2017年9月18日(月)

トロ・ロッソとの提携について山本モータースポーツ部長が語る

シンガポールGPのパドック。時刻は深夜となっていましたが、多くのホスピタリティエリアは煌々と灯り、メディア関係者やゲストでにぎわっていました。

Hondaエリアのソファに腰かけたモータースポーツ部長の山本雅史は、HondaのF1活動継続とトロ・ロッソとの新たな3年契約という大きなニュースの発表を終え、こう振り返ります。

山本雅史「モータースポーツは、Hondaのすべてであり、我々のDNAの一部なんです

1948年の創業以来、F1はHondaにとっての夢であり、その言葉通り、1964年にF1参戦を叶えました。レースは、力を示して技術的な挑戦をする場であり、途中で投げ出すという考えは、Hondaのフィロソフィにはありません。進化と成長を示すためにここにいるわけで、非常に重要な場です」

厳しい戦いを強いられた3年間を経てマクラーレンとの提携終了が決まり、それに変わってトロ・ロッソへの供給が決まりました。この交渉はイタリアGPでまとまりましたが、山本はそれをまとめるために奔走したと言います。

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「McLaren-Hondaのモットーは“ワン・チーム”であり、パフォーマンス向上のためにともに努力してきました。しかし、我々はプレシーズンテストの時点で望んだような結果が出せなかった。これによって、シーズン序盤から想定していたパワーが出せず、マクラーレンの期待にも届きませんでした」

「もちろん、Hondaはマクラーレンとの関係継続を望んでいましたが、それに足るだけのパフォーマンスや信頼性の目標をクリアできませんでした。これがお互いの関係性に関係を来し、その結果として残念ながら離別を選ぶことにつながりました。F1の世界では結果を出すことが重要なので、本当に悔しいですが、こういったこともやむを得ないと考えています」

今シーズンのアブダビGPでマクラーレンへの供給は終了しますが、HondaにはF1プロジェクトを成功させようという強い意志があります。2021年から新エンジンレギュレーションが導入されますが、それまでまだ時間は多くあるので、今季から導入したパワーユニットのコンセプトを熟成していけるはずです。

山本雅史「現行レギュレーションは2020年まで有効で、まだ3年あるわけですから、技術的な進化を見せていきたいと思っています。Hondaのポテンシャルをしっかりと示したいです。世界中へ我々の進化を見てもらい、Hondaがどうやって成功に至るのかを示すことが大切です」

新たなパートナーとなるトロ・ロッソは、若いチームであり、Hondaも参入3年目とパワーユニットサプライヤーとしては新参メーカーです。双方が、ともに成長することに強い情熱を抱いています。

山本も、こうした方向性の一致が有益であり、トロ・ロッソ-Hondaの2018年へ向けた準備はスムーズに進むと考えています。

「まず、(チーム代表である)トストさんは日本について造詣が深く、文化を理解しているので、いいコミュニケーションが取れています。また、トロ・ロッソは若いチームで成長の最中にあり、Hondaにとっては、似たようなメンタリティー、アプローチでともに戦えるということも大きいです。考え方の近いチーム同士、一緒に前進できると思います」

「トロ・ロッソとHondaは来季に向けて早急に準備を始めていきます。また、(シンガポールGPを含む)2017年の残り7戦はマクラーレンとともに戦うわけなので、ここでいいパフォーマンスを見せるとともに、彼らともしっかりコミュニケーションをとっていかなければなりません」

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新たなワークス体制は、これまでと違ったアプローチになるようです。山本はこれによってF1におけるHondaの将来に確信を持っています。

山本雅史「マクラーレンと組んでみて分かりましたが、企業の規模が大きいと、とてもシステマチックになります。もちろん、それが大きな強みであることは間違いないのですが、同時に変化に適応していくことは難しくなります。

その点、トロ・ロッソはまだ成長途上にある企業です。同じゴールを目指して一緒に歩んでいける関係であることが重要です。いいコミュニケーションをとりながら仕事ができることを、本当に楽しみにしています。

マクラーレンとトロ・ロッソの二つのチームを比べてみると、マクラーレンは洗練されたフランス料理のような完成されたイメージであるのに対し、トロ・ロッソはおいしい田舎料理のようなイメージです。家庭料理のシチューのように、いくつか手を加えることでさらにおいしく出来ますし、そうできればと考えています」

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