Team HRCがドラマチックな完全勝利を収めた開幕戦の2週間後、会場を九州から関東に移し、全日本モトクロス選手権の第2戦が行われました。埼玉県川越市と上尾市にまたがるオフロードヴィレッジは、平坦な河川敷に設けられたコースで、ビッグジャンプや長いフープスをタイトターンで結んだレイアウトが特徴です。
オフロードヴィレッジの硬質土にウッドチップを混ぜた路面は、入念な掘り起こし作業が施されていました。土曜の夜に降った雨によって、日曜の午前中はウエットで滑りやすい状況でしたが、午後にはわだちの多いドライコンディションとなりました。
Team HRCの成田亮と山本鯨は、開幕戦で同ポイント(成田=優勝/2位、山本=2位/優勝)でしたが、暫定ランキング首位の証であるゴールドのポイントリーダーズゼッケンは、今大会から山本のマシンに装着されています。
ヒート1でホールショットを奪ったのは成田。これに山本が続いて、Team HRCがトップ2となりました。山本はスタート直後から積極的に成田の攻略を試みましたが、成田は巧みにこれをかわしてトップをキープ。4周目の段階では、成田を先頭に山本、新井宏彰(カワサキ)、小方誠(カワサキ)、小島庸平(スズキ)までが先頭グループになりました。
5周目以降、このトップグループからまず小島が脱落して、優勝争いは、ほぼ4台に絞られたかたちに。成田、山本、新井、小方が接近戦を続けたまま、レースは後半を迎えました。そして、1、2秒の差で4台が数珠つなぎとなったまま、順位変動はなくレースは終盤に入りました。
優勝争いに動きがあったのは、ラスト3周となった18周目。トップを守ってきた成田がわずかにミスをして、この間に山本が先行。成田が2番手となりました。すると山本は、次周にペースを上げてリードを拡大。成田には残り2周で順位を上げてきた小方が迫りましたが、ここは成田が抑えました。そして山本がトップ、成田が2位でチェッカーを受けました。
成田亮(左)、山本鯨(右)
ヒート2では、スタート直後の1コーナーで山本が他車と激しい主導権争いを繰り広げている中で転倒。コースイン側に吹き飛ばされた山本は、身体にダメージを負い、トップから1分以上遅れてなんとかレースに復帰することになりました。一方、成田はスタートダッシュで再び好位置をキープし、新井に次ぐ2番手で1周目をクリアしました。
レース序盤、成田は思うようにペースが上がらず、3周目あたりから新井に離される苦しい展開に。最初の5周で新井に10秒近いリードを許してしまいました。成田の後方では、小島と小方が約2秒ずつの間隔を開けながら追走。6周目以降、この距離が詰まって3台が接近戦になりました。
そして8周目、順位を守っていた成田は小島に先行を許すと、ここでミスを喫して小方にも抜かれてしまいました。その後、成田は前の2台から離されて単独走行。終盤、10周目に3番手へと後退した小島のペースが落ち、成田はこれに近づきましたが、勝負のチャンスを得る前にレースはチェッカーとなりました。成田は4位でゴール、山本は13位で完走しました。
山本鯨(IA1 優勝/13位)
「僕は、このコースがある埼玉県の出身で、今大会にはたくさんの方々が応援に駆けつけてくれました。また、Team HRCにとってもここは地元なので、ヒート1で優勝することができたことはとてもハッピーに思っています。ずっと成田選手の後ろを走っていましたが、とても速くて途中で心が折れそうになる瞬間もありました。でも、うまく速いラインを盗むことができ、なんとか勝つことができました。やはり成田選手は、簡単に勝たせてくれるような相手ではありません。とはいえ開幕戦でも伝えたように、こういう環境で走れることは、自分にとってもプラスにつながると思っています」
成田亮(IA1 2位/4位)
「ヒート1は、せっかくトップを守り続けたのに、最後の最後で抜かれてしまって非常に悔しいレースでした。背後でずっと山本選手にプレッシャーをかけられ、最後は本当にプレッシャー負けして、コースアウトを喫してしまいました。ラストにもう一勝負と思ったのですが、抜かれてからは山本選手が本当に速く、勝てませんでした。今大会は、狭いコースでリズムに乗れずうまく走れませんでしたが、こういうときもあると思います。次戦まで少し時間があるので、体調などをしっかり整えて臨みます」
芹沢勝樹 | Team HRC監督
