モータースポーツ > 全日本ロードレース選手権 > 第4戦 筑波サーキット > 決勝
2013年6月30日(日)・決勝 会場:筑波サーキット 天候:曇り、ときどき晴れ
気温:28℃ 観客:1万7000人
MFJ全日本ロードレース選手権は第4戦目を迎えましたが、4クラス同時の開催は開幕戦以来2度目となり、レギュラーライダーたちが顔をそろえました。
JSB1000参戦の秋吉耕佑(F.C.C.TSR Honda)は、ランキングトップで筑波に入り、今季3勝目を目指してレーススケジュールをこなしました。予選はノックアウト方式で行われました。秋吉は30分間のQ1の3周目に、1コーナーで転倒してしまい、そのまま筑波市内の病院に搬送。チーム監督の藤井正和氏は、秋吉のケガについて「左大たい骨骨折、肺挫傷で、頭も打っています」と語り、今後の参戦予定は未定ということでした。秋吉はJSB1000のトップライダーであり、今季2勝を挙げてランキングトップ。チャンピオン候補の筆頭だっただけに、痛恨の転倒となりました。秋吉は筑波大会をキャンセルし、チームスタッフも予選終了後には撤収し、サーキットをあとにしました。
JSB1000でポールポジション(PP)を獲得したのは中須賀克行(ヤマハ)。山口辰也(TOHO Racing with MORIWAKI)は4番手に食い込みました。高橋巧(MuSASHi RT ハルクプロ)は思うようにセッティングが進まずに7番手でした。
決勝では、津田拓也(スズキ)がホールショット。それを中須賀がマークし、2台はペースアップして後続を引き離します。しかし、7ラップ目に入ると中須賀のマシンにトラブルが発生し、スローダウン。そのままピットインしてリタイアとなりました。3番手には加賀山就臣(スズキ)、山口、高橋、柳川明(カワサキ)、渡辺一樹(カワサキ)が集団となり、接近戦を繰り広げます。高橋が山口を捕らえて4番手に浮上し、7ラップ目には2番手に浮上、トップの津田を追いかけます。しかし、その差は3秒から4秒に開いており、なかなか差を詰めることができません。そのあと、高橋は単独2番手を走行し、3番手には加賀山を捕らえた柳川が浮上。4番手加賀山、5番手渡辺、6番手に山口のオーダーで周回を重ねていきました。中盤過ぎには周回遅れのマシンが出てきたことで、それぞれのビハインドが変化します。高橋は津田を追い詰めようとしますが、津田は逃げきり、初優勝を飾りました。2位に高橋、3位には柳川が入りました。
ST600の決勝では、渡辺一馬(Kohara Racing Team)がPPを獲得しました。渡辺は好スタートを切り、それを追いかける中冨伸一(ヤマハ)、伊藤勇樹(ヤマハ)、岩崎哲朗(カワサキ)、井筒仁康(カワサキ)、小山知良(CLUB PLUSONE with T.Pro)がトップ集団を形成します。4ラップ目に中冨が渡辺をパスしてトップに浮上。井筒が転倒して荒れたレースとなり、トップ争いは中冨、渡辺に絞られます。渡辺は1コーナーで仕掛けますが、中冨はトップを譲らず、神経戦が続きます。しかし、23ラップ目の最終コーナーで渡辺が中冨を抑えてトップに立つと、そのまま突き放し、念願の優勝を飾りました。中冨は2位でした。トップ争いの後方で伊藤が3番手をキープしていましたが、岩崎が伊藤に迫り、コントロールタワー前で逆転し、3位となりました。伊藤は4位でした。表彰台に渡辺、中冨、岩崎が上がりましたが、レース後に中冨の白旗無視が判明し、30秒加算のペナルティーが科せられ、10位に。3位から10位のライダーが繰り上げとなりました。
J-GP2は長島哲太(テルル&EM★KoharaRT)がPPを獲得。決勝は中本郡(ヤマハ)が好スタートを切り、ホールショットは井筒仁康(カワサキ)が奪いました。それを中本、デチャ・クライサルト(ヤマハ)、長島、生形秀之(スズキ)が追いました。長島は3ラップ目には3番手に浮上し、トップを追いかけますが、最終コーナーで転倒してしまいます。長島にはスタートでフライングしたことで、黒旗が提示されていましたが、そのまま救急車で筑波市内の病院に運ばれてしまい、リタイアとなりました。さらに波乱は続き、トップを走る井筒が5ラップ目に転倒。そのあと、トップは追い上げた生形となり、岩田悟(Team PLUS ONE)と高橋英倫(カワサキ)、野左根航汰(ヤマハ)がトップ争いを展開します。この集団による攻防は最終ラップまで続き、生形が優勝、2位に高橋、3位には岩田をパスした野左根が入りました。4位に岩田、5位に浦本修充(MuSASHi RT ハルクプロ)となりました。
J-GP3のPPを獲得した山田誓己(TEAM PLUSONE & ENDURANCE)と、2番手の國峰啄磨(Projectμ7C HARC)は、コースレコードを更新しました。WGP125ccクラスの1998年度チャンピオンである坂田和人(Honda)が、2005年にスポット参戦した際に記録したタイムが、GP125時代のコースレコードとして残っており、そのタイムを2人が更新しました。
