ROUND16

日本日本 鈴鹿サーキット 2017.10.05(木)

2017 JAPANESE GRAND PRIX - プレビュー

2017 JAPANESE GRAND PRIX - プレビュー

Hondaは、FIAフォーミュラ・ワン世界選手権(以下、F1)の第16戦日本GP(開催地:鈴鹿、10月6日~8日)に向けて準備を進めています。今大会のサーキット情報や、今週末のレースの見どころなどをレポートします。

※ FIAとは、Fédération Internationale de l'Automobile(国際自動車連盟)の略称

コメント

長谷川 祐介 (株)本田技術研究所 主席研究員 F1プロジェクト総責任者
長谷川 祐介「チームにとって前向きな結果を得られたマレーシアでのレースを終え、勢いがついた状態で、次はいよいよ我々のホームグランプリである日本、鈴鹿サーキットに向かいます。日本のファンの声援はいつも我々にパワーを与えてくれますし、久しぶりにホームに戻れる安心感があります。一方で、今年こそいいレースを見せなくてはいけないという大きなプレッシャーも感じています。

鈴鹿サーキットは多くのドライバーがお気に入りに挙げるサーキットですが、特徴としては、パワーサーキットとテクニカルサーキットの両面を併せ持っています。我々エンジニアにとってもセッティングに非常に頭を悩ませるサーキットですが、一方で大きなやりがいも感じる場所です。マシンのバランスが重要になるトラックなので、PU(パワーユニット)としてはそれに合わせたドライバビリティーの設定がポイントになります。これから週末に向けてマクラーレンと一緒にセットアップを煮詰めていきます。

今年はMcLaren-Hondaとして最後の鈴鹿ということで、大事なレースになります。個人的にも今回のレースに対しては強い想いを抱いていますので、なんとしても皆さんの記憶に残るようなレースにできればと考えています」

フェルナンド・アロンソ
フェルナンド・アロンソ「鈴鹿はカレンダーの中でも特にお気に入りのサーキットの一つで、他のドライバーと同様、毎年日本へ行くのが楽しみです。伝統を感じさせてくれる上、コースのかたちはとてもユニークです。過酷で高速、ドライバーにもエンジニアにも大きなチャレンジを求める鈴鹿は、完璧な“レーサーズサーキット"でしょう。

私個人にとっても、特別な場所である日本とつながりが持てる、重要なレースです。日本の文化は魅力的ですし、ファンの素晴らしい応援が、レースウイークをシーズン一番と言えるほど盛り上げます。例年、なるべく多くの時間を日本で過ごせるようにして、東京の名所を訪れることもあります。そうすることで、他にはない雰囲気を感じることができるのです。

ここ2戦は厳しい結果が続いているので、トラックに戻り、運が向いてくるようにエンジニアと仕事をしていくのを楽しみにしています。マレーシアでは、ストフェルが見せてくれたように、我々のマシンには明らかにいいペースがありました。しかし、不運とトラフィックでの停滞によって望んでいたポイント獲得はなりませんでした。チームの日本人スタッフや、パートナー、そしてもちろんファンのために2人とも全力でプッシュし、マシンが進化したことをしっかりと示せればと思っています」

ストフェル・バンドーン
ストフェル・バンドーン「ここまで2戦が本当にいい結果だったので、それを経て日本へ戻ってくるのが楽しみです。好きな国の一つですし、多くの楽しい時間を過ごした場所でもあります。文化、食、そして人々が本当にすばらしいですし、F1マシンで鈴鹿サーキットを走ることを長い間待ち望んでいました。

走りの面で言えば、シンガポールとマレーシアで自分自身、いい勢いがついたと思います。各セッションで上位につけられ、パッケージの持つ力を最大限に発揮できたと思います。ポテンシャルがあることは分かっていましたが、なぜかそれを示せない日々が続いたものの、2戦連続で力強い走りができたことには勇気づけられましたし、日本でもどんなことができるかワクワクしています。

我々のマシンにとっては、セパンよりもだいぶ厳しく、よりパワーが必要なサーキットです。アドバンテージがあるとすれば、昨年スーパーフォーミュラで優勝するなど、私に鈴鹿でレースをした経験があることです。エンジニアと懸命に取り組んで、これまで同様にきちんと準備をして臨みます。プッシュし続け、また力強い結果を得られる週末になることを願っています」

エリック・ブーリエ McLaren-Honda Racing Director
エリック・ブーリエ 「我々にとっては第2のホームレースですから、McLaren-Hondaのだれもが、鈴鹿での日本GPにエキサイトしています。鈴鹿はカレンダーの中でも一番と言えるほど美しいサーキットですし、もちろん、パートナーであるHondaにとっても重要な場所です。したがって、我々の目標は両ドライバーにできることをすべてやりきり、世界で一番情熱的なファンの皆さんにいいレースを見せることです。

ここ2戦でいい結果が出たので、この進歩を継続していきたいですし、チーム全員にとって特別な日本でのレースで両ドライバーが好結果を出せるように取り組みます。強い決意で、シーズン最後にコンストラクターズランキングで少しでも浮上できるように全力を尽くします。

鈴鹿が簡単なサーキットではないことは分かっていますが、上位下位問わずにすべてのチームが、手強いコーナーの待ち構える、独特なサーキットが大好きです。パワーが求められる特性ではあるものの、セクター1の流れなどテクニカルセクションも存在しますから、そこでは強さを見せられると思います。2017年型のマシンが、ここでどんな走りを見せるのかも楽しみです」

