2016.05.07-08 アジアロードレース選手権 第2戦 タイタイ

レース1でHonda勢が表彰台を独占し、小山が優勝。レース2ではザイディが優勝を果たす

2016年5月7日(土)、8日(日)・決勝  会場:チャーン・インターナショナル・サーキット

アジアロードレース選手権(ARRC)第2戦がタイのチャーン・インターナショナル・サーキットで開催されました。期間中は気温が40℃まで上がり、連日酷暑での戦いとなりました。その気候の影響で路面温度が上昇したことと、今年からスリックタイヤに変わったことで、各車ともベストなセッティングを見つけ出すべく、入念な走行が繰り返されました。

4月7日(土)には、予選とレース1が行われました。予選、ポールポジション(PP)はザクワン・ザイディ(MuSASHi Boon Siew Honda Racing)が獲得し、2戦連続PPとなりました。2番手にラタポン・ウィライロー(A.P.Honda Racing Thailand)、3番手には小山知良(T.Pro Yuzy Honda NTS)と続き、フロントローに並びました。4番手にも高橋裕紀(MuSASHi Boon Siew Honda Racing)が入り、Honda勢が上位を占めました。

小山知良(#71)、ザクゥアン・ザイディ(#21)小山知良(#71)、ザクゥアン・ザイディ(#21)

小山知良小山知良

レース1は、好スタートで飛び出した小山がレースをリード、それをザイディ、高橋、デチャ・クライサルト(ヤマハ)、アハマド・ユディスティラ(カワサキ)が追いかける展開となりました。トップに立つ小山が、順調にラップを刻みながら後続を引き離しはじめます。2番手争いはクライサルトとザイディが激しい戦いをみせました。その後方から、ユディスティラ、高橋が追い上げてきて、し烈な上位争いに。結果は、小山が最後まで逃げきり、うれしい初優勝を飾りました。2位にはザイディが入り、最終ラップでクライサルトが転倒したことで、高橋が3位となりました。そのほか、Honda勢ではゲリー・サリム(Astra Honda Racing Team)が6位、ディマス・エッキー・プラタマ(Astra Honda Racing Team)が7位、羽田太河(T.Pro Yuzy Honda NTS)が9位と、4名がシングルフィニッシュを果たしました。

ザクゥアン・ザイディ(左)、小山知良(中央)、高橋裕紀(右)ザクゥアン・ザイディ(左)、小山知良(中央)、高橋裕紀(右)

翌日に行われたレース2では、ザイディがスタートダッシュを決め、それを小山、ウィライロー、ユディスティラが追いかけるかたちとなりました。高橋もトップ争いに加わっていたのですが、途中、混戦に巻き込まれてしまい、ほかの選手と接触。転倒こそはありませんでしたが、ポジションを大きく落とし、13番手付近からの追い上げを強いられます。レースはアズラン・シャー・カマルザマン(カワサキ)が追い上げ、トップに。しかし、ザイディがすぐに順位を奪い返してレースを引っ張ります。その戦いをアンソニー・ウェスト(ヤマハ)、ユディスティラ、クライサルト、小山らが僅差で追いかけます。途中、トップ争いに加わっていた小山が、痛恨のコースアウト。すぐにコースへ復帰し、追い上げて来た高橋とともに激しい3番手争いに加わります。トップ争いは集団から抜け出したザイディとカマルザマンの2台に絞られ、ポジションを入れ替えながら最終ラップまで激しい攻防を繰り広げました。最後はザイディがカマルザマンを抑えて、うれしい優勝を飾りました。激しい3番手争いを制したのは高橋、小山は4位に入りました。サリムは6位、プラタマは7位、羽田は8位でレース2を終えました。

ザクゥアン・ザイディ(#21)ザクゥアン・ザイディ(#21)

高橋裕紀(#1)高橋裕紀(#1)

アジア・ドリーム・カップ(ADC)では、予選でハーフィズ・アズマンがPPを獲得。2番手には中村大輝、3番手にハリス・ファーハンが続きました。レース1は、マフド・フェブリアンシャーがスタートダッシュをみせますが、2ラップ目に中村がトップを奪います。トップ争いは大集団となり、各コーナーでポジションが入れ替わります。ウォラフォード・ニャンサクホンサク、中村、フェブリアンシャーがレースをリードしようとしますが、逃げ切ることができずに大集団のまま最終ラップに突入。最終コーナーで4台が転倒する波乱をみせつつ、トップ集団は並んでゴールラインに飛び込みました。優勝はフェブリアンシャー、2位に中村、3位にハーフィズとなりました。

