2016.04.01-02 アジアロードレース選手権 開幕戦 マレーシアマレーシア

小山がレース1で、高橋がレース2で、それぞれ表彰台を獲得

2016年4月1日(金)、2日(土)・決勝  会場:ジョホール・サーキット

アジアロードレース選手権(ARRC)の開幕戦が、マレーシアのジョホール・サーキットで開催されました。かつてスーパーバイク世界選手権が開催された場所ですが、近年は、国際格式のレースは開催されていませんでした。今後、大規模改修がされることもあり、このサーキットの注目度を上げるため、ARRCが初開催されることになりました。改修前ということで荒れた路面、さらに、今季からタイヤがスリックに変更されたこともあり、タイヤ選択が勝敗のカギを握るレースに。そして、連日35℃を超える酷暑となり、路面温度も上昇する中での戦いとなりました。

高橋裕紀高橋裕紀

ザクゥアン・ザイディ(#21)、高橋裕紀(#1)ザクゥアン・ザイディ(#21)、高橋裕紀(#1)

金曜日には予選とレース1が行われました。ポールポジション(PP)はザクワン・ザイディ(MuSASHi Boon Siew Honda Racing)。マレーシア出身のザイディにとってホームコースであり、速さを示しました。2番手には、チームメートで、今季連覇を目指す高橋裕紀が入りました。レース1は午後に行われ、ホールショットはカワサキ勢、それをザイディ、羽田太河(T.Pro Yuzy Honda NTS)、小山知良(T.Pro Yuzy Honda NTS)と、数珠つなぎの大きな集団になり、周回を重ねました。終盤にかけては、ペースを上げた小山がトップの背後に迫ると、高速コーナーでインに飛び込みトップを奪います。その後は逃げきろうとアクセルを開けますが、翌周の同コーナーで、カワサキ勢にパスされ、小山は2位でフィニッシュとなりました。ザイディは3位に入り、Honda勢の2ライダーが表彰台に上がりました。なお、4位にディマス・エッキー・プラタマ(Astra Honda Racing Team)、5位に羽田、高橋は9位となりました。

高橋裕紀高橋裕紀

高橋裕紀(左)、ザクゥアン・ザイディ(右)高橋裕紀(左)、ザクゥアン・ザイディ(右)

レース2は土曜日に行われました。スタートで飛び出したのはレース1同様にカワサキ勢。それを高橋、小山らが追います。その後、カワサキ勢と追い上げたザイディ、高橋の3台が集団から抜け出し、トップ争いを展開。カワサキ勢とザイディの同郷対決は、観客の大声援を集めました。そんな中、背後では高橋が冷静に状況を判断しながら周回を重ねます。一方、セカンド集団では小山が奮闘。ペースを上げ、トップ集団に迫る勢いをみせます。トップ争いはカワサキ勢とザイディが最終ラップまで激しいバトルを続け、ザイディは一時トップに立ちますが、カワサキ勢にかわされ、オーバーランしたすきを突いた高橋に先行され、3位となりました。高橋は2位表彰台を獲得。ザイディはレース1に続き3位で、2レース連続で表彰台に上がりました。セカンド集団の争いを制したのはゲリー・サリム(Astra Honda Racing Team)、小山は5位となりました。羽田は10位でチェッカーを受けました。

ザクゥアン・ザイディザクゥアン・ザイディ

ザクゥアン・ザイディザクゥアン・ザイディ

アジア・ドリーム・カップ(ADC)では、2014年のチャンピオンであるカイルール・イダム・パウィが、ロードレース世界選手権(MotoGP)のMoto3クラスに、Honda Team Asiaから参戦を開始しました。13年チャンピオンの尾野弘樹に続くMoto3ライダーの誕生は、ADCに参戦するライダーたちにとって大きな励みとなったはずです。

中村大輝(#2)中村大輝(#2)

今季は、12カ国から選ばれた若きライダーたちがしのぎを削ります。日本勢は、中村大輝が昨年に引き続き参戦するとともに、渋田晨央が新たに加わりました。PPは中村が獲得。渋田は9番手となるタイムを記録しますが、転倒の影響でドクターストップがかかり、参戦を取りやめ、2戦目に備えることになりました。中村はレース1で独走優勝を果たし、レース2でも混戦を制して優勝。ダブルウインを達成しました。

