2018年11月発表 2020年3月生産終了モデル
この情報は2020年3月現在のものです

走行性能

軽量化を図りながら
141kW/13,000rpmのパワーを達成。

Photo:CBR1000RR SP

エンジン

操る楽しさの最大化へ。
999cm³・水冷DOHC直列4気筒エンジン。

軽快かつトルクフルなパワーフィールと高いコントロール特性を発揮する、999cm³・水冷DOHC直列4気筒エンジン。鍛造スリッパー型ピストンは、各部の薄肉化を丹念に行い重量増加することなく強度を確保することで、圧縮比を13.0とした。また、ピストンリングの表面処理をDLC(ダイヤモンドライクカーボン)とすることで混合気のシール性向上を図り、より高いエネルギー効率に貢献している。さらにCBR1000RR SPではピストンの重量選別を行ってバランスを取り、エンジン高回転域でのスムーズさが向上するよう組み上げている。また動弁系では、バルブタイミングとリフト量をチューニング。さらにバルブスプリング材質の高強度化を図るなど、各パーツのチューニングを丹念に行い、高出力、高回転化を追求。また、クランクケースのL側カバーとオイルパンをアルミからマグネシウムとし、軽量化も追求している。

エンジン(イメージCG)

ダイレクト・エア・インダクション・システム

力強いパワーフィールを生み出す
ダイレクト・エア・インダクション・システム。

吸気抵抗をより低減させ吸入空気密度を高める、吸気ダクト、エアクリーナーボックスを採用。また、スロットルボディーのボア径をφ48mmと設定し、燃料吐出圧力も最適化を図ることで燃料の微粒化促進による高い燃焼効率を追求。力強いパワーフィールに寄与している。さらに、レーシングマシンからフィードバックされたファンネルのスラッシュカット形状を採用することで吸入空気の流れを最適化し、スロットルレスポンスも追求している。

アルミカム アシストスリッパークラッチ

扱いやすさと軽量化を追求した
アルミカム アシストスリッパークラッチ。

クラッチスプリングの荷重を減らし、ライダーにかかるクラッチレバーの操作荷重を低減。また、トルクを伝える側と受け取る側双方のアシストカムをアルミダイキャスト製とすることで軽量化を達成するとともに、双方のカム間のクリアランスを最適化し、クラッチレバーの操作フィーリングを追求している。

アシストスリッパークラッチ カム作動イメージ図

6速クロスミッション

軽量化に貢献する6速クロスミッション。

加速時の変速によるエンジンの回転の落ち込みを低減するクロスミッション。高回転化に伴う耐久性確保のため、6速ミッションを構成するギアすべてに高強度の鋼材を採用し、さらに肉抜き加工を施すことで軽量化を追求している。

エキゾーストシステム

チタン製マフラー採用。
エキゾーストシステム。

操る楽しさをより高めるため、チタン製マフラーを採用することで軽量化を図り、慣性モーメントを低減。一層のマス集中化に貢献している。また、マフラー前側パイプ部の2重管構造により膨張室容積をより有効に使うとともに、サーボモーター駆動の可変排気バルブを2重管の内側パイプ内部に配置。エンジン回転数などに応じてバルブ開度をECUで制御することにより排圧を常に最適化し、低回転での力強いトルク特性と高回転の出力を両立。またこの構造により、最新の騒音法規に対応しながら直列4気筒ならではの高回転域の吹け上がりを演出する官能的なサウンドも獲得している。加えて、エキゾーストパイプ集合部に触媒を配置することでマスの集中化を図るとともに、環境性能も追求している。

マフラー内部構造図

ラジエーター

高効率と軽量化を両立したラジエーター。

高密度のコアの採用により、放熱量を維持しながら全幅をコンパクトに設定。防風機能と良好な操縦フィーリングを両立する前面投影面積減少にも寄与している。また、冷却水ホースやホースバンドなど、細部にわたる軽量化も徹底している。

Photo: CBR1000RR SP

スロットルバイワイヤシステム

操る楽しさのさらなる進化へ。
スロットルバイワイヤシステム。

「操る楽しさの進化」をめざし、MotoGPマシン「RC213V」でも採用しているスロットルバイワイヤシステムを採用。スロットル開度をスロットルグリップの操作に連動するアクセルポジションセンサー(APS)で検出、その信号によりECU がスロットルバイワイヤモーターに駆動信号を送ることでスロットルバルブを制御している。また、APS内のリターンスプリングとフリクション発生機構により、ケーブル式スロットルの自然な操作フィーリングを再現し、違和感のない緻密なスロットル操作を可能としている。また、スロットルバイワイヤの開度特性設定では、RC213V-Sの開発で得られたノウハウを投入。エンジン回転域や使用ギアに関わらずスロットルレスポンスが一様となるようセッティングを実施し、RC213V-S同様の高いスロットルフィールを獲得している。さらに、従来モデルに対して各制御を見直し、新たに改良を加えることでスロットル戻し時の回転落ち時間を短縮して応答性を向上。あらゆる時もライダーの意志とシンクロし、違和感のない緻密なスロットル操作を可能とした。

