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2列目グリッド独占という、今季ベストの位置から臨んだイタリアGP。レース序盤は3、4番手を快走して、上位入賞への期待が膨らんだ。ところが1回目のピットインの際、佐藤琢磨が給油トラブルに見舞われる。給油できなかったのではなく、実際には入っていたのに「入らなかった」というエラー表示が出たのだった。そこに現場の混乱も加わって、ジェンソン・バトン側も影響を受け、8位入賞が精一杯。想定外の満タン状態で走行を強いられた琢磨は、16位完走に終わった。
琢磨君が2周続けてピットに入ってきたのは、1回目の給油後に、モニター上に「給油されてない」というエラー表示が出たからでした。しかし実際には(1回目の給油で)予定通りの量が、どうも入っていたようです。それで2回目の給油で新たに50数キロ入れようとしたら、すぐにあふれ出てしまいました。それで合計何キロ入れて、何キロあふれたのか、分からなくなったんです。
さらに悪いことに、2回目の給油では正常に作動していたジェンソン側の給油リグを使いましたが、システムをリセットしていませんでした。その結果、ジェンソンの方に何キロ入れて、琢磨が何キロ持っているのか、全然分からない状態でレースを続ける羽目に陥ってしまったんです。
それぞれのガソリン搭載量をフローレート法で計算し直してレースを継続しましたが、フローレート法は精度が悪いので、ガス欠でリタイヤさせるわけにはいきませんから、安全マージンを取って通常より短い間隔で次の給油をせざるをえません。そうなると、軽い状態で走行してタイムを稼ぐことが出来ないので、ジェンソンはズルズルとポジションを落としてしまいました。
琢磨君の方は、2回の給油で完全に満タンになっていますから、クルマが重過ぎてバランスが悪く、タイヤもかなり酷使して、ペースが上がりませんでした。琢磨君もやはり軽い状態での、おいしい部分が使えなかったということです。レース後、ガソリンを抜き取りましたが、2台ともあと5周走れるほど残っていました。
ただそのトラブルとは別に、レース前の予想よりはるかにペースが遅かったのも事実です。ジェンソンは1回目の給油後、1分24秒台の後半で走っていましたが、せめて1分24秒フラットで走らないといけない状況でした。その原因については、現在調査中です。
―前夜の雨で、路面のラバーが流れてしまったのが原因とか?
そんなことはないでしょう。レースで10数周も走れば、十分ラバーが路面に乗りますから。パルクフェルメで遠くから見ただけですが、タイヤの摩耗が異常に進んでいるようにも見えませんでした。
―どれだけ燃量が入ったのか分からなかったということですが、たとえば市販車のように、車体側に燃量計のようなものは付いていないんですか。
付いていません。コーナリングや加減速の際に、市販車とは比べものにならないGがかかり、ガソリンがタンクの中で暴れ回っていますから、残量は正確には測れません。コーナリング中で4G(重力の4倍)、走行中にスロットルを戻しただけでも、1G以上の減速Gがかかります。そのたびに燃料計の針が、0から満タンまで行ったり来たりするでしょう。
燃料が入っているのに、入っていないという表示が出たトラブルは、初めての経験です。実際に入らなかったというのは、過去にもありましたし、他チームでもちょくちょく聞きます。今回どうしてこのようになったのか、その原因は、今はまだはっきりしていません。重量計からもらったデータを、電気的に変換して表示するときに、何らかの不具合が生じたのでしょう。
滑り出しは快調だったし、エンジンやブレーキその他もまったく問題がなかっただけに、残念というほかありません。今週末のスパは、また違った意味で非常に難易度の高いサーキットですが、ニュースペックのエンジンを投入して、頑張ります。NEVER
GIVE UP!!
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