サーキット情報

名称鈴鹿サーキット
初開催 1987年
優勝者 2016 ニコ・ロズベルグ
2015 ルイス・ハミルトン
2014 ルイス・ハミルトン

歴史

鈴鹿サーキットは、1962年にHondaによって設立されました。当時は先進的だった8の字型のレイアウトは、ドイツ人のジョン・フーゲンホルツ氏による発案で、それ以来少しずつ改修を重ねて現在に至ります。最も大きなものは、80年代前半に行われ、最終コーナー手前にシケインが設置され、デグナーは2つのコーナーに分割されました。鈴鹿で日本GPが行われるのは、今年で29回目です。

鈴鹿は世界で最も愛されているサーキットの一つであり、流れるようなレイアウトと高速コーナーが、マシンとドライバーを厳しく試します。セクター1を形成する7つのコーナーは、すべてがつながりを持ち、最も低い地点でも時速210㎞で駆け抜けます。わずかなミスがタイムロスにつながるのです。

これまで、鈴鹿でドライバーズタイトルが決定したのは11回。これには、McLaren-Hondaでアイルトン・セナが獲得した3回のタイトルも含まれます。2004年と2011年には、土曜日の大雨によって予選・決勝が日曜日の同日開催になったこともありました。

Hondaは1964年にF1デビューを果たしましたが、そのテストコースとして、デビュー2年前に鈴鹿が建設されました。その後、1965年にF1初勝利を果たしたHondaは、通算75勝を挙げています。

McLarenは、これまで日本GPでコンストラクターとして最多の9勝。直近の勝利は2011年で、2番グリッドからスタートしたジェンソン・バトンが、粘り強い走りで2度目のピットストップの際にセバスチャン・ベッテルの前に出ました。その後2番手に浮上してきたフェルナンド・アロンソを1.1秒差で抑えきり、見事に優勝を果たしました。

日本のF1ファンは情熱的で、ピット向かいのグランドスタンドに夜遅くまでいる姿が見られるほか、ドライバーのフォトセッションはシーズンで一番の盛り上がりをみせます。日本での国際的なイベントはF1にとどまらず、2019年にはラグビーW杯、2020年には夏季オリンピックが開催されます。

コース

全長 5.807㎞ ※カレンダー中5番目の長さ
2016ポールポジション ニコ・ロズベルグ 1分30秒647
2016ファステストラップ セバスチャン・ベッテル 1分35秒118(36周目)
ラップレコード 1分31秒540 (キミ・ライコネン、2005年)
エンジニアリング 鈴鹿は17のコーナーのうち、時速100㎞以下で通過するものは1つのみ。したがって、高速走行時のバランスが重要となる。タイムを上げるにはリアエンドの安定性と応答性の良いフロントエンドが必要
ドライビング 高速コーナーでの切り返しがスムーズにいくかがカギ。S字を中心とするセクター1では、7つのコーナーすべてを高速で抜け、それぞれが連動しているので、一つのコーナーでミスをするとそれが他にも影響する。また、デグナーの1つ目はレーシングラインにバンプがあるのでブレーキングが難しい
マシンセットアップ ダウンフォースを中程度にして、硬めのサスペンションを合わせる。先週末のセパン同様、鈴鹿もスムーズな路面なので、硬めのセッティングとフロントエンドを低く抑えることが可能。これにより、高速走行時のグリップを生み出す
グリップレベル 高い。アスファルトはグリップが高く、速度の高さが多くのダウンフォースを生み出す
タイヤ スーパーソフト(赤)、ソフト(黄)、ミディアム(白) ※この組み合わせは今季8回目
ターン1までの距離 350m(カレンダー中最長はバルセロナの730m)
最長ストレート 900m ※ターン16へ向かう直線
トップスピード 時速320㎞(ターン16への進入時)
スロットル全開率 65%。最長のスロットル全開時間は16秒
ブレーキ負荷 低い。一周のうち10%しかブレーキを使う時間がない
燃費 1周あたり1.8㎏を消費。カレンダー中の平均程度
ERSの影響 中程度。大きなブレーキングポイントはターン16の1箇所のみなので、ここで回生をまかなう必要がある
ギアチェンジ 42回/1ラップ、2,226回/レース

レース

周回数 53ラップ
スタート時間 現地時間14時(日本時間14時)
グリッド ポールポジションはアウト側のレーシングライン上。反対側よりもグリップは高いが、スタート地点は下り坂になっているので、ブレーキの放し方によって勝負を左右することがある
DRS ゾーンは1つ。ターン1へ向かうストレートのみ
戦略 ここ数年、ドライコンディションで優勝したドライバーの戦略は、15周目と35周目あたりでの2ストップ。しかし、今年ピレリは一段階ソフト側のコンパウンドを持ち込むので、ピット回数が増える可能性がある
ピットレーン 413m。1回のストップでのタイムロスは約20秒
セーフティカー 出動率は60%。コース幅が狭く、バリアが近い上、アクシデントは高速走行中に起きることが多いので、デブリが多くなる
注目ポイント 大雨が降ると、コース上に川ができてしまうことがあり、アクアプレーニングを引き起こす可能性があるので、注意が必要
見どころ 世界一過酷なサーキットの一つで、世界最高のマシンとドライバーがどんな走りを見せるか。鈴鹿では、本当に優れたマシンと能力のあるドライバーしかパフォーマンスを発揮できない

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