モータースポーツ > Dream Challenge > GP2 & GP3 Series > Interview > 若手ドライバーのチャレンジを支えるスタッフに聞いた、松下選手、福住選手

GP2 & GP3 Series @HFDP

若手ドライバーのチャレンジを支えるスタッフに聞いた、松下選手、福住選手

GP2、GP3シリーズを戦う若手ドライバーの挑戦はチーム代表をはじめ、さまざまなスタッフのサポートによって実現しています。日本を離れ、遠くヨーロッパで戦う松下信治選手と福住仁嶺選手も同様に、有望な若手ドライバーを相手に走り続け、世界に日本人ドライバーの実力を示してきました。今回は若手ドライバーを支えている方々に、松下選手、福住選手の印象、現状の課題、そして応援の言葉をいただきました。

ニコラ・トッド|ART共同オーナー

ニコラ・トッド|ART共同オーナー

速さはある。一番重要なのは自分にもっと自信を持つこと 「ニレイ(福住仁嶺)にとってはすべてが初めての今シーズンは、いわば学習の一年と言っていい。時にはミスを犯したりもするが、コンスタントに予選でトップ10に入って、非常に高い適応力を見せているね。それでも本人はレースでなかなか結果が出せないことに不満を持っている。貪欲なのはいいことだが、着実に進化していくことに重点を置くべきだ。私としてはもちろん来季以降もニレイにはARTに残って、GP3、GP2と順調にステップアップを重ね、F1に行ってもらいたいと思っているよ。ノブ(松下信治)も1年目の昨年は、すばらしいシーズンを過ごした。チームメートのストフェル(バンドーン)から多くを学んだと同時に少しも気後れすることなく、時に彼をしのぐ速さを発揮したしね。しかし2年目の今季は、少なからず手こずっている。新しいチームメートの(セルゲイ)シロトキンも確かに速いドライバーだが、彼に遅れをとることが何度もあった。速さはあるのだから、自分にもっと自信を持つことが一番重要かな」

マリオン・ドォジョワ|ART広報担当

マリオン・ドォジョワ|ART広報担当

才能ある日本人がチームで走っていることに毎日すごく興奮している 「モナコでの圧倒的な勝利が証明したように、ノブにはすばらしい潜在能力がある。その後はちょっと苦しいレースが続いているけれど、それは若手ドライバーならだれもが通る道。ノブは決してメンタルが弱いわけでもないし、必ず復活するはずよ。ニレイも同じね。開幕戦のスペインでいきなり表彰台に上がって、それからちょっと結果が出せずにいることを、本人も気にしているわ。でも元々の速さはあるのだから、自然体で走れば大丈夫と私も言い続けている。遠い日本から立て続けに才能のあるドライバーがやって来て、私たちのチームで走っていることに、すごく興奮して毎日を送っているわ。コクピットを降りてからのニレイは、チームのムードメーカーね。まだ英語も満足にできないころから、スタッフに積極的に関わってきて、あの笑顔でみんなを勇気づけてきたの。チームメートの(シャルル)リクレールにも、全然物怖じしていなかったし。その点ノブは2年目ということもあって、もっと落ち着いてやっている感じね。でも真面目な顔でジョークを言ったりするから、思わず噴き出してしまうわ。セルゲイとは全く性格が違うけど、なぜか気が合うみたいで、よく2人で談笑しているわね」

ナルシゾ・フェレイラ|松下担当メカニック

ナルシゾ・フェレイラ|松下担当メカニック

チームに欠かせないメンバー。F1に上がってほしいと、強く願っている 「ノブと初めて会ったのは2年前で、今年からは一緒に働いているよ。とにかく努力を怠らないドライバーで、その姿勢には本当に頭が下がる。僕がメカニックになって初めて担当したドライバーも、実は日本人だったんだ。F3時代に小林可夢偉と仕事をしたよ。可夢偉も真面目なヤツで、なんでも真剣に取り組んでいた。日本人は違うなぁと、そのときつくづく思ったよ。でもノブはそれ以上だね。最初にチームに来たころは、本人はすごく不安だったと思うんだけど、そんなことは全然感じさせないぐらい自然体で接していたよ。今では、チームに欠かせないメンバーの一人さ。確かに思うような結果が出せなくて、今は苦しいレースが続いてる。両肩にのしかかるプレッシャーの重さは、僕らが見ててもかなりキツいんだろうと想像できるよ。必ず乗り越えると信じているけど、そこからF1に上がれるかどうかは、上層部が判断することだ。ぜひストフェルに続いてほしいと、僕らは強く願っているけどね」

