2016.12.03-04 アジアロードレース選手権 第6戦 アメリカタイ

ザイディが2レースともに入賞。逆転でチャンピオンに

2016年12月3日(土)、4日(日)・決勝  会場:チャーン・インターナショナル・サーキット
スーパースポーツ 600cc(レース1) レポート

12月3日(土)、4日(日)、アジアロードレース選手権(ARRC)の最終戦が、タイのチャーン・インターナショナル・サーキットで開催されました。同サーキットがオープンしたのは2014年のこと。コーナー数が12、大きな高低差はない全長4.554kmのコース。長いストレートが特徴で、激しいブレーキング競争が見ものです。

第5戦を終えた段階で、ランキングトップは150ポイントを獲得している小山知良(T.Pro Yuzy Honda NTS)。2位は143ポイントのザクゥアン・ザイディ(MuSASHi Boon Siew Honda Racing)。タイトル争いはこの2人の一騎打ちとみられていましたが、3位の高橋裕紀(MuSASHi Boon Siew Honda Racing)、4位のアズラン・シャー・カマルザマン(カワサキ)にもタイトルの可能性はあり、し烈な争いに注目が集まりました。また今大会には、全日本ロードレース選手権のJSB1000クラスを戦った山口辰也(AP Honda Racing Thailand)、スーパースポーツ世界選手権を戦った大久保光(T.Pro Yuzy Honda NTS With WOW)が代役参戦と、多くの日本人がグリッドに並びました。

小山知良小山知良

ザクゥアン・ザイディザクゥアン・ザイディ

予戦トップはチャランポン・ポラマイ(ヤマハ)。高橋は5番手で2列目、ザイディは7番手、小山は予選で転倒してしまうアクシデントがありましたが、8番手で3列目に並びました。大久保は15番手、山口は20番手となりました。

土曜日に行われたレース1でホールショットを奪ったのはポラマイ、2番手にデチャ・クライサルトと、ヤマハ勢が先行。高橋は3番手につけてオープニングラップを通過し、セカンド集団を引っ張りました。小山は8番手、ザイディは9番手につけます。そんな中、トップに迫ろうとする高橋がスリップダウン。トップの2台は変わらず、それをカマルザマン、ディマス・エッキー・プラタマ(Astra Honda Racing Team)らが追います。

ディマス・プラタマディマス・プラタマ

その後方では、10台にも膨れ上がった6番手争いの集団の中、小山とザイディが激しいバトルを繰り広げながら周回を重ねていました。そのザイディは小山をかわして8番手に浮上、背後に小山がピタリとつけます。終盤にかけ、ザイディ、伊藤勇樹(ヤマハ)、小山、アハマド・ユディスティラ(カワサキ)の4台が、激しいバトルを展開。小山は伊藤を捕らえてポジションを上げ、次はザイディの背後に迫ります。しかし、スパートをかけたユディスティラが小山をかわし、ザイディの後方へ。そんな白熱の戦いは、ザイディが7位、小山が8位となり決しました。

羽田太河羽田太河

大久保光大久保光

ウイナーはクライサルトとなり、Honda勢のトップは6位のプラタマ。ケガから復帰したラタポン・ウィライロー(A.P.Honda Racing Thailand)は11位、大久保が12位、山口が16位、オープニングラップで転倒した羽田太河(T.Pro Yuzy Honda NTS)は19位、高橋は20位となりました。

ラタポン・ウィライローラタポン・ウィライロー

スーパースポーツ 600cc(レース2) レポート

レース1が終わり、チャンピオン争いは小山が158ポイント、ザイディが152ポイントと、その差は6ポイントで日曜日のレース2を迎えました。スタートで飛び出したのはレース1と同様にヤマハ勢で、クライサルトとポラマイを大集団が追いかける展開に。ザイディは9番手、小山は10番手で周回を重ねました。やがて、トップの2台にカマルザマンが迫るかたちで3台が逃げ、その後方では、セカンド集団の4台にサード集団の5台が追いつき大集団となって、激しいバトルを繰り広げました。

