モータースポーツ > 全日本ロードレース選手権 > SPOTLIGHT ON THE FIGHTERS 「Hondaで戦うライダーたち」 > 山口 辰也

全日本ロードレース選手権にフルエントリーして、今シーズンで18年目。2002年にはJSB1000クラスでシリーズチャンピオンに輝いたほか、2010年、11年と2年連続でST600クラスのシリーズチャンピオンに君臨するなど、トップライダーの中でも極めて息の長い選手として多くのファンを魅了しています。その山口選手は TOHO Racing with MORIWAKIからJSB1000クラスに再挑戦。今季は、転倒リタイアに終わった第4戦菅生大会を除く3戦ですべて入賞し、ポイントランキングは7位と絶好の位置に。Hondaのサポートを受けながら、虎視眈々と上位を狙っています。

■こだわりが違う。妥協しない。それが僕らの成績につながっている

いろいろな意味で今年はチャンスだと考えています。というのも、TOHO Racing with MORIWAKIとして取り組んできたレース活動も今年で3年目。いわゆるトップエントラントの強豪チームと対等というわけにはいきませんが、ギャップは確実に縮まってきていると思います。予選のタイム差もそうですし、決勝レース中にはトップチームの前で周回できていることも事実です。レース展開や路面状況次第では表彰台に手が届きそうなところまできていますし、大逆転を狙ってチーム一丸となって取り組んでいます。

マシンそのものは、いわゆる市販キットなんですよ。特別なパーツが優先的に手に入るわけではありません。予選タイムの速さやレース結果から、「特別扱いされている」と勘違いされている方もいらっしゃいますが、まったくのプライベーターです。ただし、僕たちはこだわりが違います。妥協しない。サポートしていただいたマシンを納得できるまでセッティングして、あらゆるシチュエーションに対応できるように準備を怠りません。その努力が徐々に実を結んでいるのだと確信しています。



■チームとして強くなる基盤作りをしたい

今シーズンからKYBさんにサスペンションをサポートしていただけるようになりました。サスペンションパーツそのものもうれしいのですが、スタッフの方とデータのやりとりやセッティングについて現場で意見をかわせるのが、なによりも大きいです。レスポンスの速さ、情報の質の高さがタイムに反映されますから。こういった環境を作り上げていくのも僕の大きな仕事だと思っています。成績を残すことでサポートが付く。サポートが付くことでさらに高みを目指せる。この好循環システムをチームに残すことが次のステップになる。僕はそう信じています。

例えば、HondaのトップチームであるMuSASHi RT ハルクプロのような環境まで押し上げていくのが僕の夢なんです。時間はかかるかもしれない。ひょっとしたらライダーを辞めているかもしれない。でも、TOHO Racing with MORIWAKIとしてしっかり基盤作りはできつつあると思います。



■結果を残すためのあらゆるスキルを伝えていきたい

ライダー育成も大きな仕事です。チームではこれまでにも若手育成のシステム作りに取り組んでおり、今シーズンからは國川浩道選手と宮嶋佳毅選手の2人がTOHO Racing Powered by MORIWAKIから全日本ロードレース選手権にエントリー。彼らにアドバイスするのはライディングだけではありません。マシンを作り上げていくプロセス、メカニックさんへの情報の伝え方、チームのまとめ方……。いろいろなノウハウを継承していきたいのです。僕だけが分かっているのではなく、チーム全体としてサポート企業から信頼されることが成長に欠かせない要素なのですから。

TOHO若手育成プログラムを立ち上げ、CBR250R Dream Cupに参戦する若手ライダーをサポート(マシン貸与)する活動も行っています。活動を通じ、僕らも得るものがあると確信しています。



■決してあきらめない。チェッカーフラッグが振られるまで

勝ちにいきます。全戦狙っていますよ。レーサーですから当然です。ただし、目の前のリザルトだけで一喜一憂しない。長年、トップチームにいてシリーズチャンピオンもとっているから、勝利が簡単ではないこともよく分かります。遠くの大きな目標のために、目の前のレースに最善を尽くします。でも、勝利へのどん欲さがなければチャンスが巡ってきても、みすみす逃してしまいます。それもよく分かっている。だから一つでも前を狙います。トップが見える場所でレースをします。 チェッカーをくぐるまでトップグループに手が届くところで粘ります。ひたすらその繰り返しです。僕は決してあきらめませんよ。



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