ストフェル・バンドーン|2017年 McLaren-Hondaレースドライバー

ストフェル・バンドーン|2017年 McLaren-Hondaレースドライバー

ノブの才能は僕が一番分かっている。失敗を恐れず、攻め続けるしかない 「僕が今年参戦しているスーパーフォーミュラほどではないけれど、GP2でもチーム力の差は厳然としてあるよ。そして僕が所属していた昨年までのARTは間違いなく、毎レース確実に上位入賞が期待できるチームだった。でも今季のGP2は、勢力図がかなり変わってしまった印象だ。昨年から予選で速さをみせていたPREMA Racingが、今季はレースでも安定して強くなってる。ARTのテクニカル・ディレクターが移籍したことがどこまで影響してるのか、僕にはよく分からない。でも全くの無関係じゃないと思うよ。そんな状況でノブは2年目を戦っているわけだけど、正直ちょっと苦しんでいるね。昨年はヨーロッパに来たばかりだったのに、驚くほどの適応力で、最初から自信に満ちた走りだった。でも今年のマシンでは、思いきり攻めきれない印象で、ノブらしからぬ、ためらいの見られたレースが何度もあった。彼に対して僕のできるアドバイスは、自分への自信を失うなということだ。ノブの才能は僕が一番分かっているつもりだし、現状を打破するには攻め続けるしかない。失敗を恐れずにね」

ジャンパオロ・マテオッチ|セルゲイ・シロトキン マネジャー

ジャンパオロ・マテオッチ|セルゲイ・シロトキン マネジャー

F1でも十分に活躍できるだけの素質を間違いなく持っている 「これまでF1で何人もの日本人ドライバーを見てきたが、松下はその中でもベストと言っていいかもしれない。私が特に高く評価するのは、彼の適応能力の高さだ。全く違う環境からやって来て、すぐに実力を発揮する。並みの才能で、できることじゃない。努力を惜しまないところもすばらしい。間違いなく、F1でも十分に活躍できるだけの素質を持っているよ。そして日本人でも、早い時期からヨーロッパでフォーミュラを始めれば、その才能が開花できることを松下は証明しつつある。一方で2年目の今、少し停滞していることも事実だ。同じチームの人間とはいえ、私は外から眺めているだけだから、本当の理由は分からない。もちろん長年の経験から、ある程度の推測はできるし、対処を示すことも可能だ。しかしそれは、責任ある行為とは言えない。私のアドバイスなど受けなくても、松下ほどの力があれば、今の苦境は問題なく乗り越えるはずだよ」

ブルーノ・ミシェル|GP2・GP3オーガナイザー

ブルーノ・ミシェル|GP2・GP3オーガナイザー

ヨーロッパのレースに順応できない限り、上には進めない 「日本人ドライバーがGP2、GP3選手権に出場してくれていることは、言うまでもなく非常に喜ばしいことだ。彼らの存在が、日本での認知度を一層高めてくれるからね。GP2では数年前の中嶋一貴や小林可夢偉以来、しばらく日本人はいなかったし、GP3は確か福住が初めてのフル参戦ドライバーなんじゃないかな。松下はバクーのレース以降、それまでの走りができていない印象だ。もしかしたら出場停止処分を受けたことに、ひどく心理的なショックを受けたのかもしれない。もともとミスが少なく、非常にフェアなレースが身上のドライバーなだけに、一層落ち込んだことは想像できる。しかしあの程度のペナルティーは、ヨーロッパのレースでは特に珍しいことじゃない。割り切って本来の速さを取り戻してほしいし、それができない限り、上には進むことは望めない。GP3はさらにアグレッシブなカテゴリーだ。ヨーロッパ独特のバトルの仕方など、福住にとっては戸惑うことも少なくないと思う。しかし、それを学んで勝ち抜いていくことが、まさにこの選手権で戦う意義だからね。来年にかけての飛躍を、期待しているよ」

