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DAKAR RALLY 2013

2013年1月19日(土)ダカールラリー 第14ステージ

TEAM HRC、24年ぶりのダカールで全車完走を果たす

TEAM HRC

TEAM HRCのエルダー・ロドリゲス選手、ハビエル・ピゾリト選手、そしてジョニー・キャンベル選手は、ダカールラリー2013の最終ステージを無事走り抜き、現地時間1月19日に、ゴール地点のチリ・サンティアゴへ到着しました。ペルーからチリ、そしてアルゼンチンを抜ける14の厳しいステージは、ありとあらゆる地形が待ち受ける、総走行距離8420kmの長い戦いでした。

ステージ:移動区間(リエゾン)280km、競技区間(スペシャルステージ)346km

石混じりの硬い路面のために、ハイスピードで走れる最終第14ステージ。ライダーたちは346kmにわたって集中を保って走り抜きました。このダカール2013を締めくくるスペシャルステージ(競技区間)で優勝を飾ったのは、ルベン・ファリア選手(KTM)でした。このステージを終え、KTMのシリル・デプレ選手は、自身5度目となるダカールラリーの総合優勝を手にしました。

この日、ロドリゲス選手は、トップとわずか24秒差のステージ3位。ピゾリト選手は12位、キャンベル選手は18位でフィニッシュしました。

この結果、総合順位ではロドリゲス選手が7位、ピゾリト選手が8位と、トップ10以内に2台のCRF450 RALLYを送り込むことに成功。キャンベル選手は40位でラリーを終えています。

世界で最も過酷なラリーに挑んだTEAM HRCは、厳しいステージにおいても完ぺきなチームワークをみせ、3人の優秀なライダーとともに助け合い、完走することができました。

ダカールラリーのプロジェクトが始動した6カ月前は、マシンもチームも白紙の状態からのスタートでした。その最初の関門は、ペルー・リマのスタート台に着くことでした。エンジニアたちの大きな努力によって、競争力のあるラリーマシン、CRF450 RALLYが準備されました。そして、2013年1月5日、ロドリゲス選手、ピゾリト選手、キャンベル選手の3名は、ダカールラリーへと走り出しました。

ナビゲーションミスや些細なメカニカルトラブルで、総合順位を簡単に失うこのラリーにおいて、2日目と3日目にCRF450 RALLYを襲った燃料系トラブルは、TEAM HRCのライダーから貴重な時間を奪い、総合優勝争いから遠ざけました。それにもかかわらず、3人のライダーたちは順位をばん回するために戦い続けました。

総合7位に入ったロドリゲス選手は、前半の燃料系トラブルでの遅れを着実なライディングで取り戻し、ラリー後半の山場となった第11ステージにおいて、トップとの時間差を縮めるべくスパートをかけました。それは、表彰台登壇をかけたすばらしいもので、タイム差を大きく詰められると思われました。しかし、そのステージを走行中に、マシンに当たった木の枝がCRF450 RALLYの配線を引きちぎってしまい、その修復に数十分を費やすトラブルに見舞われました。これによって、残念ながら表彰台が遠のいてしまいました。

総合8位のピゾリト選手も、すばらしい活躍をみせました。コンスタントなペースでラリーを走り、シングルフィニッシュをしていながら、自身とマシンのコンディションをともに維持し、長いラリーをエンジン無交換で走りきりました。

総合40位でラリーを終えたキャンベル選手は、3日目の燃料系トラブルの修復で、3時間以上をロス。Baja 1000などで多くの優勝経験を持つ実力をリザルトに結び付けることは叶いませんでした。しかし、今回のラリーでは、第8ステージでチーム最高位となるステージ2位のリザルトを記録するなど、そのスピードは健在でした。不運にも、第9ステージで転倒によってろっ骨を痛め、ラリー後半では苦しい展開を強いられました。骨折の可能性もある中で、痛みと戦いながら最後まで走り抜きました。

  • ジョニー・キャンベル選手(左)、エルダー・ロドリゲス選手(中央)、ハビエル・ピゾリト選手(右)
  • TEAM HRC
  • 鈴木哲夫HRC社長(左から2人目)、山崎勝実TEAM HRC代表(中央)、エルダー・ロドリゲス選手(右から2人目)
  • TEAM HRC

