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アジアロードレース選手権

round 01

SCHEDULE

April 19 2015, RACE Asia Road Racing Championship Malaysia

マレーシアマレーシア

高橋裕紀が初戦のレース1で勝利。ザムリ・ババも2位/優勝と好スタート

2015年4月19日(日)・決勝  会場:セパン・サーキット(北コース)  コースコンディション:ドライ

1996年にスタートしたアジアロードレース選手権(ARRC)は、今年で20周年を迎えるアジア最高峰のロードレースです。クラスは「スーパースポーツ(SS) 600」を頂点に、「アンダーボーン130」と「アジア・ドリーム・カップ」が開催されてきました。さらに、今季からは250ccのスポーツバイクをベースとした「アジアンプロダクション250」、「スズキアジアンチャレンジカップ」を新設。ARRCはアジアの頂点に立つライダーを決定するだけでなく、ライダーの育成や世界に向けたステップアップレースとしての役割を担う、重要な選手権として開幕戦を迎えました。

  • 高橋裕紀高橋裕紀
  • 高橋裕紀、ザムリ・ババ高橋裕紀、ザムリ・ババ
  • 高橋裕紀(#72)、ザムリ・ババ(#52)高橋裕紀(#72)、ザムリ・ババ(#52)
  • ザムリ・ババ(中央)、ディマス・プラタマ(右)ザムリ・ババ(中央)、ディマス・プラタマ(右)
  • アジア・ドリーム・カップ参戦ライダーアジア・ドリーム・カップ参戦ライダー
  • アジア・ドリーム・カップ スタートの様子アジア・ドリーム・カップ スタートの様子
  • (左から)仲村優佑、ムクラダ・サラプーチ、中村大輝(左から)仲村優佑、ムクラダ・サラプーチ、中村大輝
  • ボラポン・マルアファン(左から2番目)、アピワット・ウォンタナノン(左から3番目)、ナカリン・アティラプバパト(右端)(アジアンプロダクション250)ボラポン・マルアファン(左から2番目)、アピワット・ウォンタナノン(左から3番目)、ナカリン・アティラプバパト(右端)(アジアンプロダクション250)

2014年の全日本ロードレース選手権でJ-GP2クラスを制し、2015年度もモリワキレーシングで全日本タイトルV2を狙う高橋裕紀は、ARRCではMuSASHi Boon Siew Honda RacingからSS600クラスにフル参戦。全日本選手権とアジア選手権にダブルエントリーします。チームメートはザムリ・ババです。

レースウイークは、連日33℃を超える気温で、午後には60℃を超える路面温度と、南国らしい暑さの中で戦われました。ポールポジション(PP)はババが獲得しました。

迎えたレース1では、高橋が期待通りにレースをリード、ババ、アフマド・ユディスティラ(カワサキ)、小山知良(T.Pro Yuzy Honda)とトップ集団を形成します。そこに稲垣誠(ヤマハ)も加わり、激しい争いを繰り広げました。最終的に高橋はトップのまま逃げきって勝利。僅差でババが2位フィニッシュ。3番手は、ユディスティラ、小山、稲垣で争われましたが、最終ラップに、その争いの中でアクシデントが起き、ユディスティラと稲垣が転倒リタイア。小山は後れてしまいます。そのすきを突き、ラタポン・ウィライロー(A.P.Honda Thailand)が3位に滑り込み、Hondaマシンが表彰台を独占しました。

レース2では、ユディスティラがスタートダッシュを決め、それをババ、高橋が追います。ユディスティラに追いついた高橋は、トップ争いを繰り広げます。そこにババ、ウィライローも追いつき、トップ争いは4台に。そして、南国特有のスコールがレース中盤に落ちてきます。ライダーはペースダウンし、ポジションが入れ替わりますが、雨が収まると、再度ペースアップ。ババ、ユディスティラ、追い上げた小山、さらにはディマス・プラタマ(Astra Honda Racing)が加わり、激しいトップ争いが繰り広げられます。終盤に来てペースアップしたババが逃げて優勝し、2位にユディスティラ。最終ラップの攻防をプラタマが制し、3位でチェッカーを受けて表彰台に登りましたが、イエローフラッグ無視のペナルティーで4位に降格し、3位は小山となりました。

アジア・ドリーム・カップは、2013年チャンピオンの尾野弘樹が今季よりロードレース世界選手権Moto3に参戦。2014年チャンピオンのカイルール・イダム・パウィは、FIM CEV Repsol Moto3 Junior World Championshipへとステップアップしました。さらに、SS600に参戦を開始した卒業生もおり、名前の通り、ライダーの夢をかなえるクラスとなっています。

今年も残留組に加え、新たな挑戦を開始するライダーたちが、アジア各地から集まりました。日本人は仲村優佑、中村大輝の2人が権利を得てグリッドに並びました。PPは中村大輝が獲得。レース1は中村大輝がホールショットを奪い、アルシャド・ルシュディ・シャハルム、ハーフィズ・アズマンらと激しいトップ争いを繰り広げます。仲村優佑、ムクラダ・サラプーチらも追い上げ、トップ争いに加わりました。最終的に、中村大輝が開幕勝利を果たし、僅差で仲村優佑が続き、日本人ライダーが1-2フィニッシュ。3位には女性ライダーのサラプーチが入りました。

