2016年のインディカー・シリーズは、延期開催された第9戦で優勝したグレアム・レイホール(Rahal Letterman Lanigan Racing)が総合5位を獲得。またルーキーのアレクサンダー・ロッシ(Andretti Herta Autosport with Curb-Agajanian)は、世界で最も歴史のあるレース、インディ500を制するなど鮮烈な印象を残し、ルーキー・オブ・ザ・イヤーに輝きました。
3月に行われた開幕戦では、12年シリーズチャンピオンのライアン・ハンターレイ(Andretti Autosport)が後続にヒットされるアクシデントに見舞われながらも3位表彰台でフィニッシュ。幸先のいいスタートを切りました。
第3戦は4月17日にロングビーチで行われました。全長1.968マイルの海岸沿いの高速コースを80周するこの日のレースでは、アクシデントなどによるイエローフラッグが一度も出されることがなく、スタートからゴールまでの平均時速は、新記録となる100.592mphでした。こうして、息をつく暇もなくハイスピードで展開するレースで健闘したのが、13年のウイナーである佐藤琢磨(A.J. Foyt Racing)でした。佐藤はフィニッシュまで果敢にアタックを続け、シーズンベストの5位でフィニッシュしました。
アラバマで行われた第4戦で活躍したのはレイホール。一時トップに躍り出る快走により、アラバマで2年連続の2位フィニッシュを果たしました。第4戦終了時点のランキングでレイホールは6位につけます。
5月29日に行われた第6戦は、100回目の開催となったインディ500。長い歴史と伝統を持ち、だれもが最も勝利を欲する、モータースポーツの中でも特別なレースです。そんな伝統のレースを制したのがルーキーのロッシ。そして2位に入ったのは、チームメートのカルロス・ムニョスでした。Hondaにとってはインディ500での11回目の勝利であり、これは自動車メーカーとして史上最多です。
第10戦は6月26日にウィスコンシンで行われました。会場のロード・アメリカでインディカー・シリーズのレースが開催されるのは、07年以来9年ぶりです。予選6番手だったレイホールは、決勝の中でコンスタントに順位を上げて3位でフィニッシュ。総合12位まで下げていた順位を8位に引き上げます。
カナダで行われた第12戦は、シリーズで唯一アメリカ国外で開催されるレース。カナダ出身のジェームズ・ヒンチクリフ(Schmidt Peterson Motorsports)が激しいポジション争いの末に3位でフィニッシュし、会場は大いに盛り上がりました。ヒンチクリフにとっては、3位フィニッシュの第5戦に続くシーズン2度目の表彰台になります。佐藤は予選20番手から決勝で大きく順位を上げ、第3戦で記録したシーズンベストに並ぶ5位でフィニッシュしました。
8月28日には、雨のために中断延期されていた第9戦が再開されました。6月のレース中断時にトップを走っていたヒンチクリフは、レース終盤の混戦の末に2位でフィニッシュ。最終ラップはヒンチクリフとレイホールの2人によるトップ争いになり、最終コーナーでレイホールがヒンチクリフをパスして逆転勝利。レイホールがシーズン初優勝を獲得して、ランキングを7位に上げました。
最終戦を残した第15戦終了時点のランキングは、レイホールが7位、ムニョスが8位、ロッシが11位。最終戦を少しでもよい順位でフィニッシュし、ランキングを上げてシーズンを終えたいところです。
ソノマで開催された最終戦は、気温36℃という暑さの中での戦いとなりました。そのような状況で、レイホールがコースのコンディション変化にマッチした戦いをみせ、2位でフィニッシュ。ロッシが5位、ムニョスが15位でのフィニッシュでした。
シーズン最後の戦いを2位表彰台で締めくくったレイホールは、シリーズランキング5位となりました。ムニョスは最終戦でランクを落としてしまい総合10位。ルーキーイヤーながら総合11位という立派な成績を残したロッシは、ルーキー・オブ・ザ・イヤーを獲得。ハンターレイは総合12位、ヒンチクリフは総合13位、佐藤は総合17位でシーズンを終えました。