鈴鹿に参戦した日本人ライダーたち。左から服部真騎士、ワイルドカードの中島元気、平間光司、山中琉聖、斉藤魁、埜口遥希、鈴木光来、國井勇輝、鈴木大空翔。ワイルドカードの中島を除く8名がレギュラー参戦する

― イデミツ・アジア・タレント・カップをはじめとしたアジアから世界へつながるレース情報ページ ―

日本人ライダーにとってはホームレースとなる鈴鹿を迎えた。今回はレギュラー参戦する8名の日本人ライダーたちがどういうきっかけでレースを始め、どんなレース経歴を持ち、 IATC参戦のチャンスをつかんだのかを聞いてみた。これからIATCを目指すライダーは参考にしてほしい

アジア、オセアニア地区にて、将来のMotoGPやSBKライダー育成を目的に、MotoGPシリーズを統括するドルナが2014年からスタートさせたアジア・タレント・カップ。今年から出光興産がメインスポンサーとなり「イデミツ・アジア・タレント・カップ(以下IATC)として年間5大会10レースが開催される。

マシンはホンダNSF250Rのワンメイク。タイヤもダンロップのワンメイクで、イコールコンディションでレースを行ない、ライダーのスキルアップを目指している。

IATCは毎年秋に翌年のライダーの選考を行なっており、そこで選ばれたアジア各国のライダーが参加しているが、日本からは最多となる8人が今年のシリーズにレギュラー参戦している。

鈴鹿で彼らのレースキャリアを聞いてみると、74ダイジローなどのポケットバイクでレースを始め、ミニバイクにステップアップ後は、NSF100でHRCトロフィーなどに参戦、ロードレースにステップアップすると、CBR250Rドリームカップ、NSF250Rチャレンジなどで地方選手権の経験を積んで来たというライダーが多かった。また、SRSモト(鈴鹿レーシングスクール)で技術を学んだライダーも見られ、共通するのは、いずれも幼いころからバイクに接し、現在15歳前後の彼らは、10年近いレース歴を持っているということだ。

IATCの選考は書類審査を経て、サーキットでのセレクションで決められるが、昨年は約2000通の書類応募があり、その中から200人がセレクションに参加して16人が選ばれている。書類審査で重視されるのはやる気だが、ある程度のレース経験は必要だ。セレクションは例年、マレーシアのセパンのカートコースで実施されており、実技試験はアンダーボーンマシンで行なわれる。

今年、世界グランプリMoto3クラスにフル参戦を果たした鳥羽海渡、そして佐々木歩夢は共にこのシリーズでチャンピオンを獲得して、Moto3ジュニア世界選手権、そしてMotoGPルーキーズカップを経て、Moto3へのフル参戦をつかんだ。

彼らに続けとばかりに、8人の日本人ライダーがIATCで腕を磨いている。アジアから世界に通じる最短の道がIATCなのだ。

鈴木大空翔

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鈴木大空翔 (すずき たくと)

鳥取県/14歳 (2002年9月14日生まれ)

全日本ロードレースへの参戦経験もある父の影響で4歳から74ダイジローでレースを始める。10歳からはNSF100でHRCトロフィーに参戦し、2015年のグランドチャンピオンシップではジュニアクラスで優勝している。2016年からはSRS-Motoに入校。岡山選手権に参戦し、J-GP3クラスでコースレコードを更新、チャンピオンも獲得した。今年はIATCのほか、鈴鹿や岡山への地方選手権への参戦も予定している。

  • 鈴木大空翔

    2

    鈴木大空翔 (すずきたくと)

    鳥取県/14歳 (2002年9月14日生まれ)

    全日本ロードレースへの参戦経験もある父の影響で4歳から74ダイジローでレースを始める。10歳からはNSF100でHRCトロフィーに参戦し、2015年のグランドチャンピオンシップではジュニアクラスで優勝している。2016年からはSRS-Motoに入校。岡山選手権に参戦し、J-GP3クラスでコースレコードを更新、チャンピオンも獲得した。今年はIATCのほか、鈴鹿や岡山への地方選手権への参戦も予定している。

  • 國井勇輝

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    國井勇輝 (くにいゆうき)

    東京都/14歳 (2003年2月18日生まれ)

    4歳の誕生日にポケバイをプレゼントされてからレースを始める。ポケバイ、ミニバイクを経験して9歳からSRS-Jに在籍し、12歳のときには筑波選手権でJ-GP3チャンピオンを獲得したほか、年末に行なわれるNSF250Rチャレンジグランドチャンピオンシップ大会でも優勝している。2016年からはIATCに参戦し2勝を挙げてランキング6位を獲得。2017年はIATCとCEVで行なわれるMoto3ジュニアワールドチャンピオンシップを戦う。

  • 平間光司

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    平間光司 (ひらまこうじ)

    埼玉県/16歳 (2000年12月1日生まれ)

    地方選手権に参戦していた父の影響で、4歳からポケバイに乗り始める。12歳になるとミニバイクへステップアップして秋ヶ瀬や桶川でミニバイクレースに参戦する。2016年、16歳のときにロードレースにステップアップして筑波、もてぎ、SUGOの地方選手権J-GP3クラスに参戦している。IATCは今年から参戦するが、目標とするライダーはMoto2を走るホルヘ・ナバロ選手で、彼のライディングスタイルが好きと話す。

