2012年10月7日(日)・決勝 会場:世羅グリーンパーク弘楽園 天候:晴れときどき曇り 気温:21℃
コースコンディション:ドライ 観客:5400人
全日本モトクロス選手権はいよいよシーズン終盤を迎え、第8戦中国大会が、今季第3戦でも会場となった広島県の世羅グリーンパーク弘楽園で開催されました。広島県南東部の世羅高原にあるこのコースは、ハードな路面やアップダウンが多いレイアウト、ラムソンジャンプをはじめとするダイナミックかつテクニカルなジャンプを特徴とした、ハイスピードコースです。
天候は、各クラスの予選が行われた土曜日がどんよりとした曇り空。しかし決勝が開催された日曜日は、朝から秋晴れのすがすがしい晴天に恵まれました。高原ということもあり、早朝には10℃近くまで気温が下がりましたが、日中は20℃以上となりました。
全日本モトクロス選手権の最高峰クラスとなるIA1では、今季、TEAM HRCの成田亮がシーズン序盤からポイントランキングをリード。この第8戦を、2番手と46ポイント差の暫定トップで迎えました。さらに、チームメートの平田優は3位、小方誠は6位から、さらなる上位進出を目指しました。
●IA1(450/250)ヒート1
HondaファクトリーチームのTEAM HRCから参戦する成田亮がホールショット。ところがその直後、後続のクラッシュにより赤旗が振られ、再スタートとなってしまいました。2度目のスタートでは、TEAM HRC勢の3台がともに出遅れ、成田が10番手、小方が11番手、平田は13番手で1周目をクリアしました。
それでも2周目以降、3台ともに追い上げ、3周目には成田が5番手、小方が8番手、平田が10番手に浮上しました。さらに、成田は4周目に深谷広一(TEAM.MOTO.SPORTS.FUKAYA)を抜くなどして、序盤で3番手までポジションをアップ。レースが中盤に入ると、2番手の熱田孝高(スズキ)に迫りました。
ところが、レース後半になって成田はペースを落として、徐々に順位を下げてしまいました。そしてレース終盤、TEAM HRCの3人や深谷を含む8台が、接近戦の4番手争いを展開。レースは19周でチェッカーとなり、成田は6位でゴール。小方は8位、ラスト3周で順位を下げた平田は11位に終わり、Honda勢の最上位は5位入賞の深谷となりました。
●IA1(450/250)ヒート2
好スタートを決めた成田は、オープニングラップを熱田、島崎大祐(スズキ)に次ぐ3番手で走行。2周目に入る手前で島崎を抜くと、熱田に肉薄しました。その後方では、2周目に深谷が5番手、小方が7番手、平田が12番手を走行。3周目に、成田は熱田をパスしてトップに浮上しましたが、すぐに抜き返されて再び2番手での走行を続けました。
レース中盤、熱田、成田、島崎、深谷、小島庸平(スズキ)の5台が縦に長いトップ集団を形成。その後方では、小方を先頭とする4台が6番手争いを展開し、平田は10番手を走行しました。すると、レース時間が残り約10分となった12周目、熱田がマシントラブルによりリタイア。これにより成田は、労せずトップへと浮上しました。
また、13周目には深谷が島崎を抜いて2番手に順位をアップ。ヒート1で勝利した新井宏彰(カワサキ)の追撃をかわし続けた小方は、ラスト2周の18周目に小島を抜き、4番手に上がりました。そしてレースは、トップ浮上後もハイペースを維持した成田が優勝。2位に深谷、4位に小方が入賞しました。平田は8位でゴール。
●IA2(250/125)ヒート1
スタート直後のクラッシュにより、レースは仕切り直しになりましたが、2度目のスタートでは、ランキング2番手で今大会を迎えた星野優位(SEKI Racing MotoRoman&KBF-RS)が大きく出遅れ、2周目が終わった段階で14番手と、苦しい展開となりました。一方、田中雅己(TEAMナカキホンダ×CRF)は1周目から7番手を走行。大混戦となった2番手争いの中で着実に順位を上げ、6周目には3番手となりました。
その後、田中は2番手の山本鯨(スズキ)と接戦を続けながら、トップの岡野聖(スズキ)に接近。8周目、田中は山本と岡野を抜いてトップに浮上しました。ところが田中は、山本を突き放すことができず、15周目に山本に先頭を譲ると、終盤にはこの2台に竹中純矢(カワサキ)も加わり、トップ争いは3台による接近戦に発展。この中で田中は、ラスト2周でトップへと返り咲くと、僅差で逃げきり優勝しました。星野は、5位まで追い上げてゴールしました。
●IA2(250/125)ヒート2
星野がホールショットを奪い、1周目をトップでクリア。これに佐藤亮(N.R.T)が続き、2周目から僅差のトップ争いを繰り広げました。ヒート1優勝の田中はスタートダッシュに失敗して、2周目には12番手を走行。4周目からは、10台による大接戦の5番手争いに加わりました。5周目になると佐藤のペースが落ち、次周には星野と佐藤の差が約5秒に拡大。8周目に3番手に順位を下げた佐藤は、そのあとも後退してしまいました。
