アジアロードレース選手権(ARRC)第4戦がインドネシアのセントゥール・インターナショナル・サーキットで開催されました。鈴鹿8時間耐久ロードレース(鈴鹿8耐)に参戦したライダーたちにとっては、2週連続のハードなレースを戦うことになりました。また、6月に開催された全日本ロードレース選手権のSUGO大会で、左足かかとの粉砕骨折など、全治3カ月のケガを負った高橋裕紀(MuSASHi Boon Siew Honda Racing)は欠場。岩田悟が代役で参戦しました。ラタポン・ウィライロー(A.P.Honda Racing Thailand)も、鈴鹿8耐でのケガで欠場となりました。
ゲリー・サリム(先頭)
ディマス・プラタマ(#20)
セントゥール・インターナショナル・サーキットは、コースの改修跡がギャップとなり、バンピーで攻略が難しいコースとして知られています。連日、路面温度が60℃を超える酷暑となり、厳しいコンディションでのレースとなりました。ポールポジション(PP)はゲリー・サリム(Astra Honda Racing Team)が獲得。2番手にディマス・エッキー・プラタマ(Astra Honda Racing Team)、3番手にザクワン・ザイディ(MuSASHi Boon Siew Honda Racing)と、Honda勢がフロントローを独占しました。また、5番手は小山知良(T.Pro Yuzy Honda NTS)。9番手は岩田となりました。
レース1は、サリムがホールショットを奪いますが、アハマド・ユディスティラ(カワサキ)が激しくプッシュして首位に立ちます。それをプラタマ、小山らが追いかけ、トップ集団は8台に。そこからユディスティラ、プラタマ、サリム、小山が抜け出して激しいトップ争いを繰り広げると、その集団にザイディが追いつき、5台による争いに発展しました。
ザクゥアン・ザイディ(#21)、ディマス・プラタマ(#20)、ゲリー・サリム(#31)
レース終盤には、リードするユディスティラが転倒してプラタマが先頭に。サリム、ザイディ、小山が続きました。最終ラップの攻防となりザイディが前に出ますが、小山も動き、そこにプラタマとサリムが仕掛ける激しいトップ争いが展開、そうして真っ先にチェッカーを受けたのはサリムでした。続いて0.094秒差でプラタマ、0.323秒差でザイディ、0.843秒差で小山となりました。羽田太河(T.Pro Yuzy Honda NTS)は7位に入るシングルフィニッシュ。岩田は9位争いを制しました。
(左から)ディマス・プラタマ、ゲリー・サリム、ザクゥアン・ザイディ
ゲリー・サリム(#31)
レース2で飛び出したのもサリム。それをユディスティラ、プラタマ、小山、ザイディが追う展開となりました。サリムは後続を引き離そうとプッシュしますが、ユディスティラ、プラタマ、小山が追いつき、ザイディが遅れることに。トップ集団の4台が接近戦を続けながらレースが進みました。その争いは最終ラップに激しさを増します。サリムが逃げ、トップに追いついたザイディが勝負に出ました。熱戦の中、真っ先にチェッカーを受けたのはサリムでダブルウインを達成。2位にザイディが入り、3位はプラタマとなりました。小山は4位、羽田は6位、岩田は10位でした。
ゲリー・サリム(先頭)
(左から)ディマス・プラタマ、ゲリー・サリム、ザクゥアン・ザイディ
アジア・ドリーム・カップ(ADC)は、中村大輝がポールポジションを獲得。レース1では中村がホールショットを奪いますが、マフド・フェブリアンシャーがすぐに前に出ます。中盤にはハリス・ファーハンがトップに立ち、フェブリアンシャー、ゾウシェン・ジュンジー、ハーフィズ・アズマン、ヤッシン・ガブリエル・ソンマ、中村がトップ争いを展開します。転倒車が多く、多重クラッシュが起こる波乱の中、シーズントップ争いは11台にも膨れ上がる団子状態となり、レースが進みました。その攻防を制したのはフェブリアンシャーで、シーズン2勝目を挙げました。中村は4位、渋田晨央は9位でした。
(先頭から)中村大輝、ハーフィズ・アズマン、ハリス・ファーハン
(左から)ゾウシェン・ジュンジー、マフド・フェブリアンシャー、ハーフィズ・アズマン