クリスチアン・スタウレンギ|GP2・GP3モーターホームのイタリア人料理長

クリスチアン・スタウレンギ|GP2・GP3モーターホームのイタリア人料理長

日本人の礼儀正しさは成功につながるはず 「レースウイークのランチはほぼ毎回、それに夕食もよく食べに来てくれるから、2人とは自然に言葉をかわすようになったね。若いドライバーを相手にしていると、とにかく行儀が悪いことに閉口させられる。食べ終わった食器を片づけずに帰ってしまうのは序の口で、テーブルの上を盛大に汚しても平気なヤツもいるよ。その点、日本人の2人は、実に礼儀作法がしっかりしている。食への好奇心も旺盛で、日本から来たばかりの彼らには初めての料理もたくさんあると思うんだが、なんでもトライして、気持ちよく食べてくれる。マナーのよさとレースでの速さは関係ないと思うだろう? でもGP2時代のニコ(ロズベルグ)もルイス(ハミルトン)も、実にしっかりした若者だった。人間的に完成していないと、成功はおぼつかないということなんじゃないかな。厨房から観察しているだけでも、いろんなことが見えてくるものさ」

アドリアン・カンポス|Campos Racing代表

アドリアン・カンポス|Campos Racing代表

Hondaのサポートを受け、ヨーロッパで戦えていることはすばらしい環境だ 「福住を初めて見たのは、我々と一緒にF3のテストを受けたときだった。最初から、速さを発揮していたよ。松下はレースによって少々波があるが、潜在能力が高いことは間違いない。チーム力からいっても、本来ならどんなコースでも優勝争いに絡んでいいのに、それができていないのはどうしたわけか。とはいえヨーロッパに来たのは、まだ昨年のことだろう? レース経験が絶対的に少ないため、適応できていない部分が出てくるのは、ある程度仕方がないことだ。このまま順調に成長すれば、将来が楽しみなドライバーの一人だよ。彼らがHondaのサポートを受け、ヨーロッパで戦えていることはすばらしい環境だと思う。今やGP2、GP3のような下位カテゴリーでも、数年前とは比べ物にならないほどレース費用が高騰してしまっていて、自分の実力を発揮できる前に、活動を断念するドライバーがたくさんいるからね。才能さえあれば生き残れると思うかもしれないが、それを見せる機会さえ、今は非常に限られている。私の母国であるスペインにしても、若手がなかなか出てくることができないんだ。普通はアロンソほどの世界チャンピオンが誕生すれば、それをきっかけにどんどん出てきてもいいはずなんだが、厳しい状況で非常に残念だよ」

ジュリアーノ・アレジ|GP3ドライバー

ジュリアーノ・アレジ|GP3ドライバー

勝ちたいという強い気持ちが、ドライビングからもはっきり伝わってくる 「ニレイと初めて会ったのは昨年のアブダビテストのときだったけど、初めから打ち解けることができたよ。最初は全然英語ができなくて、ちょっと意思の疎通が大変だったけどね。いつ会っても笑顔だし、いつもポジティブだ。今では英語も、レース用語は全然問題ない。日常会話はまだちょっと苦労してるみたいで、僕とは日本語とごちゃ混ぜで話したりしている。僕も日本語の勉強になるから、ちょうどいいけど(笑)。コース上では、かなりアグレッシブで勝ちたいという強い気持ちが、ドライビングからもはっきり伝わってくるよ。僕よりずっと経験も積んでるし、そんなレースに対する姿勢とか、彼から学ぶことはたくさんあるよ」

