STAGE 08
ウユニ↓
トゥピサ
1月14日、ダカールラリーは、チームから一切のサポートを受けられないマラソンステージの2日目に突入しました。ボリビアのウユニをスタートし、トゥピサまで今大会最長となる498kmのスペシャルステージ(競技区間)で争われたステージ8では、Monster Energy Honda Teamのケビン・ベナバイズが冷静な走りで、総合1位とわずか22秒差まで追い詰めることに成功。ヒザの負傷を抱えたホアン・バレダも慎重に走行を続けました。
マラソンステージの夜をウユニのビバークで過ごした選手たちは、1月14日、トゥピサへの500km近いステージに臨みました。ルートはダートを主体としているものの、雨で滑りやすい部分もあり、高速ステージながらも慎重さが求められるもの。また、砂とキャメルグラスに覆われたエリアでは柔らかい砂と、グラスが生えた部分だけが硬く盛り上がった地形を攻略する必要もありました。
ステージ7を制したバレダは、このステージを6時15分に1番手からスタート。序盤は、前日のステージで負傷した左ヒザの痛みをかばいながら、慎重に走行を続けました。しかし次第にペースをつかむと、500km近いステージを8番手タイムでまとめ、総合では5番手につけました。
チームの目標、そして自身の夢のために全力を尽くしているベナバイズは、総合トップのドリアン・ファン・ベヴェレン(ヤマハ)をマークしながら、リスクを抑えながらも攻めるクレバーな走りを展開。3番手からスタートすると、序盤からファン・ベヴェレンをマークしながらレースを進めました。その後はしばらくほかのライダーたちと一緒に走り、最終的にファン・ベヴェレンより前でフィニッシュ。結果、総合でもタイム差を22秒差まで詰めることに成功しました。ラリーは、まもなくアルゼンチンへ向かいます。しかも、ステージ9が行われるサルタはべナバイズにとってのホームタウン。沿道ではファンが待ち構えているに違いありません。ベナバイズのやる気にますます弾みがつきそうです。
リッキー・ブラベックも快走を見せました。10番手からステージ8を走り始めたブラベックは、ステージウイナーとなったアントワン・メオ(KTM)と、このステージで10箇所のウエイポイント(GPSで設定されたルート上の通過点)の通過タイムでマッチレースを展開。地元のアメリカ西海岸カリフォルニアのデザートに似た今回のコンディションは、自身にとって得意とするものだったのか、中盤から終盤にかけては連続で全体ベストを出すスピードを保ちました。最終的にはライバルに一歩譲ってステージ2位となりましたが、その実力を見せつけました。
2日間のマラソンステージでサポート役を務めたイグナシオ・コルネホも、無事にステージを21位で完走しています。
ラリーの主催者は、トゥピサ(ボリビア)~サルタ(アルゼンチン)間で行う予定だったステージ9をキャンセルし、リエゾンでサルタに移動することを決定しました。ステージを行う現地の天候がここ数日で悪化したこと、厳しいマラソンステージを終えたマシンの修復に時間を要することなどがその理由です。ラリーはアルゼンチンのサルタ~ベレン間で行われるステージ10から再開される予定です。
※悪天候による路面状況悪化のため、明日のステージ9は中止となりました。
明日はサルタに向け、移動のみを行います。
ダカールラリーはいよいよアルゼンチンへ。ボリビアでの最終日となるステージ9は、アルゼンチンとの国境に向けてのルートを進むことになる。前半は標高4000m以上、後半は標高3000~3600mの高地での締まった土の路面がメインで、全体的にハイスピードのステージとなることが予想される。幅の異なる多くの川を、リスクを抑えながら着実に越えていくルートを見つけることが攻略のカギだ。スペシャルステージの終了後は、サルタまでの長いリエゾンが待っている。
リッキー・ブラベック(ステージ8 2位/総合 8位)
「なんの手助けも得られないマラソンステージの後半が終わりました。今日のステージは、、カリフォルニアのレースとよく似ていました。私は泥があまり好きではないので昨日は最悪でしたが、今日はずっと快適に走ることができました。速いコースでオフ・ピストもありました。スペシャルステージの後半は、メオ選手とのバトルが楽しかったですね。私たちはこれから5日間にわたって戦い続けます。私が参戦してきたここ3年は毎年、いずれかのステージがキャンセルされています。珍しいことではありません。それが私たちの安全のためなら、それはいいことです」
ケビン・ベナバイズ(ステージ8 4位/総合 2位)
「とてもいい日でした。私は3番手でスタートしましたが、数kmでファン・ベヴェレン選手を捕らえ、そのあとは彼と一緒にルートを切り開いていくことができました。一日中、ずっと一緒に走りました。途中からは、ルートを見失っていたトビー・プライス選手とバレダ選手も合流し、しばらく集団で走って、一緒にフィニッシュしました。この状況ではそれほど差が付くこともないため、私は少し抑え気味で走っていたのですが、その判断もよかったと思います。明日は私の生まれ故郷、サルタです。故郷の人々、そして私の家族に会って充電したいですね」
ホアン・バレダ(ステージ8 8位/総合 5位)
「昨日のステージではハードに攻めたので、上位とのタイムを縮めることができたのですが、そのあとで転倒してヒザを痛めてしまいました。今日は、スタートラインに立つことが難しいと思っていました。スタートできないんじゃないかと危惧していましたが、ドクターたちがテーピングをしてくれたおかげで、今日のスペシャルステージの始まりからルートを切り開いていくことができました。序盤には植物の群生した砂丘があって少し苦労しました。ヒザはかなり痛みましたが、ほかのライダーたちが追い付いてきてからは大きな問題もなく、今日を終えることができました。今は、私のヒザの状況を見る必要がありますが、間違いなく明日のステージがキャンセルになったのはプラスに働くでしょう。私たちはまだチャレンジし続けます。これから、まだ砂漠のステージが待ち構えていますし、我々に残された可能性を最大限に活かしていきます」
マイケル・メッジ(ステージ7 リタイア)
