HondaモータースポーツF1中本修平レポート
VOL.68 Rd.17 Brazil GP「琢磨君はあの状態のマシンで、よく完走してくれました」
ジェンソン・バトンは、2列目4番手からレーススタート。一方、佐藤琢磨は、最後尾から一気に11番手までジャンプアップを果たす。しかしその後は二人ともペースが伸びず、バトン7位、琢磨10位という結果に終わった。

 ジェンソンは、ひどいグレーニング(タイヤのささくれ摩耗)が出て、リヤタイヤがグリップしない状況でした。それを何とかしようとフロントウィングを調節しても、低速コーナー、高速コーナーそれぞれで、マシンバランスがひどいことになってしまいました。それでタイムが伸びませんでした。

 原因は路面温度が上がらなかったことだと思うのですが、その条件はどのチームもいっしょですから、基本的なマシンセッティングがまずかったかな、と思っています。

 琢磨君は、レース序盤は作戦通りのタイムで走り、ガソリンが軽くなるにつれてペースも上がり、さあこれからという時に、突然失速してしまいました。リヤのダンパーが不調で、中盤34周目あたりから全然速く走れませんでした。

 そういう中で10位に入ったのは、大健闘だったと思います。今回、当初の目標は、「まずは10位に入ることを目指そう。それでできれば入賞を狙おう」というものでした。その意味では最高の結果ではなかったけれど、不調のマシンを最後まで運んでくれました。ピットにいるわれわれは、リタイヤするしかないんじゃないかと思ったくらいなんですが、よくフィニッシュしてくれました。次戦スズカの予選に向けて、良い感じでつながりました。Good jobです。

―ダンパー不調の原因は、どんなことが考えられるんですか?


 まだ今の時点では、わかりません。

―トラブルによって、車高が下がってしまった?

 そのようです。車高も下がるし、路面の凹凸を吸収できなくて、跳ねまくる。ここは特に、路面の荒れ方がひどいコースですから、よけいに大変でした。コーナリング中も、マシンを抑えられずに跳ねますよね。ですからタイムは、とうてい上げられません。

 今回は不本意な結果になってしまいましたが、今週のヘレスでテストを重ねて、スズカにはベストな状態で臨むつもりです。
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