  • 埜口遥希

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    埜口遥希 (のぐちはるき)

    奈良県/16歳 (2001年6月20日生まれ)

    小さいときからテレビでMotoGPを観てレーサーにあこがれるようになる。6歳のときにキッズバイクに乗り始め、11歳のときにNSR50、そして13歳のときにはRS125Rでロードレースにステップアップする。14歳からは中野真矢が率いる56レーシングに入り、CBR250RドリームカップとJ-GP3を戦う。昨年は引き続きドリームカップとNSF250Rチャレンジカップに出場すると共にIATCのセレクションを受け見事合格し、参戦権を得る。

  • 斉藤魁

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    斉藤魁 (さいとうかい)

    東京都/16歳 (2000年11月22日生まれ)

    父が桶川でミニバイクレースに出場していたため、同年代の子どもたちと8歳のときからキッズバイクに乗り始め、10歳のときにNSF100でHRCトロフィーにも参戦する。11歳のときにはSUGOのST150にCBR150で出場し、翌年からはCBR250Rに乗り換えてドリームカップ、そして、もて耐に親子で出場もしている。2015年にアジア選手権SACに参戦。2016年には再びCBR250Rドリームカップに参戦し、今年からIATCに参戦。

  • 山中琉聖

    12

    山中琉聖 (やまなかりゅうせい)

    千葉県/15歳 (2001年11月6日生まれ)

    4歳年上の兄がポケバイの練習に行くのに一緒についていき、2歳後半から乗り始め、3歳のときにはレースにも出ていたという。9歳からはミニバイクに乗るようになるが、このときは練習がメイン。12歳になるとCBR150でもてぎの地方選手権でロードレースにデビューする。13歳でJ-GP3に出場し、もてぎと鈴鹿でコースレコードも持っている。IATCには昨年より出場し、今年はIATCとレッドブルルーキーズカップにも出場する。

  • 服部真騎士

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    服部真騎士 (はっとりまきし)

    奈良県/17歳 (1999年12月10日生まれ)

    バイク好きの父の影響もあって、3歳で74ダイジローに乗り始め、12歳のときからはレースにも出場するようになる。スポーツランド生駒や近畿スポーツランドをホームコースとし、その後は関西のミニバイクレースにNSR50で参戦。14歳からはCBR250Rドリームカップなどに出場するようになり、全国各地のサーキットを転戦する。今年からIATCに出場するようになり、今年はIATCを活動のメインにしている。

  • 鈴木光来

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    鈴木光来 (すずきこうき)

    神奈川県/16歳 (2000年12月28日生まれ)

    両親がバイクに乗っていたこともあって9歳から74ダイジローに乗り始め、12歳からはNSF100でHRCトロフィーに参戦、グランドチャンピオンシップ大会にも出場している。14歳までミニバイクで腕を磨いたあと、RS125Rでロードレースデビューし、筑波やもてぎの地方選手権に出場。昨年はマシンをNSF250Rにスイッチし、昨年よりATCに参加する國井や山中、そして埜口と争い、もてぎではチャンピオンも獲得している。

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IATC第3戦 日本鈴鹿サーキット 2017年6月2日-4日

埜口と國井が優勝、レース2は日本勢が上位を独占

鈴鹿で行われた第3戦日本大会のレース1は8台がトップ集団を形成し、特に山中琉聖、埜口遥希、アズロイ・アヌア、國井勇輝らが積極的にトップを奪い合う。レース終盤、トップ争いは山中、埜口、國井、アヌアの4人にまで絞られたが、最終ラップの最終シケインでトップを走る山中のインに埜口が入りパス。埜口がトップでチェッカーを受けた。

レース2でも8台がトップ集団を形成し、カン・オンジュ、アヌア、國井らが積極的にトップに立つが、集団は崩れることはなく最終ラップに突入。最終シケインまでに5台に絞られたトップ集団は、オンジュ、山中、アヌアの順で最終シケインに突入し、山中がトップとなるが立ち上りでハイサイドを起こしてしまい転倒。直後にいたオンジュとアヌアが避けきれずに転倒。國井がトップでチェッカーを受けて優勝。2位に埜口、3位にワイルドカード参戦の中島元気が入賞。日本人ライダーが表彰台を独占した。
2レース共、接戦が繰り広げられた。レース1では5台が最終ラップまで接戦を展開。レース2は最終ラップにアクシデントが発生する波乱の展開となった

2レース共、接戦が繰り広げられた。レース1では5台が最終ラップまで接戦を展開。レース2は最終ラップにアクシデントが発生する波乱の展開となった

  • 2レース共、接戦が繰り広げられた。レース1では5台が最終ラップまで接戦を展開。レース2は最終ラップにアクシデントが発生する波乱の展開となった

    2レース共、接戦が繰り広げられた。レース1では5台が最終ラップまで接戦を展開。レース2は最終ラップにアクシデントが発生する波乱の展開となった

  • レース1では埜口遥希が優勝、2位にアズロイ・アヌア、3位に國井勇輝

    レース1では埜口遥希が優勝、2位にアズロイ・アヌア、3位に國井勇輝

  • レース2では國井が優勝、埜口が2位で続き、3位に中島元気が入賞した

    レース2では國井が優勝、埜口が2位で続き、3位に中島元気が入賞した

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第3戦 日本 レースリザルト