アジア・ドリーム・カップアジア・ドリーム・カップ

2レース目も同様に、大混戦のレースとなりました。そんな中、中村が冷静にレースをコントロールし、今季3勝目のチェッカーを受けました。2位はハリ・キシュナン・ラヤゴパラン、3位がブロック・パーソンとなり、表彰台登壇を果たしました。

今大会も参戦を予定した渋田晨央は、前戦の転倒の影響で参戦を取りやめ、第3戦に備えることになりました。

マフド・フェブリアンシャー(#5)、中村大輝(#2)、ハーフィズ・アズマン(#1)マフド・フェブリアンシャー(#5)、中村大輝(#2)、ハーフィズ・アズマン(#1)

中村大輝中村大輝

小山知良(スーパースポーツ600cc 優勝/4位)
「今回からテレメトリーをしっかりと分析してくれるスタッフが現地に来てくれて、セッティングを助けてくれました。そのことが、優勝できた大きな要因だったと思います。アジアを戦い初めて4年目にして、ようやく勝つことができました。タイトル争いを考えると、シーズンの早い段階で勝ちたいと思っていましたので、2戦目で勝つことができてよかったと思います。ダブルウインを狙っていましたが、ブレーキのコンディションがよくなくて苦戦しましたが、終盤にかけてタイムアップすることができましたし、感触としては悪くありません。今後も一つひとつを、しっかり積み上げていいレースがしたいと思っています。気を緩めることなく、今後もしっかりと取り組んでいきます」

ザクワン・ザイディ(スーパースポーツ600cc 2位/優勝)
「マシンが仕上がっていて、勝負できると思っていました。序盤は逃げたいと思いプッシュしていたのですが、それは難しいと判断し、アプローチを変えました。最終ラップにアズラン(シャー・カマルザマン)が仕掛けてくることは予想していたので、彼の動きをしっかりと把握して、ベストなタイミングで彼を抑え勝つことができました」

高橋裕紀(スーパースポーツ600cc 3位/3位)
「開幕戦からスリックタイヤに合わせたマシンのセッティングがうまくいかず、レース1でなんとか3位になれたというレース内容でした。1レース目を踏まえて、2レース目に大きくセッティングを変更して、朝のウォームアップランでは感触がよくなり、さらに決勝に向けて改善しました。その成果が出て1ラップ目は3番手で通過したのですが、混戦の中で接触があり、大きく後退してしまいました。そこから、がむしゃらに追い上げました。レース後にデータを見たらトップ争いの2人と変わらないタイムで周回できていたので、アクシデントがあったことが悔やまれます。ですが、今年から一緒に戦うことになったメカニックとのコミュニケーションがうまくいき、いいセッティングができたことが収穫です。次の鈴鹿では、さらに力を合わせていいレースがしたいと思います」

中村大輝(アジア・ドリーム・カップ 2位/優勝)
「1レース目に勝てなかったことは悔しいのですが、転倒が多い展開だったので、無事に走り切りポイントを獲得できたのでよかったと思います。ここは抜きどころが少ないコースなので、トップ争いの台数が多くなると、前に出るのが難しくなります。2レース目ではトップ争いの台数を減らしたい、集団を小さくしたいと思いました。序盤に引っ張り、1レース目よりは、走りやすい状況を作ることができて、勝つことができました。次の鈴鹿では、ダブルウインできるようにがんばりたいと思います」

スーパースポーツ 600cc(レース1) リザルト
順位 No. ライダー マシン 周回数 タイム/差
171小山知良Honda1830'08.402
221ザクゥアン・ザイディHonda18 +0.465
31高橋裕紀Honda18 +2.083
433A.ユディスティラカワサキ18 +2.257
513A.ウエストヤマハ18+10.043
631ゲリー・サリムHonda18 +9.949
 
720ディマス・プラタマHonda18 +9.842
977羽田太河Honda18+16.908
10100ティティポン・ワロコーンHonda18+19.353
DNF59ラタポン・ウィライローHonda17+1Lap
DNF91ジャクリット・サワンサワットHonda12+6Laps

スーパースポーツ 600cc(レース2) リザルト
順位 No. ライダー マシン 周回数 タイム/差
121ザクゥアン・ザイディHonda 1830'05.166
225A.シャー・カマルザマンカワサキ 18+0.788
31高橋裕紀Honda 18+2.073
471小山知良Honda18+2.333
514A.ナクチャロエンスリヤマハ18+5.445
631ゲリー・サリムHonda18+5.574
 
720ディマス・プラタマHonda18+5.697
877羽田太河Honda18+8.212
959ラタポン・ウィライローHonda18+8.291
1391ジャクリット・サワンサワットHonda18+21.065
14100ティティポン・ワロコーンHonda18+23.287

