鳥羽海渡(右)と佐々木歩夢(左)。アジア・タレント・カップの一期生であり、その後もライバルとしてお互いを高め合ってきた。今年のMoto3クラスのルーキーの注目株だ

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ついにアジア・タレント・カップ出身のライダーが世界グランプリMoto3クラスにデビューを果たした。初代チャンピオンの鳥羽と2代目チャンピオンの佐々木の二人は開幕2戦でその実力を発揮、さらなる活躍が期待させる結果で注目のルーキーとしてシーズンをスタートした。

アジア・タレント・カップ出身のライダーが、ついに世界グランプリフル参戦デビューを果たした。2014年チャンピオンの鳥羽海渡、2015年チャンピオンの佐々木歩夢。福岡県出身で17歳になったばかりの鳥羽と、神奈川県出身で16歳の佐々木は、アジア・タレント・カップの一期生として活躍したライダーだ。

その後、二人はMoto3ジュニア世界選手権、MotoGPルーキーズカップで経験を積み、鳥羽は両シリーズで優勝を成し遂げ、佐々木は2016年にMotoGPルーキーズカップでタイトルを獲得し、今シーズンより世界グランプリのMoto3クラスのシートを得た。鳥羽はホンダ・チームアジアから、佐々木はSICレーシングチームから参戦しており、マシンはどちらもホンダのワークスマシン、NSF250RWを駆る。

佐々木は昨年のマレーシアGPで代役参戦でひと足先にグランプリデビューを飾っていたが、このときは決勝スタート直後にリタイアに終わっている。その佐々木が、開幕戦カタールではトップ集団に加わり、レース終盤は遅れたものの、フル参戦デビュー戦で11位に入賞した。

一方の鳥羽は、開幕戦カタールこそ19位完走にとどまったが、第2戦アルゼンチンでは初走行のコースにもかかわらず予選から善戦。決勝ではセカンドグループでの激しい競り合いを経て10位に入賞した。

現在の世界グランプリのMoto3クラスは常にレベルの高い接戦が繰り広げられ、ルーキーがシーズン序盤から入賞圏内でフィニッシュするのは簡単なことではない。そんな状況の中、彼ら2人は、マシン差のないワンメイクの接戦が繰り広げられるアジア・タレント・カップ時代から競り合いに強く、歴戦のグランプリライダーを相手にしても競り負けない強さを持っている。

アジア・タレント・カップ時代からライバル関係にある2人が、今年のルーキー・オブ・ザ・イヤーの有力候補となりそうだ。シーズンが進み、彼らがさらにグランプリライダーとしての経験を積めば、ステップアップしていくことは間違いないだろう。彼らの活躍は後に続く、イデミツ・アジア・タレント・カップのライダーたちの大きな目標となる。今年のMoto3クラスはこの二人に注目だ。

IATC第2戦 カタール ロサイル・インターナショナル・サーキット 2017年3月24日-26日

悪天候により1レースのみ開催。日本人ライダーが表彰台独占

優勝の國井(中央)、2位の山中(左)、3位の埜口(右)と、表彰台を日本人ライダーが独占。今年からIATCに参戦する埜口にとっては初表彰台となった

優勝の國井(中央)、2位の山中(左)、3位の埜口(右)と、表彰台を日本人ライダーが独占。今年からIATCに参戦する埜口にとっては初表彰台となった

イデミツ・アジア・タレント・カップ(IATC)第2戦がカタールのロサイル・インターナショナル・サーキットで開催された。第2戦はMotoGP開幕戦の併催レースとして行なわれたが、決勝レース1は雨によるコースコンディション不良のため、キャンセルとなった。

予選でポールポジションを獲得したのは國井勇輝。國井のポール獲得は、昨年の日本ラウンド以来、通算2回目。日曜日に行なわれた決勝レース2は路面コンディションが回復し、9人のライダーがトップ集団を形成。14周のレースの最終ラップまで接戦を繰り広げ、國井が最後のバトルに競り勝ち、今シーズン初優勝を達成。0.009秒差の2位に山中琉星、トップから0.096秒差の3位に埜口遥希が続き、日本人ライダーが表彰台を独占。國井は通算3勝目、山中は開幕から3レース連続の表彰台獲得、今年からIATCに参戦する埜口は初表彰台獲得となった。開幕戦でダブルウインを飾ったデェニス・オンジュは5位でゴールし、ランキングトップをキープ。