ディマス・プラタマディマス・プラタマ

小山は、タイトル争いの最大のライバルであるザイディをマークしていましたが、9ラップ目の最終コーナーでマシントラブルが発生。リタイアとなってしまいました。優勝はレース1と同じくクライサルト。プラタマが5位、ザイディは最後まで走りきって6位、高橋は追い上げ、激しい3番手争いを繰り広げましたが、最終ラップにコースアウトし、8位でチェッカーを受けました。そのほかのHonda勢は、羽田が10位、ウィライローは13位、山口が15位、大久保が19位でした。

ザクゥアン・ザイディザクゥアン・ザイディ

ザクゥアン・ザイディザクゥアン・ザイディ

そしてタイトル争いでは、6位となったザイディが総合2位から逆転。14年以来となる、2度目のタイトルを獲得しました。

アジア・ドリーム・カップ レポート

アジア・ドリーム・カップ(ADC)は、中村大輝が第5戦インドでタイトルを決め、ランキング2位争いに注目が集まりました。ポールポジションを手にしたのはブロック・パーソン。中村は3番手となりフロントロー、渋田晨央は7番手で3列目からのスタートとなりました。

中村大輝(#2)、ヤッシン・ガブリエル・ソンマ(#9)、フェブリアンシャー(#5)中村大輝(#2)、ヤッシン・ガブリエル・ソンマ(#9)、フェブリアンシャー(#5)

レース1でまずトップに立ったのはハーフィズ・アズマン。そこからフェブリアンシャー、中村と、先頭が入れ替わっていきますが、上位陣でクラッシュが発生して隊列が崩れます。その後はフェブリアンシャーが首位に立ち集団を引っ張るかたちで、トップ争いは9台に。そこからもポジションが激しく入れ替わりながらレースが展開されていきました。最終ラップになると、トップを走っていた中村が逃げますが、フェブリアンシャーとヤッシン・ガブリエル・ソンマが追いかけ、攻防の末にガブリエル・ソンマが勝利。僅差で2位に中村、3位はフェブリアンシャーとなりました。なお、渋田はトラブルでリタイアとなりました。

中村大輝(左)中村大輝(左)

中村大輝(#2)、渋田晨央(#3)中村大輝(#2)、渋田晨央(#3)

レース2でホールショットを奪ったのはガブリエル・ソンマですが、こちらもレース1と同様に、ゾウシェン・ジュンジー、ココ・タダチなど、大きく膨らんだトップ集団が各コーナーで激しくポジションを入れ替える展開に。やがて、中村がトップに立つと、それをハリ・キシュナン・ラヤゴパランと渋田が追いかけます。その後もポジションが目まぐるしく変わる混戦のまま、最終ラップに突入。トップを走っていたキシュナン・ラヤゴパランがコースアウトすると、アズマンが変わって先頭に立ちますが、さらに中村が前に出て、優勝を果たしました。2位にアズマン、3位にガブリエル・ソンマ、渋田は7位となりました。

(左から)ハーフィズ・アズマン、中村大輝、ヤッシン・ガブリエル・ソンマ(左から)ハーフィズ・アズマン、中村大輝、ヤッシン・ガブリエル・ソンマ

今シーズンの結果は、チャンピオンが中村、2位はアズマン、3位はフェブリアンシャーが入りました。渋田はランキング12位でシーズンを終えました。

スーパースポーツ600cc コメント

ザクゥアン・ザイディ(スーパースポーツ600cc 7位/6位)
「レースを終えた直後は、自分がタイトルを獲得したのを知りませんでした。小山選手がリタイアしたという情報はピットボードで知らされていなかったので、レースに集中して、一つでも上の順位で終わることを考えていました。レースを終えてピットに戻り、表彰台に上がるようマーシャルに言われて驚きました。タイトルの獲得を祝うためのものだったからです。このチームでタイトルを獲得できてうれしいです」

小山知良(スーパースポーツ600cc 8位/DNF)
「タイトルを狙いにいったレースでした。ザクゥアン選手の後ろでゴールできればチャンピオンなので、堅実に走っていたのですが。これがレースですね。自分もチームもベストを尽くしましたから、やりきったという意味で、後悔はありません。今シーズンも多くのサポートをいただき感謝いたします。ありがとうございました」