決勝でレースをリードしたのは山田でした。それを國峰が追う展開となります。2人は後続を引き離していきますが、3周目に國峰がスリップダウン。再スタートしたものの、大きく順位を落としてしまいます。そのあと、山田は59秒台でコンスタントに周回を重ね、2番手となった山本剛大(Team NOBBY)を引き離します。一方の國峰も、トップの山田と同じ59秒台で走行し、ポジションを上げていきます。そして20ラップ目には、2番手の山本の背後に迫ります。そんな中、山本が痛恨の転倒。國峰は2番手に浮上します。山田は23ラップ目にファステストラップを更新し、25ラップを走りきって開幕2連勝を飾りました。國峰は2位に入り、3位には予選11番手から着実に順位を上げていった徳留真紀(Tome team PLUSONE)が入りました。
高橋巧(JSB1000 2位)「スタートに失敗したのが敗因です。アウトからまくろうと1コーナーに進入したのですが、うまく処理できずに、順位を上げるのに時間がかかってしまいました。2番手に上がっても、追いつくのは難しかったです。レースウイークでマシンのセットアップが進まず、決勝朝のフリー走行で試しましたが、あまり変わりませんでした。自分好みにマシンセットを進められ、予選での順位がもう少しよければと思います。鈴鹿8時間耐久ロードレースは厳しいレースですが、優勝目指してがんばります。8耐をいいきっかけとして、全日本の後半戦でタイトルを狙いたいです」
渡辺一馬(ST600 優勝) 「今回は確実に自分に流れを取り戻せるように、勝つことだけを考えていました。前半戦は中冨さんについていき、なるべく後続との差を広げたいと走っていました。余裕を持ってついていくことができていたので、残り10ラップで勝負がしたいと思っていました。1コーナーでは、中冨さんの進入が鋭く、前に出ることができませんでしたが、バックストレートから最終コーナーで前に出ることができました。運がよかっただけで、もう一度同じようにはできないと思います。ST600を走るようになってから、中冨さんをずっと追いかけて、いつか抜けるようにと思って走ってきましたので、中冨さんに勝てたことは自信になりました。自分の勝利のために、たくさんの人がサポートしてくれています。ですので、勝つことができて、本当によかったです。これからは内容にもこだわり、圧倒的な速さをみせられるようにがんばっていきたいと思います」
長島哲太(J-GP2 リタイア)「金曜日のフリー走行からコースレコードを記録でき、予選でもポールポジションが獲得できるほど調子がよかったのですが、フロントが切れ込む症状が出ていました。それをなんとかしようとしていたのですが、うまい解決策が見つからずに不安を残しての決勝でした。スタートを失敗してしまったと思いましたが、フライングには気がつきませんでした。追い上げる中で、フロントから転倒してしまいました。足を打撲した程度で、次の走行には問題ありません。応援してくださった皆さんに心配をかけてしまい、申し訳ありません。後半戦で、ちゃんとばん回します」
山田誓己(J-GP3 優勝) 「予選結果から見て、國峰選手との戦いになると思っていました。序盤の國峰選手の転倒で、展開としては楽になったと思います。自分のペースを守り、集中して走りました。マシンのセットアップが順調に進み、乗りやすく仕上がっていたことが勝因です。チームに感謝します。開幕から2連勝できてうれしいです。このままの勢いを大事に戦っていきたいです」
國峰啄磨(J-GP3 2位) 「ダンロップコーナーの進入でマシンが跳ねる症状が出ていたのですが、コントロールできる範囲だと思っていました。しかし、決勝での走りでは、すごいアタックをかけたので、その症状が大きくなり、フロントから切れ込んで転んでしまいました。自分のミスです。しかし、開幕もノーポイントでしたので『ここでノーポイントは絶対にしてはいけない』と思い、ハンドルから手を離しませんでした。そこから追い上げての2位なので、悔しいですが、よかったです」
徳留真紀(J-GP3 3位) 「開幕戦で、優勝を目前にして転倒し、肩を脱きゅう骨折してしまい、ずっと、マシンに乗ることができませんでした。筋力が落ちてしまったので、リハビリから始め、先週の事前テストに参加しましたが、一日だけに絞って大事に準備してきました。ですから、表彰台は想像しておらず、うれしいです。ウォームアップで試したセットがうまくいき、3位に入れました。山田選手はチームメートなので、勝ってくれてうれしいです。これから調子を上げて、トップ争いに加わっていきたいです」
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム/差 |
---|---|---|---|---|
1 | 12 | 津田拓也 | スズキ | 28:28.579 |
2 | 634 | 高橋巧 | Honda | +2.159 |
3 | 87 | 柳川明 | カワサキ | +5.068 |
4 | 71 | 加賀山就臣 | スズキ | +11.157 |
5 | 104 | 山口辰也 | Honda | +11.568 |
6 | 50 | 渡辺一樹 | カワサキ | +13.924 |
7 | 32 | 今野由寛 | スズキ | +36.947 |
8 | 33 | 藤田拓哉 | ヤマハ | +37.440 |
9 | 16 | 吉田光弘 | Honda | +1Lap |
10 | 6 | 須貝義行 | ドゥカティ | +1Lap |
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム/差 |
