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THE BIG CHALLENGE 伊沢拓也 GP2参戦レポート

Vol.4 ベルギー・イタリア

手応えを感じつつもアクシデントなどにより
不本意なレース結果が続く

2014年、GP2シリーズに参戦する伊沢拓也選手は、第8戦ベルギー、第9戦イタリアでの戦いに挑みました。

 

8月22日〜24日に開催されたベルギーでの第8戦は、世界で最も美しいサーキットと称され、長い歴史を持つスパ・フランコルシャンで行われました。フリー走行から好調な滑り出しを見せた伊沢選手でしたが、予選アタック中にスピンし、再スタートができない状態となったため、予選はノータイムとなりました。

23日に行われたレース1は25番手からのスタートでした。レーススタート時の路面はウエット、雨は降っていない状況で天候回復の見込みもあり、ドライタイヤを選ぶ選手もいる微妙なコンディションでした。伊沢選手もドライタイヤを選択しましたが、フォーメーションラップが始まると大粒の雨が降り出し、スタート後にタイヤ交換を余儀なくされます。その後のレースではウエットコンディションながらペースもよく、16位まで順位を上げてチェッカーフラッグを受けました。

24日のレース2はドライコンディションで行われました。16番手からスタートした伊沢選手はミディアムタイヤでスタート。しかし、レース後半タイヤの劣化に苦しみ、ポジションを保つことができずに22位に終わっています。

レース後の伊沢拓也選手のコメント
「スパ・フランコルシャンはかつてテストで走ったことがあるサーキットでしたから、これまでのようにコースを覚えることから始めなくてよく、少し余裕を持って走行ができました。マシンの手応えもよかったので、予選ではトップ10に入れるイメージでしたが、アタック中にミスを犯してスピン。グラベルにはまってしまい、タイムを出せなかったことが残念です。レース1では、コンディションが好転することに賭け、ドライタイヤでのスタートを試みましたが、この作戦は失敗でした。すぐにレインタイヤに換えなければならない雨となり、いったんはポジションを落としてしまいました。交換したレインタイヤでの走行はとてもいい感触で、ペースを上げることができて、多くのマシンをパスできました。レース2では、ほかのドライバーがハードタイヤでのスタートでしたが、自分はミディアムタイヤを選び勝負に出ました。ミディアムタイヤが最後まで持たないことは分かっていましたが、レース途中にセーフティカーが入れば走りきれるという賭けでした。しかし、そうはならず、残り3周くらいでタイヤが完全にダメになってしまい、ポジションを落としてしまいました。マシンも予選やレース1と比べてあまり調子がよくなく、ペースを上げられませんでした」

 

9月5日〜7日、GP2第9戦の舞台はイタリア・モンツァです。高速コースとして有名なモンツァで、伊沢選手は予選16番手。トップとの差はコンマ7秒と僅差の争いでした。

6日に行われたレース1では、スタート直後の1コーナーでアクシデントが発生。それをうまくかわした伊沢選手でしたが、後方から他車が追突してきてスピンし、マシンをグラベルに止めざるを得ず、リタイアとなってしまいました。

7日のレース2では23番手からのスタートとなりました。1周目のアクシデントによりセーフティカーが導入され、レース中も各所でアクシデントが起こるなど波乱のレース展開となりましたが、伊沢選手は安定したラップを重ね、14位でフィニッシュしました。

レース後の伊沢拓也選手のコメント
「モンツァは初めてでしたが、これまでのコースよりも早く慣れることができて、いい感触を持続させられました。高速コースですが、意外とブレーキのフィーリングがよく、予選までもうまく走ることができたと思います。タイムとしても上位との差を縮めているので、いい手応えでしたが、レース1では残念な結果に終わってしまいました。前方で起こったアクシデントをうまく避けて回れたと思った瞬間、後ろから当てられてしまいました。スタート後の1コーナーには十分注意していたのですが、あれは避けようがないアクシデントでした。レース2では、アクシデントには巻き込まれずに走ることができましたが、マシンの調子があまりよくなく、ペースを上げることができませんでした。ブレーキが不調でうまく止まれない状態が続き、ポジションは上がりましたが、満足いくレースとは言えませんでした。シーズン後半になって、マシンの調子と自分の手応えはかなりよくなっていると思いますが、なかなか結果につながらないもどかしさがあります。GP2はシーズン残り2戦となりましたが、なんとかいい結果を出せるようにがんばりたいと思っています」

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