マシン差のないワンメイクゆえ、第2戦でも接戦のトップ争いが展開された。2年目の國井が競り勝って、今季初優勝を達成

マシン差のないワンメイクゆえ、第2戦でも接戦のトップ争いが展開された。2年目の國井が競り勝って、今季初優勝を達成

優勝の國井(中央)、2位の山中(左)、3位の埜口(右)と、表彰台を日本人ライダーが独占。今年からIATCに参戦する埜口にとっては初表彰台となった

優勝の國井(中央)、2位の山中(左)、3位の埜口(右)と、表彰台を日本人ライダーが独占。今年からIATCに参戦する埜口にとっては初表彰台となった

第2戦 カタール レースリザルト

アジア選手権でもホンダサポートライダーが活躍!

羽田がSS600初優勝

アジア選手権開幕戦マレーシアのSS600クラスで、羽田大河が初優勝を飾った。

山梨県出身、18歳の羽田は日本のミニバイクレースで活躍した後、2014年アジア選手権アンダーボーン130クラスに参戦しランキング2位を獲得。続く2015年にはSS600クラスにステップアップし、今シーズンでSS600クラス参戦3年目となるライダー。

開幕戦マレーシアでは予選3番手を獲得。レース1では昨年のSS600チャンピオン、ザクワン・ザイディ(ホンダ)が優勝を飾ったが、羽田もトップ争いに加わり、初表彰台となる2位入賞を獲得。レース2では羽田がホールショットでレースをリード、最終的に2位に5秒089の大差を付けてトップでチェッカーを受け、SS600クラス初優勝を飾った。

「今回は、落ち着いて周囲が見えていましたし、冷静に戦えました。勝てるマシンを用意してくれたチームに感謝したいです」と羽田。

2位に大差をつけてSS600クラス初優勝を飾った羽田。待望の初優勝にチームスタッフも歓喜に沸いた

2位に大差をつけてSS600クラス初優勝を飾った羽田。待望の初優勝にチームスタッフも歓喜に沸いた

アジア選手権でロードレースにデビューした羽田。アジアでもまれ、アジアから世界を目指す18歳の日本人ライダーだ

アジア選手権でロードレースにデビューした羽田。アジアでもまれ、アジアから世界を目指す18歳の日本人ライダーだ

サリムがCBR250RRデビューウイン!

アジア選手権AP250クラスに注目のニューモデル、CBR250RRがデビュー。マレーシアのジョホールサーキットで行なわれたアジア選手権開幕戦でインドネシア人ライダーのゲリー・サリムが、CBR250RRのデビューウインを成し遂げた。

サリムはIATCにも参戦しているライダー。CBR250Rで争われたADC(アジア・ドリーム・カップ)で頭角を現し、その後、全日本J-GP3クラスで経験を積むと、2015年にはアジア・タレント・カップに参戦。昨年はアジア・タレント・カップとアジア選手権のSS600にダブルエントリーし、SS600クラスではインドネシアラウンドで初優勝を達成している。

CBR250RRはインドネシアのアストラホンダで生産されており、アストラホンダのサポートライダーとして活躍して来たサリムにデビューが託された。サリムはその期待に見事にこたえ、レース1、レース2とダブルウインを達成した。

ニューモデルのCBR250RRでデビューウインを飾ったサリム。レース1では同じくCBR250RRを駆る山本剛大が2位に入賞

ニューモデルのCBR250RRでデビューウインを飾ったサリム。レース1では同じくCBR250RRを駆る山本剛大が2位に入賞

インドネシア出身、20歳のサリムはADC、IATCとホンダの育成プログラムで実力を付けてきたライダー

インドネシア出身、20歳のサリムはADC、IATCとホンダの育成プログラムで実力を付けてきたライダー