round 04

August 08 2010
Japanese championship Formula NIPPON TWIN RING MOTEGI
第4戦 ツインリンクもてぎ(栃木県)

ロイック・デュバル選手が今シーズン初優勝
小暮卓史選手が2位となり、Hondaが1-2フィニッシュを達成
山本尚貴選手も自己最高の4位入賞

8月8日(日)、栃木県・ツインリンクもてぎにおいて、2010年全日本選手権フォーミュラ・ニッポン第4戦の決勝レースが開催された。

本大会は今年10周年を迎えたHondaのファン感謝イベント「Enjoy Honda MOTEGI 2010」が併催されたこともあり、8月7日(土)公式予選、8日(日)決勝の2日間ともに、夏休みの家族連れ観戦客の姿も数多く見られた。

シーズンの折り返しとなる第4戦もてぎラウンドは、ドライバーによるシリーズポイント争いの行方を占う重要な一戦となる。現在、トップと7ポイント差3位(計18ポイント)につける#32 小暮卓史選手(NAKAJIMA RACING)は、念願のタイトル獲得に向けて上位のドライバーとのポイント差を縮めることが必要となる。また、5位(計9ポイント)の#10 塚越広大選手(HFDP RACING)や、6位(計9ポイント)の#1 ロイック・デュバル選手(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)、7位(計8ポイント)に位置するルーキーの#31 山本尚貴選手(NAKAJIMA RACING)も優勝争いに加わる力を身につけてきており、目の離せない展開となることが予想されている。なお、今大会より#3 松田次生選手(KONDO RACING)が新たに本シリーズへ参戦し、参加台数は計15台となった。

今年は、全国的に真夏日が続く厳しい気候となっているが、7日(土)に行われた公式予選も、朝から強い日差しが照りつけ、気温35℃、路面温度は50℃を超える炎天下での戦いとなった。決勝のグリッド争いは、15台の出走マシンが第1セッションの上位12台、第2セッションの上位8台が最終セッションに進む計3回のノックアウト方式により行われた。

予選第1セッションでは、ルーキーの山本選手が初めてのトップタイムとなる1分35秒650を記録した。5番手にディフェンディング・チャンピオンのL.デュバル選手が続き、午前中のフリー走行でトップタイムをマークしていた小暮選手は6番手となった。#2 伊沢拓也選手(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)は9番手、塚越選手と#16 井出有治選手(MOTUL TEAM 無限)は11、12番手と続き、Hondaエンジン搭載マシン全車が第2セッションへ駒を進めた。

第2セッションでは、小暮選手がトップタイムとなる1分35秒428を記録。L.デュバル選手が4番手、山本選手が6番手タイムを記録して最終セッションへ駒を進めた。塚越選手、井出選手、伊沢選手の3選手は、9、11、12番手となり、決勝グリッドが確定した。

最終セッションでは、小暮選手がこの日の最速タイムとなる1分35秒347を記録し、今季2度目のポールポジションを獲得した。2番手にL.デュバル選手が入り、フロントローをHondaエンジン搭載車が独占することとなった。この2人はSUPER GTでのチームメート同士でもある。フリー走行から好調な走りを見せていた山本選手は自己最高位となる4番グリッドを獲得し、明日の優勝争いに大きな期待を抱かせる結果となった。

8日(日)の決勝レースは、予選に引き続いて晴天となり、決勝レースが開始される直前の午後2時15分時点で気温34℃、路面温度47℃と非常に厳しいコンディションとなった。全15台のマシンは、1周のフォーメーションラップののち、午後2時18分に決勝のスタートが切られた。

スタートは、2番グリッドのデュバル選手がすばらしい飛び出しで、ポールポジションの小暮選手からホールショットを奪う。オープニングラップを終え、ほかのHonda勢の順位は、4番手スタートの山本選手が順位を2つ下げて6位、井出選手が8位、伊沢選手が10位、塚越選手が11位と続く。山本選手は序盤で、コース上のパーツを踏んだ影響でタイヤトラブルを抱え、ペースが上がらない状況が続く。シリーズランキング5位につける塚越選手は、果敢な走りで3周目に伊沢選手をパスして10位に浮上する。