Dr.リカルド・チェッカレッリ|F1スポーツドクター

Dr.リカルド・チェッカレッリ|F1スポーツドクター

強靭なメンタルがドライバーの速さを決める 「松下と福住とは、まだ直接話をしたことはない。しかし日本から全くレース環境の異なるヨーロッパにやって来て、必死に適応しようと努力している点では、非常に興味深い研究対象だと思っている。『適切なメンタルトレーニングを施すことで、ドライバーの潜在能力が開拓され、確実に速さを増す』というのが、私の持論だ。肉体トレーニングももちろん重要だが、最終的にドライバーの速さを決めるのは、メンタルの強さなんだよ。そして訓練によってその能力を伸ばすことは、十分に可能だ。2人のうち特に松下は、自分を見失っているように見える。単なる精神論ではなく、的確なトレーニングを施すことで、一層強じんなメンタルの持ち主になれる。そう感じているだけに、今の状況にはちょっともどかしさを感じるね」

リオ・ハリアント|F1ドライバー(GP2からステップアップ)

リオ・ハリアント|F1ドライバー(GP2からステップアップ)

激しい戦いの中でも自分を見失わずに冷静に対処すること 「世界中にたくさんあるフォーミュラレースの中でも、GP2選手権はかなりし烈な戦いのカテゴリーだと思う。まずドライバーのレベルが、非常に高い。すぐにF1マシンに乗っても、ちゃんとした速さの出せるドライバーがそろってる。そしてこの選手権でしっかり結果を出せば、F1に引き上げてもらえる可能性が一気に高くなる。だから元々アグレッシブな連中が、さらに目の色を変えて勝ちにいく。基本的にF1のサポートレースで、F1関係者も注目してるから、彼らの前でいいところを見せようとするしね。そんな中で実績を残すのは、並大抵のことじゃない。松下とは昨年一年間、一緒にレースをしたけど、抜群の適応力をみせていたね。今季も確か、すでに1勝したはず。そのあとはなかなか結果を出せていないようだけど、でもGP2は一つの些細なミスで、週末全部が台無しになってしまうことも珍しくない。特に予選でつまずくのは、致命的だ。そのあとのリカバリーは、ほとんど不可能だからね。今年は特に各チームの実力差が接近していて、一層激しい戦いになってる。自分を見失わずに、冷静に対処する。僕のできるアドバイスは、それぐらいしかないね」

ロベルト・キンケロ|イタリア人F1ジャーナリスト(下位カテゴリーの動向に詳しいことで有名)

ロベルト・キンケロ|イタリア人F1ジャーナリスト(下位カテゴリーの動向に詳しいことで有名)

一歩一歩、着実にキャリアを積んで行くことがF1への一番の近道 「松下はここまで、本当によくやっている。しかし、一言言わせてもらえば、あと1年、できれば2年早くヨーロッパに出てきてほしかったね。例えばこちらでF3を戦い、それからGP2に来ていたら、今とは全く違ったストーリーになっていたと思う。松下の才能を認めるがゆえに、しなくてもいい苦労をしているという思いが強いんだ。それでも1年目の後半は、前半によくあったミスも減って、非常に力強いレースをしていた。そのため2年目の今年の低迷には、正直ちょっと驚いている。考えられる理由は、テクニカル・ディレクターのPREMAへの移籍しかない。昨年までのARTはレースでのタイヤの持たせ方の巧さが、群を抜いていた。そしてそれはほとんど、テクニカル・ディレクターの功績だったと言っていい。福住はGP3からヨーロッパでのキャリアを始めたと言う点で、松下よりはいい条件で戦えている。ただし所属するARTは最強チームである上に、ほかの3人は彼よりもずっとフォーミュラの経験が長い。その中で互角の速さをみせるのは、決して簡単なことじゃない。実際かなり苦労しているが、ポテンシャルが高いことは間違いない。もう1年GP3を戦って、ヨーロッパのレースに完全に慣れるのが、今後を考える上でベストなオプションじゃないかな。一方で(マックス)フェルスタッペンの出現で、ヨーロッパにおけるこれまでの下位カテゴリーの常識が、すっかり狂ってしまった。今では関係者のだれもが、『18歳でGP3を走ってるようでは、遅過ぎる』と言う。しかしそれは完全に間違った考えだ。一歩一歩、着実にキャリアを積んでいくのが、結局はF1への一番の近道なんだよ。(ファン・マヌエル)ファンジオは39歳でF1にデビューし、5回も世界チャンピオンになった。早ければ、あるいは若ければいいってものじゃない」