「今回はタイトなコースで、マシンのセットアップに関して難しい部分もあり、なかなかライバルに対して大きなアドバンテージを築けない状況でした。しかし、それでもヒート1では、ライダー2人のがんばりもあって、Team HRCで1-2フィニッシュを決めることができ、この点に関しては満足しています。ヒート2は、山本がスタート直後のクラッシュで身体にダメージを負いながらも、シリーズランキング争いで生きてくるであろう貴重な8ポイントを獲得。成田は、厳しい状況の中でも4位に入ることができました。もちろん、常に勝つという目標は立てていますが、レースですからそれは簡単なことではありません。次戦からまた、勝ち続けられるように臨みます。なお山本は、大事をとって早めに帰らせましたが、それほど大きなケガはないと思います」
順位 | No. | ライダー | マシン | 周回数 | タイム/差 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 400 | 山本鯨 | 20 | 32'17.610 | |
2 | 1 | 成田亮 | 20 | +00'04.268 | |
3 | 331 | 新井宏彰 | カワサキ | 20 | +00'05.127 |
4 | 10 | 小方誠 | カワサキ | 20 | +00'05.680 |
5 | 44 | 小島庸平 | スズキ | 20 | +00'37.056 |
6 | 99 | 平田優 | ヤマハ | 20 | +00'40.228 |
7 | 7 | 深谷広一 | スズキ | 20 | +00'47.555 |
8 | 166 | 星野優位 | KTM | 20 | +00'48.450 |
9 | 448 | 伊藤正憲 | ヤマハ | 20 | +01'22.173 |
10 | 793 | 池谷優太 | スズキ | 20 | +01'24.182 |
11 | 45 | 大塚豪太 | 20 | +01'24.776 | |
12 | 113 | 田中雅己 | 20 | +01'27.379 | |
15 | 117 | 馬場大貴 | 19 | +1Lap | |
18 | 72 | 村上洸太 | 18 | +2Laps |
順位 | No. | ライダー | マシン | 周回数 | タイム/差 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 331 | 新井宏彰 | カワサキ | 20 | 32'19.125 |
2 | 10 | 小方誠 | カワサキ | 20 | +00'15.682 |
3 | 44 | 小島庸平 | スズキ | 20 | +00'27.923 |
4 | 1 | 成田亮 | 20 | +00'30.238 | |
5 | 99 | 平田優 | ヤマハ | 20 | +00'31.735 |
6 | 166 | 星野優位 | KTM | 20 | +00'46.843 |
7 | 7 | 深谷広一 | スズキ | 20 | +00'52.694 |
8 | 113 | 田中雅己 | 20 | +00'58.379 | |
9 | 448 | 伊藤正憲 | ヤマハ | 20 | +01'17.977 |
10 | 793 | 池谷優太 | スズキ | 20 | +01'26.978 |
13 | 400 | 山本鯨 | 19 | +1Lap | |
14 | 45 | 大塚豪太 | 19 | +1Lap | |
15 | 117 | 馬場大貴 | 19 | +1Lap | |
19 | 72 | 村上洸太 | 17 | +3Laps |
順位 | No. | ライダー | マシン | 総合ポイント | |
---|---|---|---|---|---|
1 | 1 | 成田亮 | 87 | ||
2 | 400 | 山本鯨 | 80 | ||
3 | 44 | 小島庸平 | スズキ | 74 | |
4 | 331 | 新井宏彰 | カワサキ | 70 | |
5 | 10 | 小方誠 | カワサキ | 69 | |
6 | 99 | 平田優 | ヤマハ | 69 | |
7 | 7 | 深谷広一 | スズキ | 58 | |
8 | 448 | 伊藤正憲 | ヤマハ | 48 | |
9 | 166 | 星野優位 | KTM | 44 | |
10 | 113 | 田中雅己 | 44 | ||
12 | 45 | 大塚豪太 | 40 | ||
15 | 117 | 馬場大貴 | 25 | ||
17 | 72 | 村上洸太 | 16 | ||
19 | 09 | 小野千成 | 10 |