マシン差のないワンメイクレースのため、レースは常に接戦となる。もてぎでも最後まで接戦が繰り広げられることは確実だ

― イデミツ・アジア・タレント・カップをはじめとしたアジアから世界へつながるレース情報ページ ―

今年も日本グランプリでアジア・タレント・カップが併催される
決勝は土曜日と日曜日の2レースで争われる
もてぎでも白熱した戦いが展開されることは間違いない
さらにアジア・タレント・カップ出身の4人のグランプリライダーにも注目
今年の日本グランプリはアジア・タレント・カップに注目してみよう

マレーシアラウンド終了時点でランキングトップにつける埜口遥希。ここまでの7レースで1勝、2位1回、3位2回入賞

埜口遥希
マレーシアラウンド終了時点でランキングトップにつける埜口遥希。ここまでの7レースで1勝、2位1回、3位2回入賞

  • マレーシアラウンド終了時点でランキングトップにつける埜口遥希。ここまでの7レースで1勝、2位1回、3位2回入賞

    埜口遥希
    マレーシアラウンド終了時点でランキングトップにつける埜口遥希。ここまでの7レースで1勝、2位1回、3位2回入賞

  • 開幕2連勝を達成したものの、表彰台争いから遠ざかり、ここまで2勝、2位1回でランキング2位のデェニス・オンジュ

    デェニス・オンジュ
    開幕2連勝を達成したものの、表彰台争いから遠ざかり、ここまで2勝、2位1回でランキング2位のデェニス・オンジュ

  • ここまで2位2回、3位2回、全戦でポイントを獲得してランキング3位。もてぎでの勝利に期待がかかる山中琉聖

    山中琉聖
    ここまで2位2回、3位2回、全戦でポイントを獲得してランキング3位。もてぎでの勝利に期待がかかる山中琉聖

  • オンジュ兄弟の弟、カン・オンジュ。シーズン前半は苦戦していたが、マレーシアでダブルウイン、ランキング4位につける

    カン・オンジュ
    オンジュ兄弟の弟、カン・オンジュ。シーズン前半は苦戦していたが、マレーシアでダブルウイン、ランキング4位につける

  • ランキング5位につける参戦1年目のアズロイ・アヌア。2位表彰台を3回獲得、コンスタントに結果を残すが、まだ優勝経験はない。

    アズロイ・アヌア
    ランキング5位につける参戦1年目のアズロイ・アヌア。2位表彰台を3回獲得、コンスタントに結果を残すが、まだ優勝経験はない。

  • ここまで2勝を記録している國井勇輝だが、Moto3ジュニア世界選手権で負傷し、マレーシアを欠場したことからランキング6位

    國井勇輝
    ここまで2勝を記録している國井勇輝だが、Moto3ジュニア世界選手権で負傷し、マレーシアを欠場したことからランキング6位

※写真をクリックすると大きく表示されます。

ここまで7レースを終えているイデミツ・アジア・タレント・カップ(IATC)。次戦は世界グランプリ第15戦日本GP併催でツインリンクもてぎで開催される。

前戦のマレーシアラウンド終了時点でランキングトップにつけるのが参戦1年目の埜口遥希。埜口は鈴鹿で1勝を記録、全戦でコンスタントに上位に入賞し、111ポイントでチャンピオン争いをリードする。

埜口に9ポイント差のランキング2位に続くのが、参戦2年目のトルコ人ライダー、デェニス・オンジュ。双子の兄弟の兄であるデェニスは、開幕2連勝を飾ったものの、その後、しばらく表彰台から遠ざかっていた。しかし、マレーシアで2位表彰台を獲得。並行して参戦するMotoGPルーキーズカップでも2勝を記録している。

参戦3年目の山中琉聖はデェニスに4ポイント差のランキング3位。MotoGPルーキーズカップでも3位表彰台を2度獲得。ホームレースとなるもてぎは走り込んでおり、勝利が期待されている。

ランキング3位以下はポイント差が接近しており、ランキング4位のカン・オンジュは山中と1ポイント差。オンジュ兄弟の双子の弟、カンは、IATCではマレーシアでダブルウインを飾り、MotoGPルーキーズカップでも通算4勝をマークするなど、IATC2年目の今シーズン、速さを発揮してきたライダー。マレーシア人のアズロイ・アヌアがカンから4ポイント差のランキング5位に続く。アヌアは優勝こそないものの、2位表彰台を3回獲得している。

そして、2年目の國井勇輝はMoto3ジュニア世界選手権ポルトガルラウンドでトップ集団に加わりながら転倒負傷し、IATCのマレーシアラウンド2戦を欠場したため、ランキング6位にとどまる。國井は昨年のもてぎではポールを獲得、1勝をマークしており、今年も優勝争いの有力候補だ。

もてぎでは例年、接戦のトップ争いが展開されて来た。ストレートでのスリップストリームの使い合い、最終ラップのゴールライン直前まで続く、集団での僅差のトップ争いは、世界グランプリにも負けていない。

この中に未来のグランプリライダーがいることは間違いない。IATCもてぎラウンドは見逃せない戦いとなる。

日本グランプリではアジア・タレント・カップ出身Moto3ライダーの活躍にも注目!

