新井 康久｜株式会社本田技術研究所 専務執行役員 F1プロジェクト総責任者
「今週末のグランプリが開催されるハンガロリンクは、テクニカルな中低速のコーナーとアップダウンが連続し、さらには幅も狭くドライビングラインが限られるため、非常にオーバーテイクが難しいサーキットです。その上、ストップ・アンド・ゴーが続くサーキットとは異なり、全セクターをリズム良く走行する必要があり、ドライバーの腕がレースを左右するコースです。

ここ数戦、長いストレートやスロットルの全開比率が高いサーキットが続きましたが、ハンガロリンクは中低速中心で平均車速も低いことから、パワーユニットへの負荷は軽減されると予想します。一方、数多くのワインディングをバランスよく走るためには、エネルギーマネージメント、特にMGU-Kの使い方が重要となり、各コーナーの立ち上がりにおいては、パワーユニット出力特性のマッピングを的確に設定して、ERS(エネルギー回生システム:MGU-K、MGU-Hなど)を毎ラップうまく使う必要があります。

ハンガリーGPは、2015年シーズンの折り返し地点となります。良い結果でシーズン後半へつなげられるように、レースに臨みたいと思います」

レース日時:
7月24日(金):
フリー走行1 10:00～11:30 (日本時間 17:00～18:30)
フリー走行2 14:00～15:30 (日本時間 21:00～22:30)

7月25日(土):
フリー走行3 11:00～12:00 (日本時間 18:00～19:00)
予選 14:00～15:00 (日本時間 21:00～22:00)

7月26日(日):
決勝レース 14:00～ (日本時間 21:00～)
※決勝レースは70周完走、もしくは2時間経過時点の周回で終了

サーキット情報:
サーキット名: ハンガロリンク
所在地: ハンガリー・モギョロード (ブダペスト郊外)
コース全長: 4.381km
周回数: 70周
トップスピード: 時速305km
特徴: ハンガロリンクは、丘の形状を活かしたアップダウンがコース全体に散りばめられており、それに加えて14のコーナーがマシンを前後左右に揺さぶる、ドライバーにとっては非常に忙しいサーキット。一つのコーナーでミスをすると、ラップ全体に響いてしまうという、テクニカルなレイアウトが特徴。加えて、毎年レース前にサーキットの舗装が行われることで路面が滑りやすく、金曜日のフリー走行から日曜日の決勝までの間のグリップ力の変化に順応する必要もある。今回のレースにピレリはソフトとミディアムの2種類を用意しているが、気候と路面に左右されるために、チームの大半は3回のピットストップを実施する傾向にある。レース好きのファンが多く、コンパクトなサーキットで投げかけられる温かい声援がレースを盛り上げてくれる。
気候: 晴れたハンガロリンクはとにかく暑く、今年は気温が35℃前後と厳しいレースが予想されている。ただし、サーキットは急な雨や稲妻の通り道となっており、ウェットレースになる可能性も出ている。一度雨が降り始めるとレースは一転し、ドライビングラインが無くなるため、すべてはドライバーのスキル勝負となり、レース展開は予測不能。

2014年優勝者: ダニエル・リカルド(インフィニティ・レッドブル・レーシング)
2014年ファステストラップ: ニコ・ロズベルグ 1分25秒724(メルセデス・AMG・ペトロナス・F1チーム)
ラップレコード: 1分19秒071 (2004年、ミハエル・シューマッハ、フェラーリ)

※ FIAとは、Fédération Internationale de l'Automobile(国際自動車連盟)の略称