動画レポート

ダカールラリー2013
STAGE 14 選手・スタッフへのインタビューなど
(3分18秒)
ダカールラリー2013 STAGE 14
(4分41秒)
※動画内の順位は暫定版です。詳細はレースレポートをご確認ください。

コメント

エルダー・ロドリゲス選手(スペシャルステージ14 / 3位、総合7位)「Hondaの大きなプロジェクトに参加できたこと、そして“Hondaカラー”をまとって戦えたことは、私にとって大きな挑戦であり、とても光栄でした。TEAM HRCとCRF450 RALLYは、表彰台を目指せるポテンシャルを十分に持っていましたが、それが叶わず残念です。我々が若いチームであり、十分なテストができなかったことを忘れてはいけません。第2、第3ステージでの燃料系トラブルと、いくつかの不運が結果を左右してしまいました。しかし、チームは懸命に働き、問題が改善された結果、そのあとのステージでは、マシンはとてもいい状態になりました。私たちチーム全員でこのサンティアゴにいることに満足しています。そして、我々は継続するためにモチベーションを持ち続けなければなりません」

ハビエル・ピゾリト選手(スペシャルステージ14 / 12位、総合8位)「ダカールを終え、総合8位という結果には満足しています。昨年、不運なアクシデントで大たい骨と肘を骨折したあと、このレースに出場するためにとてもハードなトレーニングをしました。(エンジンを交換することなく)一つのエンジンでダカールラリーを走りきれたことによって、CRF450 RALLYの信頼性が証明されました。私たちはとてもエキサイティングな気分ですし、このすばらしいプロジェクトを継続すべきだと思っています」

ジョニー・キャンベル選手(スペシャルステージ14 / 18位、総合40位)「私たちは、全く新しいチームなのです。サンティアゴのフィニッシュラインに到達するために、懸命に働きました。ダカールラリーは、身体とマシンの状態をキープしなければなりませんが、第9ステージで転倒したあとは、それがとても難しかったです。やりがいとともに、つらさが共存していたのです。自分にとっては、5年ぶりにレースに復帰して、タフなラリーを完走するために準備に100%打ち込んできました。TEAM HRCと一緒にダカールに参加し、マシン開発の手助けができて、夢が叶いました」

山崎勝美| TEAM HRC代表「“TEAM HRCのすべてのマシンが、ラリーのゴールであるサンティアゴに到着する”という、我々の当初の目的を達成することができました。これは偉大なチームワークによるものです。全員が、共通の目的のために力を合わせて、チームに貢献した結果です。6カ月前に始まった若いプロジェクトですから、勝つことは難しいと思っていました。しかし、我々は最高の結果を得るために懸命に戦いました。ラリーの間は、いくつかの問題に直面し、それらを修正しました。このコンペティティブなラリーで、強力なライバルたちと14の難しいステージを戦いました。我々は、今回のレースで、CRF450 RALLYの開発を継続するための、膨大なデータと経験を得ることができました。2014年には優勝できるマシンとともに、ダカールに帰ってきます。エルダー、ハビエル、ジョニー、チームメンバー、そして我々のレースをサポートしてくださったスポンサーやパートナーに感謝しています」

リザルト

SS14順位
順位 No. ライダー マシン タイム
1 11 R.ファリア KTM 01:43:06
2 5 J.バレダ ハスクバーナ +00:00:08
3 3 エルダー・ロドリゲス Honda +00:00:24
4 103 M.パトラオ スズキ +00:01:21
5 9 O.ペイン ヤマハ +00:02:14
         
12 30 ハビエル・ピゾリト Honda +00:03:42
18 33 ジョニー・キャンベル Honda +00:05:32



総合順位
順位 No. ライダー マシン タイム
1 1 C.デプレ KTM 43:24:22
2 11 R.ファリア KTM +00:10:43
3 7 F.ロペス KTM +00:18:48
4 32 I.ジェイクス KTM +00:23:54
5 12 J.ペドレーロ KTM +00:55:29
         
7 3 エルダー・ロドリゲス Honda +01:11:22
8 30 ハビエル・ピゾリト Honda +01:26:07
40 33 ジョニー・キャンベル Honda +08:11:40