 

2014年にスタートしたアジア・タレント・カップ(ATC)。世界に通用するライダーの育成を目指して始まったこのシリーズ出身の4人のライダーが、今年のMoto3クラスを戦っている。

初代チャンピオンの鳥羽海渡は、ホンダ・チームアジアから参戦。2戦目のアルゼンチンGPで10位に入賞し、初ポイントを獲得した。その後はなかなか入賞できないレースが続いたが、サマーブレイク後のオーストリアGPで激しい接戦を制して、15位に入賞。続くイギリスGPでは予選自己ベストとなる11番グリッドを獲得した。ところが、決勝朝のウオームアップで他車の転倒に巻き込まれ、その影響で決勝はリタイアに終わってしまった。鳥羽は全日本J‐GP3時代にはもてぎで優勝した経験を持つ。シーズン後半戦に入って調子は上向き。初めてのホームレースで上位入賞が期待される。

2代目チャンピオンの佐々木歩夢は、ルーキーながら開幕戦で11位に入賞。その後も、スペインGPで15位、イタリアGPで自己ベストとなる8位、オランダGPとチェコGPで15位と、サンマリノGPまでの13戦で5回入賞し、ルーキー勢ではトップのランキング21位につける。佐々木は地方選手権を戦った後、全日本には参戦していないが、ATCでは1年目、2年目共、もてぎで1勝を記録している。グランプリライダーとして初のホームレースでは上位をねらう。

4人の中でグランプリ2年目となるライダーが、マレーシア人のアダム・ノロディン。アジア・タレント・カップには2014年と2015年の2年間参戦。グランプリ初年度はランキング28位を獲得、2年目の今年はサンマリノGP終了時点でランキング19位につけている。

そして、タイ人ライダーのナカリン・アティラプワパもMoto3ルーキー。ホンダ・チームアジアに所属する。ADC、ATCと2つの育成シリーズを経て、今年からグランプリフル参戦。サンマリノGPまでの13戦で3回で入賞し、ランキング25位につける。タイの期待を背負ったライダー。
佐々木歩夢 2015年ATCチャンピオン。2016年MotoGPルーキーズカップでチャンピオンを獲得。Moto3ジュニア世界選手権でもランキング6位を獲得

佐々木歩夢
2015年ATCチャンピオン。2016年MotoGPルーキーズカップでチャンピオンを獲得。Moto3ジュニア世界選手権でもランキング6位を獲得

  • 佐々木歩夢 2015年ATCチャンピオン。2016年MotoGPルーキーズカップでチャンピオンを獲得。Moto3ジュニア世界選手権でもランキング6位を獲得

    佐々木歩夢
    2015年ATCチャンピオン。2016年MotoGPルーキーズカップでチャンピオンを獲得。Moto3ジュニア世界選手権でもランキング6位を獲得

  • ナカリン・アティラプワパ ADC(アジア・ドリームカップ)を経て、2015年にATCランキング4位を獲得。Moto3ジュニア世界選手権を経て、今年からグランプリに参戦

    ナカリン・アティラプワパ
    ADC(アジア・ドリームカップ)を経て、2015年にATCランキング4位を獲得。Moto3ジュニア世界選手権を経て、今年からグランプリに参戦

  • 鳥羽海渡 2014年ATC初代チャンピオン。2015年よりMoto3ジュニア世界選手権、MotoGPルーキーズカップに参戦。2016年にMoto3ジュニアで1勝を記録

    鳥羽海渡
    2014年ATC初代チャンピオン。2015年よりMoto3ジュニア世界選手権、MotoGPルーキーズカップに参戦。2016年にMoto3ジュニアで1勝を記録