小山知良(スーパースポーツ600cc 2位/5位)
「今回は初開催のサーキットで、路面状況が難しく、マレーシアの地元勢が強いことは分かっていました。それでも、タイヤのチョイスがうまくいき、勝算があると思っていたのですが、レース1の勝負所でシフタートラブルが出てしまい、ラスト2ラップではエンジンがストールと、勝負しきれませんでした。2位でチェッカーを受けられただけでよかったです。翌日のレース2まで、マシンを修復したのですが、解決できずにグリッドに並びました。つらいレースでしたが、ポイントを獲得し、次につながるレースができたと思います。次戦までマシンを見直し、トラブルなく挑めるようにしたいです」

高橋裕紀(スーパースポーツ600cc 9位/2位)
「今年からスリックタイヤに変わりましたが、準備が思うようにできていなかったことで、レース1はタイヤチョイスをミスしてしまいました。予選はソフトでタイムが出たものの、レース時は気温も路面温度も高くなったため、ソフトよりミディアムが優位だと判断したのですが。何度も転倒しそうになりましたが、それでもチェッカーを受けることができました。レース2では、逆を選択し、サスペンションのセッティングを変更。それを確認する時間はなく、不安もありましたが、2位に入れました。ここは、マレーシアのライダーにとってホームコースです。事前テストから、彼らが速いのは予想していました。ですので、彼らとバトルができ、表彰台に上がれたのは上出来だと思います。次戦から巻き返せるように、しっかり準備します」

中村大輝(アジア・ドリーム・カップ 優勝/優勝)
「昨年、チャンピオンになれなかったことが悔しく、もう一度走らせてほしいとお願いしました。参戦させていただけたことを感謝しています。昨年に学んだことを生かして、ライディングを改善するなど、できるだけの準備をしてシーズンを迎えました。僕と同じように引き続き参戦する仲間も、新しく参戦したライダーもいますが、その中で、レース1は独走で優勝できてうれしかったです。レース2も勝ち、ダブルウインを果たせました。MotoGPのMoto3クラスで、アジア・ドリーム・カップ出身のカイルール(イダム・パウィ)が優勝したことが、とてもうれしかったです。自分も彼に続けるようにがんばらなければという気持ちが強くなりました。気持ちを切り替えて、次もダブルウインを目指します」

渋田晨央(アジア・ドリーム・カップ 未出走)
「大久保(光)君や尾野(弘樹)君のように、ここでチャンピオンになり、世界へのチャンスをつかみたいと参戦を決意しました。ですが、予選で転倒してあごを縫いました。その影響でヘルメットを被れないと判断され、ドクターストップがかかってしまいました。アドバイザーの中野(真矢)さんにも相談したのですが、今回は参戦をあきらめることになりました。とても残念ですが、次戦には、万全の状態で走れるようします」

スーパースポーツ 600cc(レース1) リザルト
順位 No. ライダー マシン 周回数 タイム/差
125A.シャー・カマルザマンカワサキ1625'00.806
271小山知良Honda16+0.795
321ザクゥアン・ザイディHonda16+1.767
420ディマス・プラタマHonda16+3.000
577羽田太河Honda16+3.098
659ラタポン・ウィライローHonda16+8.939
 
8100ティティポン・ワロコーンHonda16+10.545
91高橋裕紀Honda16+11.718
1391ジャクリット・サワンサワットHonda16+13.329
DNF31ゲリー・サリムHonda6+10Laps

スーパースポーツ 600cc(レース2) リザルト
順位 No. ライダー マシン 周回数 タイム/差
125A.シャー・カマルザマンカワサキ1624'56.627
21高橋裕紀Honda16+0.985
321ザクゥアン・ザイディHonda16+1.150
431ゲリー・サリムHonda16+1.188
571小山知良Honda16+2.402
633A.ユディスティラカワサキ16+8.981
 
720ディマス・プラタマHonda16+9.317
959ラタポン・ウィライローHonda16+9.762
1077羽田太河Honda16+9.827
11100ティティポン・ワロコーンHonda16+10.065
1891ジャクリット・サワンサワットHonda16+22.036

