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Honda - OFFICIAL SUPPLIER OF DAKAR 2015
Team HRC

2014年12月24日(水)

本田太一 Team HRC テクニカルダイレクター インタビュー

自己紹介をお願いします
 「ダカールラリー2015でTeam HRCのテクニカルダイレクターを務める本田太一です。過去にはモトクロスマシン『CR』、『CRF』シリーズの開発を担当しました。ダカールラリープロジェクトには、24年ぶりの参戦が決まった当初から参加しています」

テクニカルダイレクターとは?
「現地におけるハード面の責任者です。メンテナンス内容や仕様の決定など、マシンに関わる事柄については、私が最終判断をしていくほか、日本人スタッフのまとめ役を担います。また、チーム監督のウルフギャング・フィッシャーとは常に情報交換を行い、一緒にチームをまとめていきます。昨年現地で指揮を執ったチーム代表の山崎勝実は、今大会では日本からチーム全体のマネジメントを担当します」

今年のチームについて
「コンセプトは、『勝つためのチーム』。総合優勝を手にするための人材が集まったと思います。24年ぶりの参戦から3度目を迎え、これまでの2大会での経験から、『勝つためには何が必要なのか』を学びました。それがマシンの性能面やチームマネジメントにも活かされて、総合力はアップしたと感じています」

新型「CRF450 RALLY」について
「昨年型からさらなる性能強化を図るため、吸排気系、燃料系、剛性バランスなどを見直しました。軽量化の成功やトップスピードの高さなど、ライバルを圧倒するための力を持ったマシンだと思います。また、万が一転倒した際にも壊れにくいよう、各部の強化を行うとともに、トラブル時にはライダー自身が修理を行いやすくするため、整備性の向上も果たしました」

新たに加入したライダーについて
ジェレミアス・イスラエル選手
「元モトクロスライダーで、チリの国内選手権でチャンピオンを獲得したこともある実力者です。3年前にラリーへ転向し、モトクロスで培ったスピードを武器に戦ってきました。最近はナビゲーション能力が向上してきて、その強さにますます磨きがかかっています。また、バレダ選手やゴンサルヴェス選手と非常に仲がよく、チームのムードメーカー的存在を担ってくれています」

ライア・サンツ選手
「トライアルでタイトル獲得13度を誇るスーパーウーマンです。トライアル出身だけあってテクニックは抜群ですが、それに加えてスピードも上がってきています。ダカール2014では総合16位、10月のモロッコラリーでは総合10位と安定した成績を残しており、転倒することも少ないです。チームでは男子選手に臆せず、主張すべきところははっきり言うところも頼もしいですね」

クロスカントリーラリー世界選手権を終えて
「アブダビ、カタール、サルディーニャ、ブラジルでさまざまな経験を積み、モロッコでマシンの最終仕様を決定しました。モロッコラリーで各ライダーから挙がったいろいろな要望を日本に持ち帰り、マシンを仕上げることができました。戦う中でトラブルや細かな修正点も出ましたが、それらを発見できたことで、しっかりと対策を施してダカールに臨めます」

現在の準備状況について
「モロッコラリーで発見した問題点や、ライダーからの要望を受けて、さらなるマシンの改良を行いました。その上で、スペインとポルトガルでテストを行い、最終調整が完了しました。ライダーからは『エンジン特性がさらに扱いやすくなった』と好評で、『これで勝てる』と太鼓判を押してくれました」

今大会の戦略について
「『エンジン無交換』を基本に戦います。エンジン交換を行うことによって科されるペナルティータイムの加算を避けられるのはもちろんのこと、整備を最小限にとどめることで、メカニックの疲労軽減にもつながります。疲労が溜まるとミスも起きやすくなりますし、過酷な舞台で戦っていますので、ライダーだけでなくスタッフのコンディションも万全にしておくことが大切です」

ダカールラリー2015への意気込みとTeam HRCファンの皆さまへ一言
「応援していただいている皆さまの中には、『Hondaはいつ勝てるの?』と思う方もいらっしゃるかもしれません。その期待に応えるべく、勝ちにこだわって大会に臨みます。ライバルチームは我々より経験が長い分、戦略面でも強さがあります。ただ、私たちもこれまでの経験をもとに綿密な準備を行いました。強力なライバルに勝てる、万全な体制が整ったと思います。皆さまへ勝利を届けられるよう、全力を尽くしますので、応援をよろしくお願いします!」