この段階で、星野は2番手に対して約10秒のリード。田中は7番手まで順位を上げていました。レース後半、星野はさらに後続との差を拡大。田中は、ラスト6周となった14周目に、3番手と約3秒差の4番手に浮上しました。そして星野は、最後まで危なげなく走りきって勝利。田中は、最終ラップで2番手が転倒したため、3位入賞となりました。星野は、トップと5ポイント差のランキング2番手で、最終戦に臨みます。
成田亮(IA1・6位/優勝) 「ヒート1は、スタートがばっちり決まり、一気に逃げようと思ったところで赤旗が出ました。その後は一度切れた集中を再びうまく高めることができず、チャンピオン争いのプレッシャーも加わって、守りの走りとなってしまいました。しかし、それでは自分らしくないですし、むしろ転倒などのリスクも高まると思い、ヒート2は気持ちや使うラインなどを切り替え、アグレッシブな走りを心がけました。結果的には、マークしていたトップ走行中の熱田孝高選手がおそらくマシントラブルでリタイアとなり、ラッキーな勝利ということになりましたが、自分らしい走りを見せられたと思います。ケガのないよう準備をして、地元で行われる最終戦で、王者にふさわしい走りでシリーズタイトル獲得を決めたいと思います」
深谷広一(IA1・5位/2位) 「昨年から全日本最高峰のIA1に参戦して、昨年は第4戦で4位に入賞しましたが、その直後に大きなケガをして、そのあとのシーズンは走ることができませんでした。復活して臨んだ今季も、途中でケガをしてしまい、シーズン終盤となったこの大会でようやく、IA1初表彰台に上がることができました。苦しいときにサポートしてくれた皆さんに感謝しています。さまざまな人たちの協力で、今大会の前にこのコースで合宿練習をしました。表彰台登壇で、その恩も少しだけ返せたと思います。次回はもう今季最終戦ですが、スポーツランドSUGOでも持ち味のあきらめない走りを続けて、好成績を目指したいと思います」
小方誠(IA1・8位/4位) 「今大会の1週間前に、平田優選手の代役として、ベルギーで開催された国別対抗戦のモトクロス・オブ・ネイションズに参戦してきました。ディープサンド路面のコースは、AMAトップライダーでも苦戦するほど難しく、思うような成績は残せなかったものの、自分にとってはまたとないスキルアップの場となりました。しかし、そのネイションズで大転倒して全身を打撲し、影響が残る状態で今大会に出ることになってしまいました。さらに、今回から僕も新型ファクトリーマシンへと乗り替えたのですが、テストの時間が確保できませんでした。これらの状況を考えると、2大会連続での表彰台登壇はなりませんでしたが、ヒート2の4位という結果には納得しています。身体のケアをしっかりして、最終戦に臨みたいと思います」
平田優(IA1・11位/8位) 「両ヒートとも、スタートで大きく出遅れてしまい、不本意な成績でこの大会を終えることになりました。予選に比べて決勝は、ほこりの発生も多くて、後方での走行は視界が保てず、さらに路面が滑りやすくなったことでラインが限定されていましたので、パッシングできる場所が得られませんでした。両ヒートとも、上位に進出できる可能性があるポジションを走っていた時間帯もあっただけに、残念なレースとなってしまいました。今季は全レースでポイントを獲得し、この大会が終了した時点でもランキング3番手をキープしていますが、一大会で獲得したポイント数では今大会がワーストとなってしまいました。最終戦のスポーツランドSUGOでは、気持ちを切り替えて、好成績が残せるようにがんばります」
井本敬介|TEAM HRC監督 「今大会の成田は全体的に走りが硬く、ヒート1では6位という結果に終わりました。しかしヒート2の中盤以降はうまく修正でき、優勝することができました。今大会の結果で、タイトル獲得に向けてかなり楽な立場となりましたので、最終戦では本来の走りができると思います。小方は、モトクロス・オブ・ネイションズでの打撲による影響が大きかったことから、ヒート2に照準を絞る作戦を立てました。結果的には、その通りの走りとなり、またヒート2ではランキング2位の新井宏彰選手を抑えてゴールしてくれたので、チームとしても満足しています。最終戦までには、身体のコンディションもよくなると思います。平田は、ラップタイムは悪くなかったのですが、うまくリズムに乗ることができませんでした。最終戦までに修正したいと思います。残り1戦、タイトル獲得はもちろん、Hondaのマシンが上位を独占できるよう、チーム一丸となってがんばりたいと思います」
