2012年6月3日(日)・決勝 会場:ベル・アイル・レースウェイ 天候:晴れ 気温:25〜26℃
モーターシティと呼ばれるデトロイトでインディカー・レースが開催されるのは3年ぶりのことです。ダウンタウンのすぐ北のベル・アイルで行われるレースは、ストリートコースとは思えないハイスピードで争われるスリリングなもので、90年代から高い人気を誇ってきました。そのレースの復活を歓迎したファンがグランドスタンドを埋め尽くし、決勝レースのスタートは切られました。金曜日の走行開始時には、大会期間中の3日間とも悪天候が続く恐れもありましたが、レースは青空の下で戦われることとなりました。
全長2.07マイルのコースを90周するレースは、2ストップと3ストップ、ふたつの作戦が考えられ、出場チームがどのような作戦を採用するかにも注目が集まっていました。今シーズン初のポールポジションからスタートしたスコット・ディクソン(Chip Ganassi Racing)は、2位以下を大きく突き放して独走、トップを明け渡すことなく32周を終えて1回目のピットストップに入りました。そして、レースをリードするスピードを見せつけながら、2ストップでゴールまで走り切る好燃費も実現しました。
39周目、コースからはがれたアスファルトの破片が原因でアクシデントが発生、安全確保のためにレースは赤旗でいったん中断されました。約2時間後にコースが修復され、90周のレースは60周へ短縮されて再開となりました。
ピット・ストップ後もトップを守ったディクソンは、長い中断のあとのリスタートでも危なげのない走りでトップを守り抜き、今季初勝利を飾りました。2位でゴールしたのは、赤旗中断時に6位だったダリオ・フランキッティ(Chip Ganassi Racing)でした。2度のリスタートで見事なオーバーテイクを見せ、インディ500に続いてChip Ganassi Racingの1-2フィニッシュが成し遂げられたのです。そして、3位は予選4番手だったシモン・パジェノー(Schmidt/Hamilton Motorsports)。Hondaはインディ500からの2連勝を今シーズン初の1-2-3フィニッシュ、表彰台独占で達成しました。
佐藤琢磨(Rahal Letterman Lanigan Racing)は、レース序盤のバトルでオーバーテイクを重ね、彼らしいアグレッシブな戦いぶりでスタート時より4つも上のポジション、7位を走行していました。ところが、39周目のターン12出口のコンクリート・ウォールにヒットし、レースを終えました。コーナー・イン側の縁石に左前輪が乗り上げてバランスを崩した結果でした。残念だったのは、赤旗が出される直前のアクシデントであった点でした。
スコット・ディクソン(優勝)「本当にハッピーです。チームの2レース連続の1-2フィニッシュは、がんばってくれているクルーたちのためにもうれしいことです。予期しなかった長い中断のあとも、レースを見続けてくれたファンがたくさんいてくれたのにも感激しました。ゴールを前にした戦いでは、特にターン6付近がガラスのように滑りやすくなっていました。インディカーとデトロイトのスタッフが、コースを修復し、レースを再開してくれたことに感謝します。リスタートからの15周は、とてもエキサイティングで、ファンも楽しんでくれたことと思います」
佐藤琢磨(20位)「スタートは本当に難しく、周りを取り囲まれましたが、何とか順位を上げてターン1、2を通過できました。そこからはリズムに乗ってポジションキープの戦いを続けていましたが、作戦を変更し、早めのピットストップに入りました。しかし、マシンのバランスは自分の好みではありませんでした。デトロイトはマシンを合わせるのが本当に難しいコースです。ターン12でとても高い縁石に乗り上げ、ステアリングホイールに大きなキックバックを受けました。マシンはグリップを失い、それでレースを終えることとなってしまいました。自分の考えていたのとは違った結末となってしましました。次の週末、テキサスでは力強く戦えることと期待しています」
ロジャー・グリフィス|HPD テクニカル・ディレクター「1-2-3で期待以上の結果です。Hondaチームがすばらしい力を発揮してくれたおかげです。スコット・ディクソンは誰にも負けない速さを貫き、ダリオ・フランキッティは最後のリスタート2回で卓越したドライビングを見せてくれました。そして、シモン・パジェノーのレースぶりもファンタスティックでした。今日のレースを戦うまで、ライバルとの燃費やパワーの力関係がどのようになっているのかが判明していませんでした。燃費は私たちの考えていた以上にいい数字が実現されていました。それは非常にうれしいことです。ここからシーズン最終戦までは、今まで以上に、ますますし烈な戦いが続くでしょう。来週のテキサスでもインディカー・バトルはエキサイティングなものになる。それは間違いないと思います」
順位 | No. | ドライバー | チーム | エンジン | タイム/差 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 9 | スコット・ディクソン | Chip Ganassi Racing | Honda | 01:27:39.5053 |
2 | 10 | ダリオ・フランキッティ | Chip Ganassi Racing | Honda | +1.9628 |
