モータースポーツ > F1 > 第16戦 アメリカGP > 決勝
October 25 2015 RACE 2015 Formula 1 United States Grand Prix
アメリカGP
2015年10月25日(日)・決勝 会場:サーキット・オブ・ジ・アメリカズ 全長:5.513km
本日のアメリカグランプリでは、路面がウエットからドライに徐々に変化するという難しい状況の中、ジェンソン・バトンが戦略面で完ぺきな走りを見せ、7位でチェッカーフラッグを受けて完走しました。その後、カルロス・サインツ Jr.選手(Toro Rosso)に5秒間のペナルティが科せられたことから、最終的に6位に繰り上がり、バトンにとって2015年シーズンで最も良いレース結果となりました。
バトンは路面が徐々に乾く中、オプションタイヤを最初にうまく機能させたドライバーの一人であり、それによってトップ10圏内にポジションを上げることに成功。セーフティーカーが導入された際に2回目のピットストップを行ったことにより、順位を守りきりました。ただ、レースを立て直すきっかけとなったのは、磨耗し始めたタイヤを交換するために3回目かつ最後のピットストップを行うという、リスクの伴う判断をバトン自身が下したおかげです。5番手から8番手へと順位を落としながらも、新品タイヤのメリットを生かして、6位までばん回しました。
一方、フェルナンド・アロンソのレースは、あまり期待できない形でのスタートとなりました。1周目の1コーナーに差し掛かった際にフェリペ・マッサ選手(Williams)と接触してスピンを喫し、その後、何とかガレージに戻って新品のインターメディエイトタイヤを装着したものの、グリッド後方に追いやられ、先頭集団から1分差に後退。
ただ、その後、クラッシュしたマーカス・エリクソン選手(Sauber)のマシンを撤去するためにセーフティーカーが導入されたことで、ようやく戦いに復帰。まずは周回遅れから上位と同一周回を走るところまでばん回し、集団の後方に追いついた後、すぐにアタックを開始しました。
アロンソはそこから一時はトップ5まで順位を上げたものの、燃料システムのセンサーの不具合と思われるトラブルによって、突然パワーを喪失。スイッチの切り替えによって問題を解決するまでに、再度、順位を落とす結果となりました。最終ラップで10位のポジションをダニエル・リカルド選手(Red Bull)に明け渡し、11位で完走。1.5秒差でポイント獲得を逃しました。
順位 | ドライバー | マシン | タイム/差 |
---|---|---|---|
1 | ルイス・ハミルトン | Mercedes | 1:50'52.703 |
2 | ニコ・ロズベルグ | Mercedes | +2.850 |
3 | セバスチャン・ベッテル | Ferrari | +3.381 |
4 | マックス・フェルスタッペン | Toro Rosso | +22.359 |
5 | セルジオ・ペレス | Force India | +24.413 |
6 | ジェンソン・バトン | McLaren-Honda | +28.058 |
7 | カルロス・サインツ Jr. | Toro Rosso | +30.619 |
8 | パストール・マルドナド | Lotus | +32.273 |
9 | フェリペ・ナスル | Sauber | +40.257 |
10 | ダニエル・リカルド | Red Bull | +53.371 |
11 | フェルナンド・アロンソ | McLaren-Honda | +54.816 |
12 | アレキサンダー・ロッシ | Marussia | +75.277 |
NC | ダニール・クビアト | Red Bull | DNF |
NC | ニコ・ヒュルケンベルグ | Force India | DNF |
NC | マーカス・エリクソン | Sauber | DNF |
NC | キミ・ライコネン | Ferrari | DNF |
NC | フェリペ・マッサ | Williams | DNF |
NC | ロマン・グロージャン | Lotus | DNF |
NC | バルテッリ・ボッタス | Williams | DNF |
NC | ウィル・スティーブンス | Marussia | DNF |
予選リザルト
順位 | ドライバー | チーム | Q1 | Q2 | 周回数 |
---|---|---|---|---|---|
1 | ニコ・ロズベルグ | Mercedes | 1'56.671 | 1'56.824 | 5 |
2 | ルイス・ハミルトン | Mercedes | 1'56.871 | 1'56.929 | 5 |
3 | ダニエル・リカルド | Red Bull | 1'56.495 | 1'57.969 | 6 |
4 | ダニール・クビアト | Red Bull | 1'57.640 | 1'58.434 | 6 |
5 | セバスチャン・ベッテル | Ferrari | 2'00.950 | 1'58.596 | 7 |
6 | セルジオ・ペレス | Force India | 1'59.284 | 1'59.210 | 6 |
7 | ニコ・ヒュルケンベルグ | Force India | 1'58.325 | 1'59.333 | 6 |