レース2をリードしたのは仲村優佑で、それをサラプーチ、中村大輝が追いかける展開となりました。サラプーチは積極的に挑み、何度もトップを奪います。仲村優佑も応戦し、さらには中村大輝も食らいつきます。この争いにココ・タダチ、フェブリアンシャー、ロバート・マシュー・ラモスらも加わり、トップ争いは5台に膨れ上がります。各コーナーで、激しく順位を入れ替えながらレースが進みましたが、サラプーチが逃げきって初優勝を達成。2位に仲村優佑、3位に中村大輝が入り、日本人ライダーの2名は、両レースで表彰台に登壇しました。

コメント

ザムリ・ババ(スーパースポーツ600cc 2位/優勝)
「ポールポジションを獲得できて、オフシーズンのテストでマシンを仕上げてきた方向性が正しかったと自信を持てました。両レースで表彰台に上がれました。2レース目は雨というアクシデントがありましたが、それをうまく使って優勝できました。とてもうれしいです。今年もライバルが多く、厳しい戦いになると思いますが、昨年はケガが続いてしまってタイトルを獲得できる位置にいながら、チャンピオンになれなかったので、今年はケガなく、しっかりと最後まで戦っていきたいです」

高橋裕紀(スーパースポーツ600cc 優勝/7位)
「ARRCのSS600クラスは、プロダクションバイク(市販車に極めて近い状態の車両)です。レーサー(レース仕様車)でしかレースをしたことがないので、僕にとっては、新たな挑戦になります。また、全日本ロードレースとのダブルエントリーという経験も、アジア選手権も初めて。なにもかもが初めての体験になります。しっかりと戦って、自分の経験値を上げたいと思っています。アジア選手権は非常にレベルが高く、運営などもしっかりしていて、参戦を決めてよかったと思います。レース1を勝つことができ、ダブルウインも狙っていましたが、雨が落ちてきたので赤旗が出るのではと、ペースを落として様子を見ていたら、レースが続行されてトップ争いから離れてしまい、巻き返すことができずに終わってしまいました。残念ですが、これも経験だと思い、次戦では両レースで勝つことができるようにしっかり走りたいです」

ムクラダ・サラプーチ(アジア・ドリーム・カップ 3位/優勝)
「レース1では勝てるチャンスがあったのに3位で、とても悔しかったので、レース2で優勝できたことが、とてもうれしかったです。これまでのどのレースと比べても、最高にうれしい優勝です。自分を支えてくれた、すべての人に感謝します。ありがとうと言いたいです。次も勝てるように精一杯がんばります」

中村大輝(アジア・ドリーム・カップ 優勝/3位)
「練習から調子がよく、いいレースができると思っていました。1レース目は思い通りのレースができて、とても満足できました。しかし、2レース目は、中盤まではよかったのですが、トップ争いの台数が多くなり、どんなふうにコントロールして前に行けばいいのか、仕掛けるタイミングを考えていたら、3位になってしまいました。もっと、メンタルを強く持って勝負できるようにしなければだめだと思いました。次戦では負けないようにがんばります」

仲村優祐(アジア・ドリーム・カップ 2位/2位)
「レース1は、勝てずに悔しかったので、2レース目は、強い気持ちで挑みましたが、ムクラダ(サラプーチ)を捕らえることができませんでした。優勝できなくて残念ですが、両レースとも、とても勉強になりました。次戦はもっと考えて、勝てるようにしたいです」

中野真矢(アジア・ドリーム・カップ トレーナー)
「アジア・ドリーム・カップのトレーナーをさせていただいて3年になります。ここの卒業生たちが夢をかなえていることは、参戦ライダーたちにとって大きな励みになっていると感じます。今年は、テストのときからタイムがあまり上がってなく、レベルを引き上げたいとアドバイスしてきました。レコードタイムを超えることに集中しようという話をしました。レースウイークに入ったら、みんなが、それぞれにタイムアップし、レベルを引き上げてくれました。日本人の2人は基礎がしっかりできているので、上位入賞は予想通り。ムクラダは13年にドリームカップを走り、昨年はタレントカップに参戦し、今年はADCに再挑戦。成長の跡を見せてくれたようでうれしく思っています。これからも、彼らの成長の助けができるように、しっかり務めたいと思っています」

決勝リザルト

スーパースポーツ 600cc(レース1)
順位 No. ライダー マシン 周回数 タイム/差
172高橋裕紀Honda25 27'31.626
252ザムリ・ババHonda25+1.573
359ラタポン・ウイライローHonda25+11.855
483F.B.ヒシャムカワサキ25+12.710
520ディマス・プラタマHonda25+12.897
676伊藤勇樹ヤマハ25+13.113
 