2レース目は、中村が積極的に前に出ます。ジュンジーとのトップ争いを繰り広げ、そこへ割って入ろうと、ココ・タダチら数台が続き、11台によるトップ争いとなりました。最終的に大混戦のレースを制したのは中村。2位にジュンジー、3位にタダチが入りました。渋田は12位でチェッカーを受けました。
ゾウシェン・ジュンジー(#8)、マフド・フェブリアンシャー(#5)、ブロック・パーソン(#7)
(左から)ゾウシェン・ジュンジー、中村大輝、ココ・タダチ
ゲリー・サリム(スーパースポーツ600cc 優勝/優勝)
「ダブルウインができてうれしいです。ここは僕のホームコースで、国内では何度も勝っています。コースを知っていることを武器に、勝つことができました」
岩田悟(スーパースポーツ600cc 9位/10位)
「今年は鈴鹿8耐を最重要レースと思ってトレーニングを重ねていたので、代役の話をいただいいた際でも戸惑いはありませんでした。選んでいただけて光栄です。チャンピオンチームで走れる機会でもありました。しっかりと結果を残したかったですが、ここは難しいサーキットで、最後までタイヤの選択に悩み、思うような走りができずに終わってしまいました。トップ争いができず、悔しいです」
高橋裕紀
「装具なしでは、かかとを地面につけることが難しく、今の段階ではマシンに乗れる状況ではなありません。代役参戦はチームにとって最善の判断です。岩田選手とはポケバイ時代から仲良くさせてもらっていますし、アジアロードレース選手権への参戦経験もあり、信頼しています。代役参戦を引き受けてくれたことに感謝しています。僕自身はケガをしっかり治して、次戦に備えます」
中村大輝(アジア・ドリーム・カップ 4位/優勝)
「バンピーな路面のインドネシアを走るのは2度目。昨年の感触を思い出し、確認しながら走行を開始しました。しかし、予選で転倒してしまい、さらに決勝日の朝の走行でも転倒してしまいました。レースウイークで2度も転倒したのは初めての経験で、レース1はプッシュしきれませんでした。最終ラップで攻めきれず4位。ですが、レース2では気持ちを切り替えて勝つことができました。残り2戦となり、チャンピオンとなるためにも、気を引き締めていきたいです」
渋田晨央(アジア・ドリーム・カップ 9位/12位)
「インドネシアは初めてのコースで、ギャップの多さに戸惑いながら走行が始まり、どう攻略するかを考えながらレースウイークを過ごしました。決勝ではトップグループに入れたのに、なにもできずに終わってしまいました。スキルアップのため、全日本ロードレース選手権のJP250クラスに参戦します。そこでしっかり走り、アジアロードレース選手権の次戦に備えます」
順位 | No. | ライダー | マシン | 周回数 | タイム |
---|---|---|---|---|---|
1 | 31 | ゲリー・サリム | Honda | 16 | 24'27.838 |
2 | 20 | ディマス・プラタマ | Honda | 16 | 24'27.932 |
3 | 21 | ザクゥアン・ザイディ | Honda | 16 | 24'28.161 |
4 | 71 | 小山知良 | Honda | 16 | 24'28.681 |
5 | 24 | D.クライサルト | ヤマハ | 16 | 24'39.876 |
6 | 100 | ティティポン・ワロコーン | Honda | 16 | 24'40.101 |
7 | 77 | 羽田太河 | Honda | 16 | 24'40.426 |
8 | 91 | ジャクリット・サワンサワット | Honda | 16 | 24'42.398 |
9 | 34 | 岩田悟 | Honda | 16 | 24'42.455 |
15 | 69 | シャンカール・サラト・クマール | Honda | 16 | 25'59.146 |
スーパースポーツ 600cc(レース2) リザルト
順位 | No. | ライダー | マシン | 周回数 | タイム |
---|---|---|---|---|---|
1 | 31 | ゲリー・サリム | Honda | 16 | 24'17.743 |