田中雅己(IA2・優勝/3位) 「1カ月間のインターバルがあったことで、ケガの状態は前大会よりもずっとよくなりました。予選ではうまく乗ることができず、不安もありましたが、周りの皆さんが全力で対策を考えてくれて、ヒート1では優勝することができました。最後まで僅差のバトルが続いたので、見ていて楽しいレースだったと思います。ヒート2はスタートで出遅れ、最後はタナボタの3位でしたが、しぶとく走った結果なので、よかったと思います。今回で3勝目ですが、タイトル争いとは関係ない位置で最終戦を迎えるので、残りの2ヒートも見ごたえのあるおもしろいレースをしたいと思います。ぜひ会場まで応援に来てください」
星野優位(IA2・5位/優勝) 「最初のスタート直後に、他車と接触してコースアウトし、クラッチケースカバーが割れ、ハンドルも曲がってしまいました。赤旗が出たことで、カバーは修理できたのですが、ハンドルを直す時間はなく、スタートで真っすぐ出られずに遅れてしまいました。とはいえ、赤旗がなければリタイアだったかもしれないレースで、5位まで追い上げてゴールできましたので、ラッキーだったと思います。そしてヒート2では久々に自分らしく気持ちのいいレースができました。スタートで前に出た瞬間に、いけると思いました。最終戦は、チャンピオンを意識するというよりは、両ヒートとも勝つことだけに気持ちを向けて臨みます」
順位 | No. | ライダー | マシン | 周回数 | タイム/差 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 331 | 新井宏彰 | カワサキ | 19 | 31:55.569 |
2 | 2 | 熱田孝高 | スズキ | 19 | +00:11.622 |
3 | 44 | 小島庸平 | スズキ | 19 | +00:15.713 |
4 | 52 | 島崎大祐 | スズキ | 19 | +00:16.191 |
5 | 14 | 深谷広一 | Honda | 19 | +00:18.982 |
6 | 1 | 成田亮 | Honda | 19 | +00:20.607 |
8 | 40 | 小方誠 | Honda | 19 | +00:22.257 |
10 | 24 | 納屋望 | Honda | 19 | +00:32.831 |
11 | 6 | 平田優 | Honda | 19 | +00:39.784 |
20 | 13 | 芹沢翔悟 | Honda | 18 | +1Lap |
22 | 94 | 谷本功志 | Honda | 18 | +1Lap |
28 | 7 | 増田一将 | Honda | 16 | DNF |
順位 | No. | ライダー | マシン | 周回数 | タイム/差 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 1 | 成田亮 | Honda | 19 | 32:15.556 |
2 | 14 | 深谷広一 | Honda | 19 | +00:01.731 |
3 | 52 | 島崎大祐 | スズキ | 19 | +00:04.921 |
4 | 40 | 小方誠 | Honda | 19 | +00:07.673 |
5 | 331 | 新井宏彰 | カワサキ | 19 | +00:08.717 |
6 | 44 | 小島庸平 | スズキ | 19 | +00:08.776 |
8 | 6 | 平田優 | Honda | 19 | +00:28.442 |
10 | 24 | 納屋望 | Honda | 19 | +00:33.653 |
22 | 94 | 谷本功志 | Honda | 16 | DNF |
23 | 13 | 芹沢翔悟 | Honda | 15 | DNF |
順位 | No. | ライダー | マシン | 周回数 | タイム/差 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 113 | 田中雅己 | Honda | 19 | 32:21.385 |
2 | 55 | 山本鯨 | スズキ | 19 | +00:00.358 |
3 | 57 | 竹中純矢 | カワサキ | 19 | +00:01.336 |
4 | 1 | 三原拓也 | カワサキ | 19 | +00:04.174 |
5 | 166 | 星野優位 | Honda | 19 | +00:20.405 |
6 | 61 | 岡野聖 | スズキ | 19 | +00:23.202 |
7 | 50 | 富田俊樹 | Honda | 19 | +00:26.363 |