松崎淳|フォースインディアエンジニア

松崎淳|フォースインディアエンジニア

日本でのF1人気が再燃するには、日本人ドライバーの活躍しかない 「大変申し訳ありませんが、自分のチームをよくすることに必死で下位カテゴリーのレースはほとんどフォローしてません。もちろん日本人の若い子が参戦して、活躍していることは知っています。とても喜ばしいことだと思っています。このまま安定した結果を出し続けて、ぜひF1に来てほしいですね。日本でのF1人気が再燃するには、やはり日本人ドライバーの活躍しかありませんから。一方で、今のF1をご覧になっても分かるように、例えどんなにいいドライバーでも、最適のタイミングで、自分の力が十分に発揮できるチーム、マシンに恵まれなければ、活躍はおぼつかない。これまでの日本人F1ドライバーが、なかなか結果を出せずに終わったのは、そういうこともあったんじゃないかと思います。決して日本人が、ほかのドライバーより才能が劣っていたわけではないはずです。これから出てくる若い日本人ドライバーも、ぜひ自分の才能を過信することなく、そういったプラスアルファの状況も見極めて、F1に来てほしいですね。私も普段は、国籍とか全く意識せずに仕事してますが、今年のモナコで突然、君が代が流れたでしょう。そしたらイギリス人の同僚が、『おい、日本人が勝ったぞ』と、祝福してくれました。君が代がとりわけ好きなわけじゃありませんが、やっぱり特別な思いが湧いてくるし、素直にうれしかったですね」

白幡勝広|ウィリアムズメカニック

白幡勝広|ウィリアムズメカニック

海外で戦う者同士、できるだけのサポートはしてあげたい 「あの子たちが表彰台に上がったら、もちろん走って見に行きますよ。だからモナコは、うれしかったですね。(表彰台の)真ん中だったし、君が代が流れたし。あんまりうれしくて、カメラを持って行くのを忘れたくらい(笑)。ここ数年、F1に日本人ドライバーがいないのはちょっと寂しいですけど、海外のレースでは日本人の名前をあちこちで見かけます。ひところは内向きの感じだったのが、また若い子が外に出て行くようになったんじゃないですかね。大したことはできないけど、できるだけのサポートはしてあげたい。松下くんや福住くんも海外で戦う者同士として、一度ゆっくり話したいと思ってます」

マリオ宮川|スポーツコンサルタント(ジャン・アレジや小林可夢偉のマネージメントを手がけた)

マリオ宮川|スポーツコンサルタント(ジャン・アレジや小林可夢偉のマネージメントを手がけた)

GP2、GP3というすばらしい環境を十分に利用すること 「最近の若いドライバーは昔に比べれば真面目ですが、なかでも日本人ドライバーはレースへの取り組み方が真剣なので、チーム関係者は、その点は褒めてくれますね。英語は必ずしも得意じゃないけれど、それで一生懸命意思の疎通を取ろうとがんばる。その辺の好感度も、高いようです。一方でGP2、GP3を戦うことは、日本人ドライバーにとって非常に重要です。ヨーロッパのサーキットでの戦い方を学べるし、なによりマスコミも含めたF1関係者とのコネクション作りができますからね。けれども日本人ドライバーは、そんなすばらしい環境を、十分に利用しているようには見えない。もっと自分を売り込むべきなのに、その辺りがまだ消極的です。日本からの一般的なスポンサーが付いていないことも、寂しい限りです。F3000時代には、そんなことはなかったですよ。もちろんモータースポーツの人気自体が、かつてほどでないことは大きい。でもこういうのは、循環的な問題ですからね。スポンサーが付かなければ、ドライバーもヨーロッパまで出てこられない。日本人ドライバーがいないと、注目されない。そうするとますます、スポンサーは興味を示さない。お金を使わずにできる打開策としては、例えばSNSでキャンペーンを打つとか、なにか考えないとジリ貧になってしまいますね」