2 | 21 | ザクゥアン・ザイディ | Honda | 16 | 24'19.395 |
3 | 20 | ディマス・プラタマ | Honda | 16 | 24'19.593 |
4 | 71 | 小山知良 | Honda | 16 | 24'19.704 |
5 | 33 | A.ユディスティラ | カワサキ | 16 | 24'19.990 |
6 | 77 | 羽田太河 | Honda | 16 | 24'28.968 |
9 | 91 | ジャクリット・サワンサワット | Honda | 16 | 24'31.096 |
10 | 34 | 岩田悟 | Honda | 16 | 24'33.415 |
17 | 69 | シャンカール・サラト・クマール | Honda | 16 | 25'48.046 |
DNF | 100 | ティティポン・ワロコーン | Honda | 5 | 7'42.574 |
アジア・ドリーム・カップ(レース1)
順位 | No. | ライダー | 国・地域 | 周回数 | タイム |
---|---|---|---|---|---|
1 | 5 | マフド・フェブリアンシャー | インドネシア | 10 | 19'00.791 |
2 | 8 | ゾウシェン・ジュンジー | 中国 | 10 | 19'00.812 |
3 | 1 | ハーフィズ・アズマン | マレーシア | 10 | 19'00.860 |
4 | 2 | 中村大輝 | 日本 | 10 | 19'00.944 |
5 | 9 | ヤッシン・ガブリエル・ソンマ | インドネシア | 10 | 19'00.985 |
6 | 13 | ココ・タダチ | フィリピン | 10 | 19'01.018 |
7 | 4 | ハリス・ファーハン | マレーシア | 10 | 19'01.373 |
8 | 7 | ブロック・パーソン | オーストラリア | 10 | 19'01.550 |
9 | 3 | 渋田晨央 | 日本 | 10 | 19'02.009 |
10 | 6 | ウォラフォード・ニャンサクホンサク | タイ | 10 | 19'02.154 |
11 | 12 | シチポン・スリムーントリ | タイ | 10 | 19'02.188 |
12 | 10 | ヤーデン・グナヴァデナ | スリランカ | 10 | 19'14.678 |
13 | 14 | コーリー・ブリッファ | オーストラリア | 10 | 19'41.564 |
14 | 16 | ユウ・ズージュン | 台湾 | 10 | 19'46.964 |
DNF | 18 | セシュー・ラジブ | インド | 6 | 11'33.289 |
DNF | 15 | ブイ・デュイ・トン | ベトナム | 6 | 11'33.296 |
DNF | 11 | アザール・ヌール | シンガポール | 2 | 3'51.633 |
DNF | 17 | ハリ・キシュナン・ラヤゴパラン | インド | 1 | 1'56.138 |
アジア・ドリーム・カップ(レース2)
順位 | No. | ライダー | 国・地域 | 周回数 | タイム |
---|---|---|---|---|---|
1 | 2 | 中村大輝 | 日本 | 10 | 19'21.083 |
2 | 8 | ゾウシェン・ジュンジー | 中国 | 10 | 19'21.094 |
3 | 13 | ココ・タダチ | フィリピン | 10 | 19'21.375 |
4 | 1 | ハーフィズ・アズマン | マレーシア | 10 | 19'21.381 |
5 | 9 | ヤッシン・ガブリエル・ソンマ | インドネシア | 10 | 19'21.576 |
6 | 4 | ハリス・ファーハン | マレーシア | 10 | 19'21.599 |
7 | 7 | ブロック・パーソン | オーストラリア | 10 | 19'21.882 |
8 | 5 | マフド・フェブリアンシャー | インドネシア | 10 | 19'21.941 |