スロットルバイワイヤシステム制御イメージ図

パワーセレクター

エンジンの出力特性を5段階から選択。
パワーセレクター。

ライダーの好みや走行シチュエーションに応じて、スロットル操作に対する出力特性を5段階から任意に選択できるパワーセレクターを搭載。各段階ともトラクションが掛かり始める領域ではスロットル全閉から開け始めの扱いやすさをさらに向上させ、従来モデルよりもトルクフルな加速に寄与している。さらに加速する際は、6速すべてのギアでピーク出力まで引き出せるレベル1の設定を新たに改良し、よりサーキットでの走行に適したトルクフルな加速を獲得。コントロール性の高い出力特性がマシンとの一体感をより高める。また1~4速ギアの出力を制御し加速時の出力、反応を最も穏やかにすることでスロットルのコントロールフィールをスムーズにしたレベル5までを設定している。

パワーセレクター出力特性イメージ図

Honda セレクタブル トルク コントロール

RC213V-Sのシステムを採用した、
Honda セレクタブル トルク コントロールをさらに熟成。

ワインディングやコーナーの立ち上がりなどでのアグレッシブなライディングに貢献するHonda セレクタブル トルク コントロール。ライダーの好みに応じて9 段階のレベル切り替えとOFFを可能とし、介入度の一番低いレベル1から、段階に応じて介入度が大きくなり、後輪のスリップや前輪の浮き上がりを緩和。車輪速センサーからの前後輪回転速度比率より ECU が後輪スリップ率を算出、走行中のスリップ率増加によりエンジントルクの抑制が必要と判断した場合、スロットルバルブ開度をコントロールし後輪スリップを緩和する。

※Honda セレクタブル トルク コントロールはスリップをなくすためのシステムではありません。あくまでもライダーのアクセル操作を補助するシステムです。したがって、Honda セレクタブル トルク コントロールを装備していない車両と同様に、無理な運転までは対応できません。

後輪スリップの制御イメージ図

Honda セレクタブル トルク コントロールでの
ウイリーコントロール個別選択が新たに追加。

前後輪に配置した車輪速センサーが、前輪の浮き上がりによるフロントタイヤの減速とリアタイヤの加速を検知した場合、フロントタイヤが接地し加速状態になるまでECUがスロットルバルブ開度を下げ前輪の浮き上がりを緩和するウイリー制御。この制御に新しく3段階のレベルで個別に選択を可能にしたウイリーコントロールを追加。これにより従来モデルにできなかった、トルク、ウイリーコントロールという相反する設定ができるようになり、より意のままのコーナーでの立ち上がりを実現している。さらに、スリップ率の算出計算を見直すことで、旋回時のような車体姿勢が直進と異なる場合はより滑らかなライディングを実現し、意志に呼応する操りやすさを獲得している。

セレクタブルエンジンブレーキ

3段階のレベルが選択可能。
セレクタブルエンジンブレーキ。

ライダーが走行中にスロットルを全閉し減速する際のエンジンブレーキの強さを選択できるセレクタブルエンジンブレーキ機能を搭載。エンジンブレーキの強さは3つのレベルから選択可能で、ライダーの好みに合わせレベル1からレベル3の順にエンジンブレーキが弱くなるよう設定している。

走行モード

3モードのプリセットと2モードの
ユーザー設定が選択できる走行モード。

走行シチュエーションやライダーの好みに合わせ、走行フィーリングを任意に選択できる6種類の「走行モード」を設定。パワーセレクター(P)、Honda セレクタブル トルク コントロール(T)、ウイリーコントロール(W)、セレクタブルエンジンブレーキ(EB)の各制御レベルの組み合わせから「走行モード」を設定。CBR1000RR SPでは、さらにÖHLINS Smart EC(S)の制御レベルも設定可能としている。「走行モード」は、あらかじめ設定されている3モードとユーザーが組み合わせを設定できる2モード(以下 USER1、2)から選択可能。この「走行モード」は、走行中でも切り替えが可能で、さらに、USER1および USER2選択時には(T)と(S)のレベルも、走行中に切り替え可能とし、路面状況の変化などにフレキシブルに対応できるよう配慮している。

※詳細は、サスペンションの項目をご覧ください。また、ÖHLINS Smart ECはスウェーデンÖHLINS RACING ABの登録商標です。

走行モード一覧

クイックシフター

クラッチとスロットル操作無しで
シフトチェンジ可能なクイックシフター。
(CBR1000RR SPに標準装備、CBR1000RRはオプション)

シフトチェンジ時のクラッチとスロットル操作を不要としたクイックシフターを、CBR1000RR SPに搭載。シフトロッドに配置されたストロークセンサーが、シフトペダルの操作荷重を信号に変換。ECUが持っている車速、エンジン加減速状態、ギアポジションの情報と合わせることで、燃料噴射の停止タイミング、スロットルバルブ開度、点火時期を制御し、ミッションギアの駆動荷重を抜くことでシフトを実行。また自然なシフトフィールとすることで、違和感のない上質な操作感を実現している。また、シフトペダルにかかる踏力に応じた制御タイミングを、シフトアップ/ダウンとも3段階ずつ調整可能としている。

Photo: CBR1000RR SP クイックシフター


  • 一部の写真は撮影のため一部の部品を取り外しています。
  • 一部の写真は海外仕様車です。
  • 一部の写真はクローズドコースで撮影したものです。
  • 走行写真は、プロライダーによる走行を撮影したものです。一般公道で走行する場合は制限速度を守り、無理な運転をしないようにしましょう。