3 | 77 | シモン・パジェノー | Schmidt/Hamilton Motorsports | Honda | +2.4773 |
4 | 12 | W.パワー | Team Penske | シボレー | +3.5435 |
5 | 22 | O.セルビア | Panther DRR Racing | シボレー | +9.6619 |
6 | 11 | T.カナーン | KV Racing Technology | シボレー | +10.1676 |
7 | 28 | R.ハンターレイ | Andretti Autosport | シボレー | +10.6455 |
8 | 83 | チャーリー・キンボール | Chip Ganassi Racing | Honda | +11.1048 |
9 | 14 | マイク・コンウェイ | A.J. Foyt Racing | Honda | +11.5351 |
10 | 98 | アレックス・タグリアーニ | Bryan Herta Autosport | Honda | +12.5688 |
15 | 67 | ジョセフ・ニューガーデン | Sarah Fisher Hartman Racing | Honda | - |
19 | 38 | グレアム・レイホール | Chip Ganassi Racing | Honda | - |
20 | 15 | 佐藤琢磨 | Rahal Letterman Lanigan Racing | Honda | - |
22 | 18 | ジャスティン・ウィルソン | Dale Coyne Racing | Honda | - |
23 | 19 | ジェームズ・ジェイクス | Dale Coyne Racing | Honda | - |
順位 | ドライバー | チーム | 総合ポイント |
---|---|---|---|
1 | W.パワー | Team Penske | 232 |
2 | スコット・ディクソン | Chip Ganassi Racing | 206 |
3 | H.カストロネベス | Team Penske | 177 |
4 | ダリオ・フランキッティ | Chip Ganassi Racing | 176 |
5 | J.ヒンチクリフ | Andretti Autosport | 176 |
6 | シモン・パジェノー | Schmidt/Hamilton Motorsports | 171 |
7 | R.ハンターレイ | Andretti Autosport | 169 |
8 | R.ブリスコー | Team Penske | 142 |
9 | T.カナーン | KV Racing Technology | 141 |
10 | O.セルビア | Panther DRR Racing | 129 |
11 | チャーリー・キンボール | Chip Ganassi Racing | 120 |
12 | J.R.ヒルデブランド | Panther Racing | 119 |
13 | 佐藤琢磨 | Rahal Letterman Lanigan Racing | 112 |
14 | R.バリチェロ | KV Racing Technology | 112 |
15 | グレアム・レイホール | Chip Ganassi Racing | 109 |
16 | E.J.ヴィソ | KV Racing Technology | 106 |
17 | ジャスティン・ウィルソン | Dale Coyne Racing | 106 |
18 | M.アンドレッティ | Andretti Autosport | 105 |
19 | マイク・コンウェイ | A.J. Foyt Racing | 97 |
20 | ジェームズ・ジェイクス | Dale Coyne Racing | 89 |
21 | ジョセフ・ニューガーデン | Sarah Fisher Hartman Racing | 87 |
22 | S.ブルデー | Dragon Racing | 86 |
23 | E.カーペンター | Ed Carpenter Racing | 85 |
24 | アレックス・タグリアーニ | Bryan Herta Autosport | 79 |
25 | S.デ・シルベストロ | HVM Racing | 78 |
26 | K.レッグ | Dragon Racing | 61 |
27 | A.・ベアトリス | Andretti/Conquest Racing | 28 |
28 | タウンゼント・ベル | Schmidt Hamilton Racing | 26 |
29 | ミシェル・ジョルダイン | Rahal Letterman Lanigan | 16 |
30 | S.サーベドラ | Andretti Autosport | 14 |
31 | ブライアン・クラウソン | Sarah Fisher Hartman Racing | 13 |
32 | ウェイド・カニンガム | A.J. Foyt Racing | 13 |
33 | J.アレジ | fan Force United | 13 |
順位 | マシン | 総合ポイント |
---|---|---|
1 | シボレー | 48 |
2 | Honda | 42 |
3 | ロータス | 24 |