8 | キミ・ライコネン | Ferrari | 1'58.198 | 1'59.703 | 5 |
9 | フェリペ・マッサ | Williams | 2'00.902 | 1'59.999 | 7 |
10 | マックス・フェルスタッペン | Toro Rosso | 1'58.689 | 2'00.199 | 7 |
11 | フェルナンド・アロンソ | McLaren-Honda | 1'59.704 | 2'00.265 | 16 |
12 | バルテッリ・ボッタス | Williams | 1'59.569 | 2'00.334 | 16 |
13 | ロマン・グロージャン | Lotus | 2'00.236 | 2'00.595 | 17 |
14 | ジェンソン・バトン | McLaren-Honda | 2'00.261 | 2'01.193 | 16 |
15 | パストール・マルドナド | Lotus | 2'00.844 | 2'01.604 | 17 |
16 | マーカス・エリクソン | Sauber | 2'02.212 | 9 | |
17 | フェリペ・ナスル | Sauber | 2'03.194 | 9 | |
18 | アレキサンダー・ロッシ | Marussia | 2'04.176 | 9 | |
19 | ウィル・スティーブンス | Marussia | 2'04.526 | 9 | |
NC | カルロス・サインツ Jr. | Toro Rosso | 2'07.304 | 3 |
ドライバー
順位 | ドライバー | マシン | 総合ポイント |
---|---|---|---|
1 | ルイス・ハミルトン | Mercedes | 327 |
2 | セバスチャン・ベッテル | Ferrari | 251 |
3 | ニコ・ロズベルグ | Mercedes | 247 |
4 | キミ・ライコネン | Ferrari | 123 |
5 | バルテッリ・ボッタス | Williams | 111 |
6 | フェリペ・マッサ | Williams | 109 |
7 | ダニール・クビアト | Red Bull | 76 |
8 | ダニエル・リカルド | Red Bull | 74 |
9 | セルジオ・ペレス | Force India | 64 |
10 | マックス・フェルスタッペン | Toro Rosso | 45 |
11 | ロマン・グロージャン | Lotus | 44 |
12 | ニコ・ヒュルケンベルグ | Force India | 38 |
13 | フェリペ・ナスル | Sauber | 27 |
14 | パストール・マルドナド | Lotus | 26 |
15 | カルロス・サインツ Jr. | Toro Rosso | 18 |
16 | ジェンソン・バトン | McLaren-Honda | 16 |
17 | フェルナンド・アロンソ | McLaren-Honda | 11 |
18 | マーカス・エリクソン | Sauber | 9 |
19 | ロベルト・メリ | Marussia | 0 |
20 | アレキサンダー・ロッシ | Marussia | 0 |
21 | ウィル・スティーブンス | Marussia | 0 |
コンストラクター
順位 | コンストラクター | 総合ポイント |
---|---|---|
1 | Mercedes | 574 |
2 | Ferrari | 374 |
3 | Williams | 220 |
4 | Red Bull | 150 |
5 | Force India | 102 |
6 | Lotus | 70 |
7 | Toro Rosso | 63 |
8 | Sauber | 36 |
9 | McLaren | 27 |
10 | Marussia | 0 |
フェルナンド・アロンソ
MP4-30-03
FP3
14番手 2分03.375秒(トップとの差 +3.858秒) 9周
予選
Q1 10番手 1分59.704秒(フルウエット)
Q2 11番手 2分00.265秒(フルウエット)
※Ferrariのセバスチャン・ベッテル選手とキミ・ライコネン選手がグリッド降格のペナルティを受けたため、9番手スタートに繰り上がり
Q3 -
レース
スタート 9番手
レース結果 11位
ファステストラップ 1分44.323秒 55周目(トップとの差 +3.657秒、11番手)
ピットストップ 3回:2周目 (ピットストップ時間 7.79秒 ※タイヤパンク)、18周目(ピットストップ時間 2.65秒)および26周目(ピットストップ時間 3.50秒) [インターミディエイト→インターミディエイト→オプション→オプション]
「今日の決勝は今までで最も良いレースの1つです。
2周目の時点で最後尾から2番目のマシンに、1分遅れで走行していて、その後、残り10周で5番手にまで順位を上げることができました。
それだけ力強くばん回していただけに、レース終盤で発生したメカニカルトラブルによって戦いができなかったことは残念です。そのため、うれしいというよりは悲しい気持ちになりましたが、こういった問題を引き続き改善できるようにします。
