています。ですが、焦りとは違いますが、「いつまでももたもたしていられない」という気持ちを常に持っています。すごくいい環境でレースができているので、世界に行くためにやらなければならないことは分かっています。今できることをしっかりと積み重ねて、世界へとステップアップしていきたいです!




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