高橋裕紀(スーパースポーツ600cc 20位/8位)
「チャンピオンに望みをつなぐには優勝しかなかったので、転倒しても仕方がないと思って挑みました。レース1は転倒してしまいましたが、ケガはなく、レース2も同じように挑戦者として走りました。あきらめずに前を追いかけ続けたので悔いはありません。チームがタイトルを獲得できてうれしく思っています。タイトルを獲得したザクゥアンを祝福します」

アジア・ドリーム・カップ コメント

中村大輝(アジア・ドリーム・カップ 2位/優勝)
「レース1、2ともに、最後の2周が勝負だと思って走りました。レース1では、最終ラップの最終コーナーでインを塞がれてしまい、どうすることもできず2位でフィニッシュ。レース2では、自信を持って冷静にブレーキをかけることができ、トップで2年間のADCでの戦いを終えられました。本当にありがとうございました」

渋田晨央(アジア・ドリーム・カップ DNF/7位)
「前半戦を欠場していたため初体験のコースとなり、ライバルから遅れてのスタートだったので、走行初日から確実に走りました。レース1では序盤に巻き込まれての転倒。そのときの影響でスロットルが戻らずに再び転倒してしまいました。レース2はトップに立つことができましたが、最後のポジション争いがうまくいかずにチェッカー。思うような結果を残すことはできませんでしたが、たくさんの経験ができました。この経験を今後に生かしていきたいです」

スーパースポーツ 600cc(レース1) リザルト
順位 No. ライダー マシン 周回数 タイム/差
124D.クライサルトヤマハ1830'00.113
265C.ポラマイヤマハ18+0.251
314A.ナクチャロエンスリヤマハ18+0.706
425A.シャー・カマルザマンカワサキ18+7.099
513A.ウエストヤマハ18+7.159
620ディマス・プラタマHonda18+7.354
 
721ザクゥアン・ザイディHonda18+10.460
871小山知良Honda18+10.537
1159ラタポン・ウィライローHonda18+20.005
1273大久保光Honda18+23.611
16104山口辰也Honda18+32.558
1977羽田太河Honda18+49.558
201高橋裕紀Honda18+49.739
2127アンディ・ファリド・イズディハルHonda18+50.894
DNF100ティティポン・ワロコーンHonda11+7Laps

スーパースポーツ 600cc(レース2) リザルト
順位 No. ライダー マシン 周回数 タイム/差
124D.クライサルトヤマハ1829'56.605
265チャランポン・ポラマイヤマハ18+0.948
313A.ウエストヤマハ18+2.960
425A.シャー・カマルザマンカワサキ18+4.444
520ディマス・プラタマHonda18+6.642
621ザクゥアン・ザイディHonda18+6.883
 
81高橋裕紀Honda18+7.470
1077羽田太河Honda18+15.805
1127アンディ・ファリド・イズディハルHonda18+16.004
1359ラタポン・ウィライローHonda18+18.117
15104山口辰也Honda18+27.442
17100ティティポン・ワロコーンHonda18+42.202
1973大久保光Honda17+1Lap
DNF71小山知良Honda9+9Laps

アジア・ドリーム・カップ(レース1)
順位 No. ライダー 国・地域 周回数 タイム/差
19ヤッシン・ガブリエル・ソンマインドネシア816'56.097
22中村大輝日本8+0.089
35フェブリアンシャーインドネシア8+0.111
46ウォラフォード・ニャンサクホンサクタイ8+0.341
512シチポン・スリムーントリタイ8+0.514
617ハリ・キシュナン・ラヤゴパランインド8+0.600
74ハリス・ファーハンマレーシア8+0.884
88ゾウシェン・ジュンジー中国8+1.107
918セシュー・ラジブインド8+13.675
1010ヤーデン・グナヴァデナスリランカ8+16.052
1114コーリー・ブリッファオーストラリア8+20.131
1213ココ・タダチフィリピン8+20.471
1316ユウ・ズージュン台湾8+44.991
141ハーフィズ・アズマンマレーシア8+1'21.548
DNF3渋田晨央日本4+4Laps
DNF15ブイ・デュイ・トンベトナム2+6Laps
DNF7ブロック・パーソンオーストラリア1+7Laps