最後に、3度目のワールドチャンピオンに輝いたルイス・ハミルトン選手(Mercedes)への祝辞を述べたいと思います。同選手はシーズンを通して非常に力強く、偉業を成し遂げました。来年は今シーズンよりも、ハミルトン選手を少しでも苦しめられるようになればと思います」
ジェンソン・バトン
MP4-30-04
FP3
16番手 2分05.283秒(トップとの差 +5.766秒) 7周
予選
Q1 12番手 2分00.261秒(フルウエット)
Q2 14番手 2分01.193秒(フルウエット)
※Ferrariのベッテル選手とライコネン選手、およびWilliamsのバルテッリ・ボッタス選手がグリッド降格のペナルティを受けたため、11番手スタートに繰り上がり
Q3 -
レース
スタート 11番手
レース結果 7位
※サインツ選手(Toro Rosso)が5秒間のペナルティを科せられたため、6位に繰り上がり
ファステストラップ 1分43.026秒 50周目(トップとの差 +2.360秒、8番手)
ピットストップ 3回:17周目(ピットストップ時間 5.35秒)、27周目(ピットストップ時間 2.84秒)、および44周目(ピットストップ時間 3.46秒)[インターミディエイト→オプション→オプション→オプション]
「今日は戦略が物を言うレースとなり、我々は戦略面において完ぺきなレースをしました。チームは、本日成し遂げたことについて満足すべきです。ただ、ピットストップの判断はすべてうまくいったものの、パフォーマンス不足については改めて見直す必要があります。
レース序盤は、ドライコンディションの中、レースを心から楽しむことができ、今までとの違いを少しでも見せられたように感じました。他のドライバーよりも先にスリックタイヤを履いて、ピットストップもうまくいったものの、いったん路面が乾くと、どのドライバーもブレーキをかける場所が分かるので、我々にとってはかなり難しい状況でした。他チームのドライバーが本領を発揮すると、我々はそのペースについていけませんでした。
それでも、ポイントを獲得できたことは良かったですし、私はその挑戦を楽しむことができました。ただ、我々はペース不足でした。
最後に、古き友人でかつてのチームメートであるルイス・ハミルトン選手に対してお祝いの言葉を述べたいと思います。同選手とMercedesチームは年間を通してミスをすることはなかったですし、これは偉大な功績です」
エリック・ブーリエ|McLaren-Honda Racing Director
「我々McLarenは多少のことでお祝いをする習慣はありませんが、今日のジェンソンの6位入賞は我々にとって今季最高のレース結果の1つであり、満足するには至らなくとも、うれしい結果です。
今日のような波乱のレースで、ジェンソンはいつも通り、その状況を巧みに操りました。予断を許さない状況にもかかわらず、トラブルに巻き込まれることなく、落ち着いて徐々にポジションを上げ、必要なときにタイヤをセーブした結果、我々にとって非常に貴重なワールドチャンピオンシップポイント8点を獲得しました。
一方、フェルナンドは、本人のミスではないものの、さまざまなアクシデントが起こるレースとなりました。すばらしい走りを見せてくれましたが、最終的に僅差でポイント獲得のチャンスを逃しました。
今週末は変わりやすい天候のため複雑な状況であったにもかかわらず、メカニックのメンバーが一度もミスをすることはありませんでした。また、エンジニアや戦略担当者も、午後のレースを通してすばらしい仕事をしてくれました。
これまでも申し上げてきたように、まだやるべきことがたくさんあるのは分かっています。ただ、我々がHondaとともに進化しているのは確かですし、それを確認できることは励みになります。
5日後には、今度はメキシコシティでサーキット入りしますが、次戦のメキシコGPで今日の結果を足掛かりにできるようにしたいと思います。
最後に、ルイス・ハミルトン選手に対して「よくやった」と祝辞を述べたいと思います。ウォーキングにもハミルトン選手の友人がまだたくさんいますし、みんな同選手がMcLarenのドライバーとして過ごした6年間に良い思い出を抱いています。ワールドチャンピオンを3回手にするのは本当に偉大な功績です。今日、3度目のタイトルを獲得したことによって、これまでに同じく3回ワールドチャンピオンに輝いた、たった6人のドライバー(ジャック・ブラバム、ジャッキー・スチュワート、ニキ・ラウダ、ネルソン・ピケ、およびアイルトン・セナ - いずれもMcLarenでワールドチャンピオンに輝く)の仲間入りを果たしました。ルイス、おめでとう!」
新井康久|株式会社本田技術研究所 専務執行役員 F1プロジェクト総責任者
「この週末は天候に恵まれず、大変短い走行時間でしたが、少ない中でマシン全体のセットアップの方向を見出せたことが本日の結果につながったと思います。
2人のドライバー、ピットワーク、そしてレース戦略がすべて噛み合ったと思います。
アロンソ選手のマシンは、彼の集中した走りと、週末を通して機能したSpec4のエンジンが終盤まですばらしい競争力を発揮していましたが、燃料系に何かのトラブルが一時的に発生し、その後回復したものの、ポジションを落とすこととなってしまって残念です。
次戦は連戦となりますので、エンジンチェックやデータの解析など、また短い時間となりますが集中して取り組みたいと思います」