  • アダム・ノロディン ATC出身ライダーとしては初のグランプリライダー。2015年ATCランキング8位、Moto3ジュニア世界選手権ランキング30位

    アダム・ノロディン
    ATC出身ライダーとしては初のグランプリライダー。2015年ATCランキング8位、Moto3ジュニア世界選手権ランキング30位

※写真をクリックすると大きく表示されます。

2018年IATCセレクション参加者決定 18カ国127名が一次審査通過

2018年シーズンに向けたイデミツ・アジア・タレント・カップ(IATC)のセレクションに向けた一次審査が終了した。

IATCのセレクションに参加できるのは、2018年度の場合、1997年1月1日から2005年12月31日までに生まれたライダー。セレクションへの参加申し込みは、IATCオフィシャルWEBからのオンラインエントリーで行なわれた。

一次審査は参加申し込み時の書類(データ)審査で行なわれ、レース経験は重要視されないとのことだが、二次審査のセレクションでは実技審査があるため、ある程度のバイクでの走行経験が要求される。このことから、ロードレースに限らず、ダートトラック、モトクロス、スクーター、ミニバイクなどでの走行経験、レーシングスクールへの参加経験などが考慮される。

2018年に向けたセレクションは2017年7月8日から8月13日に参加受け付けが行なわれ、アジア各地から500名を超える応募があった。その中から18カ国127名が一次審査を通過。9月6日に一次審査通過者リストが発表された。

国別ではインドネシアとマレーシアが最多となる30名で、東南アジアのレース熱の高さを表している。日本が26名で続き、オーストラリアが11名。2018年からの世界グランプリの開催が決まったばかりのタイは意外に少なく6名。中国が5名で続く。オンジュ兄弟の活躍の影響もあり、トルコからも2名が参加。中東のイラン、イスラエルからも1名ずつが一次審査を通過した。

年令別では最年少が11歳で3名、最年長が20歳で1名。最多は17歳の24名で、13歳から18歳までのライダーが中心となっている。年令に関しては、それぞれの国でのレース事情が影響しているものと思われる。

日本人ライダーは26名が一次審査を通過。最年少は11歳、最年長は18歳で、最多が14歳で8名。申し込み時のデータがすべて英語での記入で、ライダーリストはすべてローマ字表記となるため、全員分のライダー名の漢字表記は分からないものの、リストの名前を見ると、国内地方選手権のNSF250Rチャレンジに参戦しているライダーを中心に、JP250ライダー、年少ライダーはミニバイクレースに参戦しているライダーで構成されている。

実技の二次審査のセレクションは、マレーシアGPのウイーク直前の10月24日、25日にマレーシアのセパンサーキットのカートコースで開催される。実技はアンダーボーン車両を使って行なわれ、参加者を何グループか分けて走行を行ない、コースサイドでアルベルト・プーチ氏らIATCスタッフが、各ライダーの走行をチェックして、最終合格者が決定する。

グループ分けされて走行を行なうが、レース形式ではなく、フリー走行でライダーのライディングの資質や将来性が見極められる

グループ分けされて走行を行なうが、レース形式ではなく、フリー走行でライダーのライディングの資質や将来性が見極められる

テストはホンダのアンダーボーン車両で行なわれる。アンダーボーンレースの盛んな東南アジア勢が有利かと思いきや、結果はそうとも限らない

テストはホンダのアンダーボーン車両で行なわれる。アンダーボーンレースの盛んな東南アジア勢が有利かと思いきや、結果はそうとも限らない

国別参加者数
国名参加者数
インドネシア30名
マレーシア30名
日本26名
オーストラリア11名
タイ6名
中国5名
インド2名
ニュージーランド2名
フィリピン2名
カタール2名
スリランカ2名
トルコ2名
バングラデシュ1名
イラン1名
イスラエル1名
ネパール1名
シンガポール1名
ベトナム1名
年令別参加者数
年令参加者数
11歳3名
12歳10名
13歳22名
14歳22名
15歳21名
17歳24名
18歳18名
19歳6名
20歳1名
日本人参加者リスト
名前年令
Hikaru Arita15歳
Ryosuke Bando14歳
Yuichiro Fukuda18歳
Masaya Hongo13歳
Shoki Igarashi15歳
Anjyu Kasai18歳
Shota Kiuchi14歳
Takuma Matsuyama12歳
Shun Miyazaki14歳
Ito Motoharu18歳
Hayate Nakada14歳
Koshi Nakajima13歳
Eito Nakamura14歳
Sho Nishimura15歳
Shinji Ogo11歳
Kazuki Ohori17歳
Yuta Okaya18歳
Toshiki Senda14歳
Fugo Tanaka13歳
Keijiro Tanimoto14歳
Otojiro Tanimoto17歳
Tetsuya Tetsuya14歳
Naoki Yamada15歳
Syuu Yamato13歳
Nomura Yuito13歳
Hayato Ota13歳