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インディカー・シリーズを支える多種多様なスポンサー

インディカー・シリーズを支える多種多様なスポンサー

アメリカではモータースポーツが人々の生活に密着した存在で、広告に関して積極的かつ自由な発想を持つ国民性も手伝ってか、多種多様な業種、ブランド、商品が宣伝活動にレースを利用します。

2010年からDale Coyne Racingの一台はボーイスカウト オブ アメリカがスポンサーになっています。野外生活や慈善事業を通して青少年教育を行うためにイギリスで生まれた非営利運動は、インディカーレースを使ってスカウトとなる子どもの募集や、運動のための募金、サーキット内でのボランティア活動を行っています。アメリカでは多くの企業がボーイスカウトを支援しており、青少年の教育に対して志を同じくする経営陣が、ビジネスの世界以外で交流する機会を作り出しています。そして、それがレースへの新たなスポンサー企業の参入につながっているのです。

Dale Coyne Racingの19号車はボーイスカウトがスポンサーDale Coyne Racingの19号車はボーイスカウトがスポンサー

今年からカリフォルニア・バプティスト大学(CBU)はKVSH Racingのスポンサーになっています。CBUは大学名を広く知らしめるためだけでなく、大学でエンジニアリングを専攻する学生たちに、KVSH Racingのエンジニアたちとともにレースの世界で働くチャンスを与えるプログラムを用意しました。最先端の現場における実習は、学生たちにとって、とても魅力的で有益でしょう。未来のレーシングカーデザイナー、レースエンジニアが誕生するきっかけになるかもしれません。

KVSH Racingのスポンサーであるカリフォルニア・バプティスト大学KVSH Racingのスポンサーであるカリフォルニア・バプティスト大学

Chip Ganassi Racingの83号車は、糖尿病治療薬がスポンサーです。ドライバーのチャーリー・キンボール自身が先天的糖尿病であることから、レースという過酷なスポーツで彼が活躍することにより、多くの患者、およびその家族、友人たちを勇気づけています。

Chip Ganassi Racingの83号車は「医薬品、およびインシュリン投与で活動的に!」という運動がスポンサーChip Ganassi Racingの83号車は「医薬品、およびインシュリン投与で活動的に!」という運動がスポンサー

マルコ・アンドレッティ(Andretti Autosport)のメインのスポンサーは、今年もフレーバーアイスティーなどのソフトドリングのブランド、Snappleですが、レースによってカラーリングが大きく変わります。近年におけるアメリカのモータースポーツ界では、レースが行われる地域ごとにスポンサーを募集し、より効果的なマーケティングツールとして活用してもらおうと、チーム側から積極的な働きかけを行っているからです。アンドレッティのマシンは、いくつかのレースではインターネット環境を整備する会社がメインスポンサーを務め、家電量販店チェーンのカラーリングで走ることもあります。同様に、グレアム・レイホール(Rahal Letterman Lanigan Racing)のマシンも、登場回数が最も多いスポンサーは、Steak'n Shakeというレストランチェーンですが、レースによっては石油会社がメインスポンサーを務めます。

グレアム・レイホールのスポンサーの一つであるSteak'n Shakeは、レストランチェーングレアム・レイホールのスポンサーの一つであるSteak'n Shakeは、レストランチェーン

アメリカでのスポンサー活動のもう一つのトレンドとして、他業種間の交流や競争を上手に活用するものがあります。Chip Ganassi Racingは、全米に広がるスーパーマーケットチェーンのTARGETがチームの共同オーナーになっていることもあり、店舗での取り扱い商品にスポンサーとなってもらうビジネスモデルをスタートさせました。そうした企業の商品名がマシンの目立つ部分に載る、あるいは、より大きなスペースを与えられるのと同時に、売り場で買い物客の目につきやすい場所を提供されたり、広いスペースを使った特別セール、イベントを実施できるというメリットが与えられます。TARGETで販売されているのは生活必需品。ここ数年間で、LED電球やコーラ、男性用化粧品、ペットフード、日焼け止めローション、乾電池、ピーナッツなどがスポットのメインスポンサーとして登場しました。こちらのケースでも、スポンサー企業によるレースの選定が行われており、1レースだけの場合もあれば、数レースにわたってメインスポンサーを務めるときもあります。

TARGETは日用品のマーケットチェーン。写真のレースではコカコーラ(清涼飲料)、エナジャイザー(電池)が特別なスポンサーTARGETは日用品のマーケットチェーン。写真のレースではコカコーラ(清涼飲料)、エナジャイザー(電池)が特別なスポンサー

A.J. Foyt Racingは、この11年間ずっとABC Supplyがメインスポンサーで、現在、同じチームを最も長く支え続けてきている企業です。チームは15年から2台体制に拡大し、佐藤琢磨とジャック・ホークスワースを走らせていますが、2台が同じカラーリングをまとっています。これは、アメリカでは珍しいケース。2台体制以上になると、別々のスポンサーで異なるカラーリングで走ることがほとんどだからです。ABC Supplyは大型ビルから個人用の住宅まで、建設に必要な資材を供給する会社。ここでも、Chip Ganassi RacingにおけるTARGETと同様の手法が使われています。つまり、冷暖房機器や断熱材、窓、木材などを納入する企業に、スポンサー活動の機会を与えるわけです。そしてABC Supplyは、全米に支社があることから、レースのたびにその地域の従業員や、製品を納入する企業の人々を招待し、サーキットでの時間を楽しむことでコミュニケーションを深めています。

A.J. Foyt Racingの2台のスポンサーを務めるのはABC Supply。パナソニックが14号車のサブスポンサーA.J. Foyt Racingの2台のスポンサーを務めるのはABC Supply。パナソニックが14号車のサブスポンサー

ジョセフ・ニューガーデン(Ed Carpenter Racing)のスポンサーは、プレミアムウォッカのFuzzy's。アメリカのレース界では、アルコール類の広告も全く問題ありません。

12年のチャンピオンであるライアン・ハンターレイ(Andretti Autosport)のスポンサーはDHL。ビジネスから個人での利用までをカバーする宅配荷物のワールドワイドネットワークです。マシンはイエローとレッドで構成される鮮やかなカラーリングがなされ、配達のスピーディーさをアピールしています。

最後にシリーズのスポンサー。14年からインディカー・シリーズの冠スポンサーを務めているのはVerizon Wireless。アメリカ最大の携帯電話ネットワークです。なお、Verizon Wirelessはシリーズだけでなく、Team Penskeのマシン2台のスポンサーにもなっています。また1995年のニュー・ハンプシャーにおいて、Hondaがインディカー・シリーズ初優勝を果たしましたが、そのレースでウイナーとなったアンドレ・リベイロ(Tasman Motorsports)のマシンを彩っていたのは、当時新進の電話会社だったLCIで、こちらも通信事業者です。

Verizon Wirelessはシリーズのスポンサーかつ、Team PenskeのマシンのスポンサーでもあるVerizon Wirelessはシリーズのスポンサーかつ、Team Penskeのマシンのスポンサーでもある

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