開幕以来、Hondaは期待したような結果が出せないでいる。今週末開催のモナコGPは、低速コーナーが連続し、路面グリップも低い市街地サーキットが舞台となる。当然、過去6戦とはまったく違ったコース特性を持つ。Honda Racing F1 Teamがイタリア・バレルンガで行ったテストは、主にモナコに向けての車体、タイヤテストだった。
バレルンガテストは、概ね順調でした。モナコはアンダーステアを出すと、タイムが出ません。そして低速コーナーが主体ですから、立ち上がりのトラクションをいかに稼ぐかが重要です。そのためにはメカニカルグリップを良くすることが必要ですから、それを念頭にいろいろなことを試しました。
これまで車体に関しては、極端な方向に振ったらどうなるかというテストが、十分にできていませんでした。どうしてもタイヤテストに忙殺されてしまいました。それを今回、たとえば前後の重量配分とか足回りとか色々やってみて、ここまでやったらこういう結果が出るというのが確認できました。サーキットのタイプによっては、使えそうなものも見つかりました。ただし、これがあれば大丈夫、ということではありません。セッティングを煮詰める際の、選択肢が増えたということです。モナコについても、これがうまくいけば、違う結果が出るかもしれません。
−モナコもまた、タイヤが重要になりそうですね。
はい。すごく大事です。ミシュランは今回積極的に、モナコならこの構造がいいんじゃないか、このコンパウンドはどうかと、ずいぶんたくさん持ち込んできました。その中から、今回かなり攻め方向の2種類のスペックを選択したのですが、もっと攻めたものがあってもよかったんじゃないかな、というのが、正直なところです。
今年のミシュランは、傾向として路面のミューが低いサーキットでは苦戦しています。イモラ、ニュルブルグリンクがそうでした(注:ミハエル・シューマッハが2連勝)。逆にバルセロナのように高いグリップのコースでは、強さを発揮します。ミューの低いサーキットに持ってくる柔らかい方のコンパウンドは、グレーニング(使用初期のささくれ摩耗)が出てしまって、グリップしない印象です。それで固い方を使わざるをえない、という状況なんです。
 −モナコも一般舗装路でグリップしにくいから、イモラやニュルと同じことが起きるかもしれない?
その2戦よりは、遥かに柔らかいタイヤで走るわけですから、果たしてどうなるかわからないですね。ただし、タイヤがどんなであれ、前提として同じミシュラン勢の中では、抜きん出た力を発揮しないといけません。でも現状は、ルノー、マクラーレンに後れを取ってしまっています。
−モナコではレース中ほとんど抜けませんから、予選で上位グリッドを得ることが最優先になりますね。
確かにその通りですが、だからといって軽い燃料で上位グリッドを獲得しても、あまり意味はないです。早めにピットに入らなくてはいけないし、その時点で、大きく順位を落としてしまいます。1回目のピットまでできるだけ周回を稼がないと、上位入賞は難しいでしょうね。燃料をたくさん積んだ重いクルマで、それでいて速くないと、勝負にはなりません。
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