モータースポーツ > インディカー・シリーズ > 第12戦 ミルウォーキー > 予選
July 12 2015, QUALIFYING ABC Supply Wisconsin 250
ミルウォーキー
2015年7月12日(日)・予選 会場:ザ・ミルウォーキー・マイル 天候:快晴 気温:26〜27℃
シリーズ第12戦の舞台となるザ・ミルウォーキー・マイルは、1903年からレースが開催され続け、”伝説のオーバル”というニックネームが冠せられたショートオーバルです。ウィスコンシンの州立フェアグラウンド内に作られたコースは、全長が1.015マイルという短さながら非常にチャレンジングで攻略が難しく、ドライバーたちは深い敬意を払っています。見た目がほぼ完全にフラットなオーバルコースは、9.25度という小さなバンクしかコーナーにはつけられていません。そのため、高速コーナリングを実現するためにはマシンセッティングの重要度が極めて高く、その上に高いドライビング能力が求められます。ザ・ミルウォーキー・マイルが“伝説のオーバル”と呼ばれるのは、歴史が長いからだけではなく、テクニカルであり、勝負強さや度胸が試されるコースだからなのです。そしてこのコースでは、長い年月の中でいくつもの名勝負が繰り広げられてきました。
今年のミルウォーキーでは、予選と決勝を同じ日に行うスケジュールが採用され、スターティンググリッドを競い合う予選は、日曜日の午後12時半から行なわれました。朝から晴天に恵まれたミルウォーキーは、予選開始時の気温が26℃まで上がりました。朝から太陽が照りつけ続け、路面温度が大きく上がったことで、グリップが下がり、ドライビングがより一層難しいコンディションとなりました。
予選方式は、1人ずつが2周連続のアタックを行う、オーバルコースでは恒例となっている方式で、アタックする順番は公正を期してクジ引きで決定します。
2周の計約2マイルを走りきるのに必要な時間は、42〜46秒程度と短く、8つのコーナーを走り抜けるだけですが、その間にタイヤのグリップは刻々と変化し、マシンのハンドリングもそれに応じて変わり続けます。ドライバーたちはコックピット内で、スタビライザーやウエイト・ジャッカーといったサスペンションの調整機構を操作し、状況に合わせて、あるいはハンドリングやマシンの挙動の変化を予測して、走行ラインを変えながら100分の1秒でも速く走ろうと果敢に走りました。
Hondaドライバーはレギュラー11人に加え、ジャスティン・ウィルソン(Andretti Autosport)が最終戦まで出場することが決まったため、12台のエントリーとなっています。その中からライアン・ブリスコー(Schmidt Peterson Motorpsorts)が2周平均時速170.086マイルを記録し、予選2番手となりました。ブリスコーは夕方に行なわれる決勝レースにフロントロー外側グリッドからスタートします。また、ブリスコーのチームメートのジェイムズ・ジェイクスは2周の平均時速169.317マイルをマークして予選5番手につけました。
プラクティス2でHonda勢最速のラップを記録していたグレアム・レイホール(Rahal Letterman Lanigan Racing)は、アタック1周目に平均時速169.580マイルという好タイムをマークしました。しかし、アグレッシブに走りすぎたのか、2ラップ目のターン4でアウト側の壁ギリギリまで膨らんだためにタイムをロスし、2周の平均時速を169.126マイルに落として、予選6番手となりました。
マルコ・アンドレッティ(Andretti Autosport)は、2度のプラクティスでは苦戦気味だったものの、過去に2度もポールポジションを獲得しているコースだけあって、予選で一気にスピードアップを果たしました。168.994マイル平均をマークした彼は予選9番手に食い込み、この結果、Hondaドライバーはトップ10に4人が入りました。
佐藤琢磨(A.J. Foyt Racing)は、土曜日のプラクティス1で3番手につけるスムーズな週末のスタートを切りました。予選前のプラクティスでマシンをさらにファインチューニングすることに成功した佐藤でしたが、予選ではコンディションの変化に対する調整が完ぺきではありませんでした。アタック1周目は21秒6090、平均時速169.8636マイルとすばらしい数字を記録したのですが、2周目が21秒8166、平均時速167.487マイルと大きくダウンし、2周の合計タイムは43秒4256、平均時速168.288マイルで予選13番手となりました。