5周目、4位を走行するマシンが電気系のトラブルによりリタイアとなったため、山本選手、井出選手、塚越選手、伊沢選手は1つずつ順位を上げる。

トップのL.デュバル選手は、小暮選手との差を約1秒差に広げ、安定したペースで走行を重ねていく。2位の小暮選手も急いでトップを奪い返す様子はなく、落ち着いた走りで2セット目のタイヤ交換後に逆転を狙う作戦を採る。

  • 小暮卓史(左)、ロイック・デュバル(中央)小暮卓史(左)、ロイック・デュバル(中央)
  • ロイック・デュバルロイック・デュバル
  • 小暮卓史小暮卓史
  • 山本尚貴山本尚貴
  • 井出有治井出有治
  • 塚越広大塚越広大
  • 伊沢拓也伊沢拓也

18周目、トップを走るL.デュバル選手は、後続の小暮選手との差を徐々に広げ、2秒399となった。また、小暮選手の背後に続く2台のマシンを含めた4台が5位以下との差を大きく広げたため、トップ争いは4台に絞られる展開となった。

この時点で、山本選手、塚越選手、井出選手の順位は、それぞれ5、8、9位となっており、16周終了時に先陣を切ってタイヤ交換と燃料補給のピットインを行った伊沢選手は暫定13位となっている。井出選手も19周終了時にピットインを敢行するが、この2台以外のマシンは26周以降までタイヤ交換と燃料補給を行わなかった。

レース中盤になり、ほかのマシンが続々とピットインを始めたため、暫定6位まで浮上した塚越選手が28周終了時にピットイン。順調にタイヤ交換と燃料補給を済ませたものの、ピットアウト時にエンジンがストールしていまい、再スタートをするまでにタイムを大きくロスしてしまう。その結果、コースに復帰した時点で最後尾まで順位を下げてしまう。次周には、タイヤトラブルを抱えながらも粘り強い走りにより5番手を堅守していた山本選手がピットインを敢行。これにより上位3台を除いたすべてのマシンがピットインを行った。

トップ争いの4台は、一定の距離を保ちながら走行を重ねたが、33周終了時に2位の小暮選手がピットインを敢行した。ここで約20秒のピット作業が生じた小暮選手のマシンは、コースに復帰した時に順位を2つ下げて4位となってしまう。次周に暫定2位のマシンがピットインを敢行したが、この日3台目となるエンジンストールを起こして大きく遅れたため、小暮選手は3位にポジションを戻し、山本選手が4位に浮上した。

トップを走るL.デュバル選手は、35周目に出場マシン最後となるピットインを敢行し、トップのままコースに復帰。この時点でL.デュバル選手がトップ、小暮選手が3位、山本選手が4位、井出選手が9位、伊沢選手が10位、塚越選手が12位となっている。

ピット作業での出遅れを取り戻すべく、追い上げを図る小暮選手は、39周から3周連続で自己ベストタイムを更新し続け、2番手選手との差をコンマ8秒まで詰め寄っていく。

44周目、12番手を走行する塚越選手は前方選手を抜き去り、11番手に順位を上げると、次周にもさらに順位を上げて10番手となる。 2位のマシンを攻め続けていた小暮選手は、レースが残り3周となる50周目の90度コーナーでついにとらえて、2位に復帰する。

スタートでトップを奪ったL.デュバル選手は、最後までその座を明け渡さずに52周のチェッカーフラッグを受けた。L.デュバル選手にとって、今シーズン初優勝であり、昨年の最終戦SUGO以来のフォーミュラ・ニッポン通算9勝目となった。小暮選手は2位でチェッカーを受け、貴重な9ポイントを獲得。山本選手は、ルーキーとは思えぬ粘り強い走りで自己最高位となる4位入賞を果たした。井出選手、塚越選手、伊沢選手は、それぞれ9位、10位、11位に入り、Honda勢は全台完走を果たした。

この結果、小暮選手はドライバーによるシリーズポイント争いで、首位と1ポイント差の計27ポイントに迫り、L.デュバル選手が19ポイントで5位、山本選手が13ポイントで6位に浮上した。