---|---|---|---|---|
1 | 6 | 渡辺一馬 | Honda | 24:32.387 |
2 | 14 | 岩崎哲朗 | カワサキ | +7.240 |
3 | 76 | 伊藤勇樹 | ヤマハ | +7.240 |
4 | 71 | 小山知良 | Honda | +7.808 |
5 | 16 | 國川浩道 | Honda | +8.049 |
6 | 634 | 亀谷長純 | Honda | +26.213 |
7 | 23 | 近藤湧也 | ヤマハ | +28.404 |
8 | 45 | 高橋颯 | カワサキ | +29.609 |
9 | 11 | 横江竜司 | ヤマハ | +30.456 |
10 | 2 | 中冨伸一 | ヤマハ | +30.765 |
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム/差 |
---|---|---|---|---|
1 | 2 | 生形秀之 | スズキ | 24:27.537 |
2 | 51 | 高橋英倫 | カワサキ | +0.208 |
3 | 31 | 野左根航汰 | ヤマハ | +0.530 |
4 | 34 | 岩田悟 | Honda | +3.786 |
5 | 634 | 浦本修充 | Honda | +8.040 |
6 | 30 | D.クライサルト | ヤマハ | +10.972 |
7 | 12 | 中本郡 | ヤマハ | +13.123 |
8 | 7 | 大木崇行 | Honda | +17.427 |
9 | 8 | 関口太郎 | ヤマハ | +18.950 |
10 | 392 | 津田一磨 | スズキ | +19.069 |
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム/差 |
---|---|---|---|---|
1 | 3 | 山田誓己 | Honda | 24:59.154 |
2 | 55 | 國峰啄磨 | TSR | +17.118 |
3 | 1 | 徳留真紀 | TSR | +19.077 |
4 | 78 | 大久保光 | Honda | +21.154 |
5 | 88 | 水野涼 | Honda | +21.434 |
6 | 32 | 北見剣 | Honda | +24.204 |
7 | 14 | 長尾健吾 | Honda | +25.511 |
8 | 8 | 亀井雄大 | Honda | +27.384 |
9 | 67 | 鳥羽海渡 | TEC2 | +35.004 |
10 | 33 | 山元聖 | Honda | +35.278 |
順位 | ライダー | マシン | 総合ポイント |
---|---|---|---|
1 | 高橋巧 | Honda | 78 |
2 | 柳川明 | カワサキ | 76 |
3 | 秋吉耕佑 | Honda | 72 |
4 | 加賀山就臣 | スズキ | 71 |
5 | 津田拓也 | スズキ | 67 |
6 | 中須賀克行 | ヤマハ | 61 |
7 | 山口辰也 | Honda | 60 |
8 | 今野由寛 | スズキ | 50 |
9 | 藤田拓哉 | ヤマハ | 44 |
10 | 吉田光弘 | Honda | 35 |
順位 | ライダー | マシン | 総合ポイント |
---|---|---|---|
1 | 横江竜司 | ヤマハ | 75 |
2 | 大崎誠之 | ヤマハ | 66 |
3 | 渡辺一馬 | Honda | 58 |
4 | 井筒仁康 | カワサキ | 57 |
5 | 亀谷長純 | Honda | 51 |
6 | 稲垣誠 | ヤマハ | 44 |
7 | C.ポラマイ | ヤマハ | 43 |
8 | 中冨伸一 | ヤマハ | 39 |
9 | 伊藤勇樹 | ヤマハ | 37 |
10 | 高橋颯 | カワサキ | 30 |
順位 | ライダー | マシン | 総合ポイント |
---|---|---|---|
1 | 生形秀之 | スズキ | 47 |
2 | 高橋英倫 | カワサキ | 47 |
3 | 野左根航汰 | ヤマハ | 38 |
4 | 浦本修充 | Honda | 32 |
5 | 星野知也 | Honda | 28 |
6 | 岩田悟 | Honda | 26 |
7 | 中村豊 | Honda | 23 |
8 | 津田一磨 | スズキ | 23 |
9 | 大木崇行 | Honda | 19 |
10 | 佐藤太紀 | TSR | 16 |
順位 | ライダー | マシン | 総合ポイント |
---|---|---|---|
1 | 山田誓己 | Honda | 50 |
2 | 亀井雄大 | Honda | 35 |
3 | 長尾健吾 | Honda | 30 |
4 | 水野涼 | Honda | 28 |
5 | 小室旭 | Honda | 24 |
6 | 鳥羽海渡 | TEC2 | 23 |
7 | 國峰啄磨 | TSR | 22 |
8 | 徳留真紀 | TSR | 20 |
9 | 山本剛大 | FTR-Honda | 20 |
10 | 大久保光 | Honda | 18 |