アジア・ドリーム・カップ(レース2)
順位 No. ライダー 国・地域 周回数 タイム/差
12中村大輝日本816'55.007
21ハーフィズ・アズマンマレーシア8+0.182
39ヤッシン・ガブリエル・ソンマインドネシア8+0.250
45フェブリアンシャーインドネシア8+0.332
513ココ・タダチフィリピン8+0.344
66ウォラフォード・ニャンサクホンサクタイ8+0.374
73渋田晨央日本8+0.468
87ブロック・パーソンオーストラリア8+0.677
912シチポン・スリムーントリタイ8+1.020
108ゾウシェン・ジュンジー中国8+1.034
114ハリス・ファーハンマレーシア8+1.059
1215ブイ・デュイ・トンベトナム8+1.431
1318セシュー・ラジブインド8+1.526
1417ハリ・キシュナン・ラヤゴパランインド8+3.606
1514コーリー・ブリッファオーストラリア8+5.095
1610ヤーデン・グナヴァデナスリランカ8+8.123
1716ユウ・ズージュン台湾8+40.658
ライダー(スーパースポーツ 600cc)
順位 No. ライダー マシン 総合ポイント
121ザクゥアン・ザイディHonda162
271小山知良Honda158
325A.シャー・カマルザマンカワサキ142
41高橋裕紀Honda136
524D.クライサルトヤマハ135
- 613A.ウエストヤマハ126
 
720ディマス・プラタマHonda120
931ゲリー・サリムHonda98
-1077羽田太河Honda74
1459ラタポン・ウィライローHonda48
15100ティティポン・ワロコーンHonda43
1791ジャクリット・サワンサワットHonda26
2034岩田悟Honda13
-2246日浦大治朗Honda8
2527アンディ・ファリド・イズディハルHonda5
26104山口辰也Honda4
3016イルファン・アルディアンシャーHonda1
3169シャンカール・サラト・クマールHonda1

ライダー(アジア・ドリーム・カップ)
順位 No. ライダー 国・地域 総合ポイント
-12中村大輝日本228
-21ハーフィズ・アズマンマレーシア144
-35フェブリアンシャーインドネシア143
47ブロック・パーソンオーストラリア122
-513ココ・タダチフィリピン121.5
69ヤッシン・ガブリエル・ソンマインドネシア121
78ゾウシェン・ジュンジー中国115
812シチポン・スリムーントリタイ99
96ウォラフォード・ニャンサクホンサクタイ94
104ハリス・ファーハンマレーシア85
-1117ハリ・キシュナン・ラヤゴパランインド75
-123渋田晨央日本48
1315ブイ・デュイ・トンベトナム42.5
1411アザール・ヌールシンガポール38.5
-1510ヤーデン・グナヴァデナスリランカ37
-1618セシュー・ラジブインド36
-1714コーリー・ブリッファオーストラリア27
-18113片山千彩都日本15.5
1916ユウ・ズージュン台湾6
2021S.マザナクマールインド4

ザクゥアン・ザイディ

高橋裕紀(#1)、ザクゥアン・ザイディ(#21)

ザクゥアン・ザイディ

ザクゥアン・ザイディ

ザクゥアン・ザイディ

ディマス・プラタマ

ディマス・プラタマ

ラタポン・ウィライロー

ラタポン・ウィライロー

高橋裕紀

小山知良

羽田太河

大久保光

アンディ・ファリド・イズディハル

山口辰也

ティティポン・ワロコーン

中村大輝

中村大輝(#2)、ヤッシン・ガブリエル・ソンマ(#9)、フェブリアンシャー(#5)

中村大輝(左)

中村大輝(#2)、渋田晨央(#3)

(左から)ハーフィズ・アズマン、中村大輝、ヤッシン・ガブリエル・ソンマ

中村大輝(#2)、ヤッシン・ガブリエル・ソンマ(#9)、フェブリアンシャー(#5)

ヤッシン・ガブリエル・ソンマ

ヤッシン・ガブリエル・ソンマ

(左から)中村大輝、ヤッシン・ガブリエル・ソンマ、フェブリアンシャー

フェブリアンシャー

フェブリアンシャー(先頭)

ユウ・ズージュン(#16)、ウォラフォード・ニャンサクホンサク(#6)、ハリ・キシュナン・ラヤゴパラン(#17)

ゾウシェン・ジュンジー(#8)、フェブリアンシャー(#5)

ブロック・パーソン