アジア・ドリーム・カップ(レース1)
順位 No. ライダー 国・地域 周回数 タイム/差
12中村大輝日本815'00.412
21ハーフィズ・アズマンマレーシア8+5.703
34ハリス・ファーハンマレーシア8+5.831
47ブロック・パーソンオーストラリア8+5.922
513ココ・タダチフィリピン8+6.114
68ゾウシェン・ジュンジー中国8+6.376
76ウォラフォード・ニャンサクホンサクタイ8+17.205
818セシュー・ラジブインド8+17.329
911アザール・ヌールシンガポール8+17.373
109ヤッシン・ガブリエル・ソンマインドネシア8+18.324
1115ブイ・デュイ・トンベトナム8+21.162
1210ヤーデン・グナヴァデナスリランカ8+21.264
1314コーリー・ブリッファオーストラリア8+21.698
1417ハリ・キシュナン・ラヤゴパランインド8+30.710
1512シチポン・スリムーントリタイ8+52.202
1616ユウ・ズージュン台湾8+52.392
175マフド・フェブリアンシャーインドネシア8+57.389

アジア・ドリーム・カップ(レース2) リザルト
順位 No. ライダー 国・地域 周回数 タイム/差
12中村大輝日本815'03.620
21ハーフィズ・アズマンマレーシア8+0.572
34ハリス・ファーハンマレーシア8+1.372
45マフド・フェブリアンシャーインドネシア8+1.536
57ブロック・パーソンオーストラリア8+1.741
66ウォラフォード・ニャンサクホンサクタイ8+5.590
78ゾウシェン・ジュンジー中国8+7.414
811アザール・ヌールシンガポール8+11.365
912シチポン・スリムーントリタイ8+23.277
109ヤッシン・ガブリエル・ソンマインドネシア8+24.305
1117ハリ・キシュナン・ラヤゴパランインド8+24.846
1214コーリー・ブリッファオーストラリア8+25.148
1310ヤーデン・グナヴァデナスリランカ8+25.531
1415ブイ・デュイ・トンベトナム8+36.514
1518セシュー・ラジブインド8+37.142
1616ユウ・ズージュン台湾8+44.524
ライダー(スーパースポーツ 600cc)ポイントスタンディング
順位 No. ライダー マシン 総合ポイント
 1 25 A.シャー・カマルザマンカワサキ50
 2 21 ザクゥアン・ザイディHonda32
 3 71 小山知良Honda31
 4 1 高橋裕紀Honda27
 5 20 ディマス・プラタマHonda22
  6 13 羽田太河 Honda 17
 
 7 59 ラタポン・ウィライローHonda17
 10 31 ゲリー・サリムHonda13
 11 100 ティティポン・ワロコーンHonda13
 16 91 ジャクリット・サワンサワットHonda3

ライダー(アジア・ドリーム・カップ)ポイントスタンディング
順位 No. ライダー 国・地域 総合ポイント
 1 2 中村大輝日本50
 2 1 ハーフィズ・アズマンマレーシア40
 3 4 ハリス・ファーハンマレーシア32
 4 7 ブロック・パーソンオーストラリア24
 5 6 ウォラフォード・ニャンサクホンサクタイ19
 6 8 ゾウシェン・ジュンジー中国19
 7 11 アザール・ヌールシンガポール15
 8 5 マフド・フェブリアンシャーインドネシア13
 9 9 ヤッシン・ガブリエル・ソンマインドネシア12
 10 13 ココ・タダチフィリピン11
 11 18 セシュー・ラジブインド9
 12 12 シチポン・スリムーントリタイ8
 13 10 ヤーデン・グナヴァデナスリランカ7
 14 14 コーリー・ブリッファオーストラリア7
 15 15 ブイ・デュイ・トンベトナム7
 16 17 ハリ・キシュナン・ラヤゴパランインド7
 17 3 渋田晨央日本0
 18 16 ユウ・ズージュン台湾0

高橋裕紀

ザクゥアン・ザイディ(#21)、高橋裕紀(#1)

高橋裕紀

高橋裕紀(左)、ザクゥアン・ザイディ(右)

ザクゥアン・ザイディ

ザクゥアン・ザイディ

中村大輝(#2)