9 | 70 | 佐藤亮 | Honda | 19 | +00:33.628 |
11 | 58 | 小川孝平 | Honda | 19 | +00:39.876 |
12 | 64 | 近藤祐介 | Honda | 19 | +01:04.069 |
13 | 68 | 馬場大貴 | Honda | 19 | +01:06.303 |
16 | 03 | 道脇右京 | Honda | 19 | +01:12.749 |
22 | 08 | 上佐祥敬 | Honda | 19 | +01:29.258 |
24 | 92 | 松下光 | Honda | 18 | +1Lap |
26 | 80 | 飯野俊寿 | Honda | 18 | +1Lap |
27 | 97 | 榎田諒介 | Honda | 18 | +1Lap |
28 | 02 | 村上洸太 | Honda | 18 | +1Lap |
順位 | No. | ライダー | マシン | 周回数 | タイム/差 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 166 | 星野優位 | Honda | 19 | 32:50.114 |
2 | 55 | 山本鯨 | スズキ | 19 | +00:07.199 |
3 | 113 | 田中雅己 | Honda | 19 | +00:08.767 |
4 | 57 | 竹中純矢 | カワサキ | 19 | +00:09.688 |
5 | 1 | 三原拓也 | カワサキ | 19 | +00:19.886 |
6 | 60 | 上田康平 | スズキ | 19 | +00:20.860 |
9 | 70 | 佐藤亮 | Honda | 19 | +00:41.300 |
10 | 58 | 小川孝平 | Honda | 19 | +00:52.309 |
12 | 03 | 道脇右京 | Honda | 19 | +00:59.965 |
16 | 68 | 馬場大貴 | Honda | 19 | +01:19.397 |
20 | 64 | 近藤祐介 | Honda | 19 | +01:32.379 |
21 | 08 | 上佐祥敬 | Honda | 19 | +01:34.509 |
22 | 80 | 飯野俊寿 | Honda | 19 | +01:46.838 |
26 | 97 | 榎田諒介 | Honda | 18 | +1Lap |
27 | 02 | 村上洸太 | Honda | 18 | +1Lap |
30 | 50 | 富田俊樹 | Honda | 17 | +2Laps |
RT | 92 | 松下光 | Honda | 3 | DNF |
順位 | ライダー | マシン | 総合ポイント |
---|---|---|---|
1 | 成田亮 | Honda | 372 |
2 | 新井宏彰 | カワサキ | 327 |
3 | 平田優 | Honda | 282 |
4 | 小島庸平 | スズキ | 252 |
5 | 熱田孝高 | スズキ | 238 |
6 | 小方誠 | Honda | 226 |
9 | 深谷広一 | Honda | 182 |
12 | 増田一将 | Honda | 146 |
20 | 芹沢翔悟 | Honda | 40 |
22 | 納屋望 | Honda | 30 |
27 | アーノン・テブリブ | Honda | 10 |
30 | 小林雅裕 | Honda | 2 |
31 | 谷本功志 | Honda | 2 |
順位 | ライダー | マシン | 総合ポイント |
---|---|---|---|
1 | 山本鯨 | スズキ | 336 |
2 | 星野優位 | Honda | 331 |
3 | 三原拓也 | カワサキ | 315 |
4 | 田中雅己 | Honda | 298 |
5 | 竹中純矢 | カワサキ | 235 |
6 | 富田俊樹 | Honda | 221 |
8 | 小川孝平 | Honda | 182 |
10 | 佐藤亮 | Honda | 158 |
13 | 馬場大貴 | Honda | 93 |
14 | 黒澤良太 | Honda | 92 |
15 | 近藤祐介 | Honda | 92 |
20 | 道脇右京 | Honda | 48 |
25 | 江原大地 | Honda | 23 |
27 | 村上洸太 | Honda | 14 |
28 | 近藤涼太 | Honda | 13 |
30 | 飯野俊寿 | Honda | 5 |
33 | 飯田義明 | Honda | 2 |
34 | 上佐祥敬 | Honda | 1 |
34 | 松下光 | Honda | 1 |