アジア・ドリーム・カップ(レース1)
順位 No. ライダー 国・地域 周回数 タイム/差
15マフド・フェブリアンシャーインドネシア817'01.972
22中村大輝日本8+0.138
31ハーフィズ・アズマンマレーシア8+0.600
413ココ・タダチフィリピン8+1.123
512シチポン・スリムーントリタイ8+1.318
615ブイ・デュイ・トンベトナム8+2.025
78ゾウシェン・ジュンジー中国8+2.520
89ヤッシン・ガブリエル・ソンマインドネシア8+3.217
910ヤーデン・グナヴァデナスリランカ8+3.343
107ブロック・パーソンオーストラリア8+17.544
1117ハリ・キシュナン・ラヤゴパランインド8+26.408
DNF4ハリス・ファーハンマレーシア 7 +1Lap
DNF18セシュー・ラジブインド 7 +1Lap
DNF14コーリー・ブリッファオーストラリア 7 +1Lap
DNF6ウォラフォード・ニャンサクホンサクタイ 7 +1Lap
DNF16ユウ・ズージュン台湾 6 +2Laps
DNF11アザール・ヌールシンガポール 3 +5Laps

アジア・ドリーム・カップ(レース2)
順位 No. ライダー 国・地域 周回数 タイム/差
12中村大輝日本816'52.634
217ハリ・キシュナン・ラヤゴパランインド8+0.158
37ブロック・パーソンオーストラリア8+0.177
413ココ・タダチフィリピン8+0.269
56ウォラフォード・ニャンサクホンサクタイ8+0.527
61ハーフィズ・アズマンマレーシア8+0.716
712シチポン・スリムーントリタイ8+0.980
89ヤッシン・ガブリエル・ソンマインドネシア8+8.567
918セシュー・ラジブインド8+13.241
1014コーリー・ブリッファオーストラリア8+13.437
1110ヤーデン・グナヴァデナスリランカ8+13.491
1211アザール・ヌールシンガポール8+13.492
138ゾウシェン・ジュンジー中国8+13.741
144ハリス・ファーハンマレーシア8+16.624
1516ユウ・ズージュン台湾8+44.157
DNF15ブイ・デュイ・トンベトナム 7 +1Lap
DNF5マフド・フェブリアンシャーインドネシア 2 +6Laps
ライダー(スーパースポーツ 600cc)
順位 No. ライダー マシン 総合ポイント
- 1 25 A.シャー・カマルザマン カワサキ 78
- 2 21 ザクゥアン・ザイディ Honda 77
- 3 71 小山知良 Honda 69
- 4 1 高橋裕紀 Honda 59
- 5 20 ディマス・プラタマ Honda 40
6 13 A.ウエスト ヤマハ 34
 
7 31 ゲリー・サリム Honda 33
8 77 羽田太河 Honda 32
10 59 ラタポン・ウィライロー Honda 24
- 11 100 ティティポン・ワロコーン Honda 21
15 91 ジャクリット・サワンサワット Honda 6

ライダー(アジア・ドリーム・カップ)
順位 No. ライダー 国・地域 総合ポイント
- 1 2 中村大輝 日本 95
- 2 1 ハーフィズ・アズマン マレーシア 66
3 7 ブロック・パーソン オーストラリア 46
4 5 マフド・フェブリアンシャー インドネシア 38
5 13 ココ・タダチ フィリピン 37
6 4 ハリス・ファーハン マレーシア 34
7 17 ハリ・キシュナン・ラヤゴパラン インド 32
8 8 ゾウシェン・ジュンジー 中国 31
9 6 ウォラフォード・ニャンサクホンサク タイ 30
10 12 シチポン・スリムーントリ タイ 28
11 9 ヤッシン・ガブリエル・ソンマ インドネシア 28
12 10 ヤーデン・グナヴァデナ スリランカ 19
13 11 アザール・ヌール シンガポール 19
14 15 ブイ・デュイ・トン ベトナム 17
15 18 セシュー・ラジブ インド 16
16 14 コーリー・ブリッファ オーストラリア 13
17 16 ユウ・ズージュン 台湾 1
18 3 渋田晨央 日本 0

小山知良(#71)、ザクゥアン・ザイディ(#21)

小山知良

ザクゥアン・ザイディ(左)、小山知良(中央)、高橋裕紀(右)

ザクゥアン・ザイディ

ザクゥアン・ザイディ(#21)

高橋裕紀(#1)

ラタポン・ウィライロー

ゲリー・サリム(#31)

ディマス・プラタマ

アジア・ドリーム・カップ

マフド・フェブリアンシャー(#5)、中村大輝(#2)、ハーフィズ・アズマン(#1)

中村大輝

中村大輝