「昨日で私のダカールは終わりましたが、満足しています。私はいいペースで速く走れることを証明できたし、トップグループに食い込めることも示せました。しかしナビゲーション計器が私をレースから見放しました。ペルーの砂丘と同じように、昨日も再びGPSの問題が起こりました。計器が作動しなくなったことで、自分の位置を把握できなくなってしまったのです。前のライダーに付いて行こうとしましたが、道の固い路肩にマシンをぶつけ、前輪を壊してしまいました。しっかりと準備をしてきたこの1年ですが、私のダカールはその時点で終わってしまいました。残念ですが、チームに帯同して、チームがダカールで勝利するために応援します」
本田太一|Monster Energy Honda Team ラリー・プロジェクト・リーダー
「残念ながら、明日のステージ9がキャンセルになりました。しかしながら、総合1位争いをしているケビン・ベナバイズ選手が、とてもいいポジションで母国であるアルゼンチンでの戦いに挑めるので、Monster Energy Honda Teamとしてもしっかりとサポートをしていきたいと考えています。今日もベナバイズ選手はトップとの差を22秒まで詰めるいい走りをしてくれました。ステージ7での転倒でヒザを負傷したバレダ選手も、力強くレースを続けています。今後もチームドクターと相談をし、彼のヒザをトリートメントしてもらいながら、万全のサポートをしていくつもりです。また、リッキー・ブラベック選手ですが、マラソンステージ初日はややミスが目立ったものの、本日のステージでは2番手タイムを出す快調な走りをしてくれました。この先、アルゼンチンラウンドでは、ブラベック選手自らも上位に進出してもらい、同時に、優勝争いをしているベナバイズ選手、バレダ選手のサポートをしてもらいます。コルネホ選手もこのマラソンステージでしっかりとサポートライダーの仕事をこなしてくれたので、たいへん満足しています。残念なのは、マラソンステージの初日、ミスコースからの復帰を図ったマイケル・メッジ選手が、岩にマシンをヒットさせた影響でリタイアとなってしまったことです。全員完走という目標が果たせないのは残念ですが、マシンが戻ったらしっかりと状況を確認したいと思っています。メッジ選手はチームに合流し、サポート役として活躍してもらう予定です。明日は、いよいよアルゼンチンに入ります。日々、順位が入れ替わる闘いが続くので、引き続きしっかりとライダーたちをサポートしていきます」
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム | 差 | ペナルティー |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 19 | A.メオ | KTM | 05:24'01 | - | - |
2 | 20 | リッキー・ブラベック | Honda | 05:25'09 | +00:01'08 | - |
3 | 8 | T.プライス | KTM | 05:26'46 | +00:02'45 | - |
4 | 47 | ケビン・ベナバイズ | Honda | 05:29'53 | +00:05'52 | - |
5 | 9 | S.ソヴィッツコ | KTM | 05:30'47 | +00:06'46 | - |
6 | 2 | M.ウォークナー | KTM | 05:31'01 | +00:07'00 | - |
8 | 5 | ホアン・バレダ | Honda | 05:36'01 | +00:12'00 | - |
15 | 27 | マーティン・デュプレシ | Honda | 05:43'12 | +00:19'11 | - |
20 | 64 | マーク・サミュエルズ | Honda | 05:49'29 | +00:25'28 | - |
21 | 68 | イグナシオ・コルネホ | Honda | 05:49'47 | +00:25'46 | - |
46 | 71 | アルベルト・オンティヴェロス | Honda | 06:48'57 | +01:24'56 | - |
98 | 101 | フランシスコ・ゴメス・パラス | Honda | 15:35'25 | +10:11'24 | 06:34'00 |
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム | 差 | ペナルティー |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 4 | A.ファン・ベヴェレン | ヤマハ | 27:22'03 | - | - |
2 | 47 | ケビン・ベナバイズ | Honda | 27:22'25 | +00:00'22 | - |
3 | 2 | M.ウォークナー | KTM | 27:28'37 | +00:06'34 | 00:01'00 |
4 | 8 | T.プライス | KTM | 27:29'38 | +00:07'35 | - |
5 | 5 | ホアン・バレダ | Honda | 27:30'04 | +00:08'01 | - |
6 | 19 | A.メオ | KTM | 27:31'59 | +00:09'56 | 00:01'00 |
8 | 20 | リッキー・ブラベック | Honda | 27:54'01 | +00:31'58 | - |
15 | 68 | イグナシオ・コルネホ | Honda | 28:55'13 | +01:33'10 | - |
19 | 27 | マーティン・デュプレシ | Honda | 29:14'46 | +01:52'43 | 00:10'00 |
32 | 64 | マーク・サミュエルズ | Honda | 32:23'49 | +05:01'46 | 01:00'00 |
50 | 71 | アルベルト・オンティヴェロス | Honda | 36:24'28 | +09:02'25 | - |
88 | 101 | フランシスコ・ゴメス・パラス | Honda | 55:59'16 | +28:37'13 | 10:56'00 |