ライアン・ブリスコー(2番手)
「チームメートが朝のプラクティスで予選シミュレーションを行い、非常に速いラップタイムをマークしていました。私たちもそのセッティングをベースとしてマシンを組み上げ、予選に臨みました。自分は予選アタックのタイミングがチームメートよりあとだったこともあり、彼からコースのコンディションなど、有効な情報を得ることができました。暑さの中での予選は、グリップをどれだけ得られるかが大きなポイントとなっており、思ったほどスピードを出せなかったチームの中には、ダウンフォースを少なく設定しすぎていたチームもあったのかもしれません。私はインディ500からSchmidt Peterson Motorpsortsで走っていますが、インディ、テキサス、フォンタナと3レースを戦ってきたことで、私のマシンに対する好みなど、チームとの相互理解がかなり深まっていることを感じていました。そして今回、その成果が予選で出ました」
佐藤琢磨(13番手)
「2度のプラクティスではともにいいタイムを出せていましたが、予選では気温、路面温度ともに高くなり、マシンが滑りやすいコンディションとなっていました。特に、コースのイン側の色の濃い舗装の部分が熱を帯び、グリップを失っていました。私たちのマシンは、プラクティス時よりもグリップが低くなっており、思っていた通りの走りができませんでした。決勝レースは夕方のスタートなので、コンディションがまた変わると思いますが、スタート時はまだ暑さが残ったままとなるでしょう。予選で得た情報、データを基に決勝用のマシンにセッティングを施します。暑い中ではオーバーテイクも難しいでしょうが、マシンのセッティングも含めて対処を行い、全力で戦います」
アート・セントシアー|HPD社長
「とても興味深い予選になっていました。何人ものHondaドライバーたちが力強い走りを実現していました。2度のプラクティスのよきよりも明らかに気温、路面温度ともに高くなっていた結果、コンディションへの対応をうまく行ったチームと、そうできなかったチームが生まれていました。Schmidt Peterson Motorpsortsはライアン・ブリスコーとジェイムズ・ジェイクス、2人のマシンをともに高いレベルに仕上げていました。そして、彼らは見事な走りをみせてくれました。グレアム・レイホール、マルコ・アンドレッティの2人も予選で目覚ましい走りを披露していたと思います。レースはこのあと、もう2〜3時間でスタートします。路面などのコンディションは、レースに向けて変化するはずなので、再びそれらに対して、ベストの対応を行えたチームが活躍し、勝利をつかむことでしょう。エキサイティングなレースになることを楽しみにしています」
順位 | No. | ドライバー | エンジン | タイム |
---|---|---|---|---|
1 | 67 | J.ニューガーデン | シボレー | 0'42.9320 |
2 | 5 | ライアン・ブリスコー | Honda | 0'42.9666 |
3 | 8 | S.カラム | シボレー | 0'43.0797 |
4 | 10 | T.カナーン | シボレー | 0'43.1043 |
5 | 7 | ジェイムス・ジェイクス | Honda | 0'43.1616 |
6 | 15 | グレアム・レイホール | Honda | 0'43.2104 |
7 | 83 | C.キンボール | シボレー | 0'43.2114 |
8 | 2 | J.P.モントーヤ | シボレー | 0'43.2150 |
9 | 27 | マルコ・アンドレッティ | Honda | 0'43.2442 |
10 | 9 | S.ディクソン | シボレー | 0'43.3324 |
12 | 98 | ギャビー・シャヴェス | Honda | 0'43.4060 |
13 | 14 | 佐藤琢磨 | Honda | 0'43.4256 |
15 | 25 | ジャスティン・ウィルソン | Honda | 0'43.5356 |
16 | 28 | ライアン・ハンターレイ | Honda | 0'43.5803 |
18 | 26 | カルロス・ムニョス | Honda | 0'43.8801 |
20 | 19 | トリスタン・ボーティエ | Honda | 0'44.0809 |
21 | 41 | ジャック・ホークスワース | Honda | 0'44.3373 |
23 | 18 | ピッパ・マン | Honda | 0'45.9006 |