コメント

坂井典次(Tenji Sakai)|「HR10E」開発責任者「前戦の富士ラウンドではエンジンのトラブルで、チームにもドライバーにも悔しい思いをさせてしまいました。この大会に向けて、さまざまな角度から見直しを行った結果、予選・決勝ともに1、2位のリザルトを残すことができ、リベンジを果たせてとてもうれしく思っています。また、我々のマシンの力を証明できたとも考えています。この勢いのまま、後半戦もいい結果を出せるよう、第5戦のSUGOには、さらにバージョンアップをさせたエンジンを投入する予定です。ドライバーのチャンピオン争いもし烈さを増していますが、ルーキーの山本選手も表彰台を狙えるだけの実力を発揮してきたこともあり、しっかりとサポートを行い、残りの一戦一戦を大事に戦っていきたいと思います」

ロイック・デュバル選手(優勝 #1 DOCOMO TEAM DANDELION RACING)「今日はいいスタートを切ることができました。前回の富士ラウンドのスタートで悔しい思いをしましたが、チームの対策を信頼していましたので、自分はベストを尽くすだけだと考えていました。 ツインリンクもてぎはパスをするのが難しいコースなので、スタートでトップになったことでレースを優位に運ぶことができました。今日の優勝は、チームが一丸となって取り組んできた結果だと感謝しています。今シーズンは、チーム移籍を行ったこともあり、4戦目という早い段階で勝てるとは思っていませんでした。しかし、第3戦富士でのポールポジション獲得と今回の優勝で、後半戦は自信を持って戦っていけると思います。これからは、優勝争いのことは考えずに、一戦一戦を大事に戦うだけです」

小暮卓史選手(2位 #32 NAKAJIMA RACING)「ポールポジションからのスタートで、慎重に挑みましたが、デュバル選手にホールショットを奪われてしまいました。振り返ってみるとそれがレース結果を決定づけたと思います。レース序盤は、デュバル選手についていくことができましたが、後半はタイヤのマッチングがうまくいかずに、ペースを上げることはできず、2位争いを強いられることになりました。2位争いでは、最後にタイヤが厳しくなると予測しながらチャンスを狙っていました。結果的に、残り3周での1回のチャンスをものにすることができてよかったです。優勝できなかったことは悔しいですが、2位を獲得したことにより、シリーズタイトル争いでトップの選手と1ポイント差まで詰め寄りました。次戦以降は、SUGO、オートポリスと自分が得意とするコースが続くので、自信を持って挑みたいと思います」

山本尚貴選手(4位 #31 NAKAJIMA RACING)「スタートで順位を下げてしまい、さらに序盤でコース上に落ちているパーツを拾ってしまいました。その影響で右前タイヤがスローパンクチャーを起こしてしまい、マシンが思うように曲がらない状態となりました。ピットインによるタイヤ交換後は、マシンバランスは改善されてペースも上がったので、スタートを含めたレース序盤の展開が悔やまれます。ただ、チームの戦略のおかげで最終的に順位を4位に戻すことができ、スタッフには感謝の気持ちでいっぱいです。また、今日は本当に暑い中にもかかわらず、ファンの人たちが熱心に応援してくれていたことも、レースを運ぶ上でとても励みとなりました。今大会では、予選からマシンの速さが証明されましたし、心の中でポールポジションや優勝を狙いたいと思う、意識の変化が生まれたことが大きな収穫であり、自信につながると思っています」

決勝
順位 No. ドライバー マシン 周回数 タイム/差
1 1 ロイック・デュバル Honda 52 1:27:17.626
2 32 小暮卓史 Honda 52 +1.033
3 20 平手晃平 トヨタ 52 +8.478
4 31 山本尚貴 Honda 52 +19.722
5 37 大嶋和也 トヨタ 52 +25.508
6 19 J.P.デ・オリベイラ トヨタ 52 +26.159
 
9 16 井出有治 Honda 52 +1:20.226
10 10 塚越広大 Honda 52 +1:21.969
11 2 伊沢拓也 Honda 51 +1Lap
ポイントスタンディング
順位 No. ドライバー マシン 総合ポイント
1 19 J.P.デ・オリベイラ トヨタ 28
2 32 小暮卓史 Honda 27
3 20 平手晃平 トヨタ 23
4 36 アンドレ・ロッテラー トヨタ 20
5 1 ロイック・デュバル Honda 19
6 31 山本尚貴 Honda 13
 
8 10 塚越広大 Honda 9
9 2 伊沢拓也 Honda 4