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 イタリアGPプラクティスでのRA302。寄り添う中村良夫監督とコクピットのサーティース。この後、空冷エンジンを積んだイノベーショナルなRA302を公式の場で見ることはできなくなった。
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しかし、Hondaの第一期F1参戦で、車体のエンジニアとして私が最後にかかわったマシンだから……ではなく、この「302」というマシンは、その搭載エンジンだけでなく、さまざまな意味で、きわめて「Honda的に」独創的であり、かつ先進的でした。
 たとえば、ドライバーのシートの位置です。車体の中央といっても、これはほとんど前輪のすぐ後ろにドライバーが座ります。あ、いまのレース・ファンにとっては、これは逆に「常識」かもしれませんネ! でも、これと同時期のHondaマシン、たとえば「301」を見ていただければ、そっちが当時のスタンダードであったことがわかります。そういえば、この「Honda/302」の非常識な(笑)ドライビング・ポジションのアイデアは、当時のフェラーリもすぐに取り入れ、そしてついには、今日のフォーミュラの標準的なレイアウトになりました。

それから、そうした基本レイアウトともからみますが、マシン全体のデザインです。とくにフロントまわりですね。当時は、エアロダイナミズム、いま風に言えば“空力”ですね、そういうものはまだきちんと導入されていなかったというのが正直なところです。が、しかし、流線型という言葉はあった。この「302」の鋭角的なノーズのシェイプを可能にしたのは、搭載エンジンが空冷だったからです。そう、ラジエターというパーツがそもそもありませんから、他車のように、フロントに(エアのための)開口部を持つ必要がないわけです。

ただし、車体設計の面では、たしかにある種の制限はありましたね。というのは、エンジンが空冷なので、そのまわりは、空気を通すために「空けて」おかなければならない。エンジン周辺には、うっかりフレームを置けないし、安直にフレームの上にエンジンを載っけることもできない。だから、実はエンジンは「吊って」いるんです。車体中央のバルクヘッドから“棒”を後ろに引き出して、それに吊り下げている。燃料タンクにしても、どこに設定すれば、エンジンにうまく空気が導かれるか? このマシンには、実はそうした車体の全体に「風を通す」にはどうするかというハード的な工夫がなされ、その対策が各所にあります。

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