791ジャクリット・サワンサワットHonda25+13.345
843ファドリ・イマムディンHonda25+17.072
1271小山知良Honda25+21.875
1382スハタイ・チャンサップHonda25+31.159
1979ポンペーラ・カナハップHonda25+52.499
2193羽田大河Honda24+1Lap
スーパースポーツ 600cc(レース2)
順位 No. ライダー マシン 周回数 タイム/差
152ザムリ・ババHonda2527'53.707
233A.ユディスティラカワサキ25+0.774
371小山知良Honda25+1.083
420ディマス・プラタマHonda25+0.915
518稲垣誠ヤマハ25+1.586
643ファドリ・イマムディンHonda25+1.895
 
772高橋裕紀Honda25+2.043
893羽田大河Honda25+2.198
991ジャクリット・サワンサワットHonda25+8.213
1382スハタイ・チャンサップHonda25+21.517
1979ポンペーラ・カナハップHonda25+43.717
RT59ラタポン・ウイライローHonda9+16Laps
アジア・ドリーム・カップ(レース1)
順位 No. ライダー マシン 周回数 タイム/差
11中村大輝Honda1418'58.581
27仲村優佑Honda14+0.323
318ムクラダ・サラプーチHonda14+0.676
42ハーフィズ・アズマンHonda14+1.566
54アルシャド・ルシュディ・シャハルムHonda14+3.851
63ココ・タダチHonda14+11.384
79ヨガ・ディオ・シャクプトラHonda14+14.176
88サイフル・アズハリーHonda14+16.052
917ウォラフォード・ニャンサクホンサクHonda14+16.282
1012ロバート・マシュー・ラモスHonda14+16.428
115ゾウシェン・ジュンジーHonda14+16.473
1215ハリ・キシュナン・ラヤゴパランHonda14+30.201
1311ハスロイ・オスマンHonda14+30.399
146サラス・シャンカル・クマHonda14+38.043
1513ブロック・パーソンHonda14+38.237
1619リー・イェン・チンHonda14+38.850
1716セシュー・ラジブHonda14+1'02.431
RT10フェブリアンシャーHonda13+1Lap
RT14ヤーデン・グナヴァデナHonda3+11Laps
アジア・ドリーム・カップ(レース2)
順位 No. ライダー マシン 周回数 タイム/差
118ムクラダ・サラプーチHonda1419'04.764
27仲村優佑Honda14+0.016
31中村大輝Honda14+0.154
43ココ・タダチHonda14+0.218
510フェブリアンシャーHonda14+0.307
612ロバート・マシュー・ラモスHonda14+1.720
717ウォラフォード・ニャンサクホンサクHonda14+1.758
89ヨガ・ディオ・シャクプトラHonda14+3.107
95ゾウシェン・ジュンジーHonda14+5.780
106サラス・シャンカル・クマHonda14+5.787
1111ハスロイ・オスマンHonda14+19.012
1213ブロック・パーソンHonda14+19.880
1314ヤーデン・グナヴァデナHonda14+20.266
1415ハリ・キシュナン・ラヤゴパランHonda14+20.278
1519リー・イェン・チンHonda14+39.755
164アルシャド・ルシュディ・シャハルムHonda13+1Lap
RT8サイフル・アズハリーHonda7+7Laps
RT16セシュー・ラジブHonda2+12Laps
RT2ハーフィズ・アズマンHonda1+13Laps

ポイントスタンディング

ライダー(スーパースポーツ 600cc)
順位 ライダー マシン 総合ポイント
1ザムリ・ババHonda45
2高橋裕紀Honda34
3ディマス・プラタマHonda24
4A.ユディスティラカワサキ20
5小山知良Honda20
6F.B.ヒシャムカワサキ19
 
7ファドリ・イマムディンHonda18
8ラタポン・ウイライローHonda16
9ジャクリット・サワンサワットHonda16
14羽田大河Honda8
15スハタイ・チャンサップHonda6
26ポンペーラ・カナハップHonda0
27アクマル・ヒスヴァムHonda0
ライダー(アジア・ドリーム・カップ)
順位 ライダー マシン 総合ポイント
1ムクラダ・サラプーチHonda41
2中村大輝Honda41
3仲村優佑Honda40
4ココ・タダチHonda23
5ヨガ・ディオ・シャクプトラHonda17
6ロバート・マシュー・ラモスHonda16
 
7ウォラフォード・ニャンサクホンサクHonda16
8ハーフィズ・アズマンHonda13
9ゾウシェン・ジュンジーHonda12
10アルシャド・ルシュディ・シャハルムHonda11
11フェブリアンシャーHonda11
12サラス・シャンカル・クマHonda8
13サイフル・アズハリーHonda8
14ハスロイ・オスマンHonda8
15ハリ・キシュナン・ラヤゴパランHonda6
16ブロック・パーソンHonda5
17ヤーデン・グナヴァデナHonda3
18リー・イェン・チンHonda1
19セシュー・ラジブHonda0