9 | 12 | シチポン・スリムーントリ | タイ | 10 | 19'22.269 |
10 | 17 | ハリ・キシュナン・ラヤゴパラン | インド | 10 | 19'22.949 |
11 | 6 | ウォラフォード・ニャンサクホンサク | タイ | 10 | 19'22.969 |
12 | 3 | 渋田晨央 | 日本 | 10 | 19'26.049 |
13 | 10 | ヤーデン・グナヴァデナ | スリランカ | 10 | 19'26.083 |
14 | 11 | アザール・ヌール | シンガポール | 10 | 19'43.405 |
15 | 14 | コーリー・ブリッファ | オーストラリア | 10 | 19'52.480 |
16 | 18 | セシュー・ラジブ | インド | 10 | 19'52.603 |
17 | 16 | ユウ・ズージュン | 台湾 | 10 | 20'09.621 |
DNS | 15 | ブイ・デュイ・トン | ベトナム | - | - |
順位 | No. | ライダー | マシン | 総合ポイント | |
---|---|---|---|---|---|
▲ | 1 | 21 | ザクゥアン・ザイディ | Honda | 131 |
▼ | 2 | 71 | 小山知良 | Honda | 131 |
▼ | 3 | 1 | 高橋裕紀 | Honda | 104 |
▲ | 4 | 20 | ディマス・プラタマ | Honda | 99 |
▲ | 5 | 31 | ゲリー・サリム | Honda | 94 |
▲ | 6 | 25 | A.シャー・カマルザマン | カワサキ | 89 |
▲ | 7 | 77 | 羽田太河 | Honda | 62 |
▼ | 11 | 59 | ラタポン・ウィライロー | Honda | 39 |
▲ | 13 | 100 | ティティポン・ワロコーン | Honda | 34 |
▲ | 15 | 91 | ジャクリット・サワンサワット | Honda | 26 |
- | 17 | 34 | 岩田悟 | Honda | 13 |
▼ | 26 | 69 | シャンカール・サラト・クマール | Honda | 1 |
ライダー(アジア・ドリーム・カップ)
順位 | No. | ライダー | 国・地域 | 総合ポイント | |
---|---|---|---|---|---|
- | 1 | 2 | 中村大輝 | 日本 | 158 |
▲ | 2 | 1 | ハーフィズ・アズマン | マレーシア | 95 |
▲ | 3 | 5 | マフド・フェブリアンシャー | インドネシア | 89 |
▼ | 4 | 7 | ブロック・パーソン | オーストラリア | 89 |
▲ | 5 | 8 | ゾウシェン・ジュンジー | 中国 | 86 |
▼ | 6 | 13 | ココ・タダチ | フィリピン | 82.5 |
▼ | 7 | 6 | ウォラフォード・ニャンサクホンサク | タイ | 61 |
▲ | 8 | 9 | ヤッシン・ガブリエル・ソンマ | インドネシア | 56 |
▲ | 9 | 4 | ハリス・ファーハン | マレーシア | 53 |
▼ | 10 | 12 | シチポン・スリムーントリ | タイ | 51 |
▼ | 11 | 17 | ハリ・キシュナン・ラヤゴパラン | インド | 49 |
▼ | 12 | 11 | アザール・ヌール | シンガポール | 38.5 |
- | 13 | 15 | ブイ・デュイ・トン | ベトナム | 29.5 |
▲ | 14 | 10 | ヤーデン・グナヴァデナ | スリランカ | 27 |
▲ | 15 | 3 | 渋田晨央 | 日本 | 21 |
▼ | 16 | 18 | セシュー・ラジブ | インド | 20 |
- | 17 | 14 | コーリー・ブリッファ | オーストラリア | 19 |
▼ | 18 | 113 | 片山千彩都 | 日本 | 15.5 |
- | 19 | 16 | ユウ・ズージュン | 台湾 | 3 |