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アジアロードレース選手権

round 05

SCHEDULE

November 9 2014All Asia Road Racing Championship Thailand

マレーシアタイ

レース1はザクゥアン・ザイディが2位表彰台、小山知良が3位表彰台に上がる
レース2は小山が2位フィニッシュ、3位にザクゥアン・ザイディ
玉田誠は5位/4位、ザムリ・ババは奇跡の復帰を果たしてレース2で5位

2014年11月9日(日)・決勝  会場:チャーン・インターナショナル・サーキット  天候:晴れ  コースコンディション:ドライ

アジアロードレース選手権の第5戦は、14年ぶりにタイで開催されました。バンコクの北東410Kmの位置に、新たに建設されたチャーン・インターナショナル・サーキットがその舞台。ライダーたちは初のコースに挑むことになりました。ドイツ人設計者兼オートレーサーのヘルマン・ティルケ氏によって設計されたこのサーキットは、距離が4.554kmで12のコーナーを備えています。コーナーの数は右コーナーが7つと、左コーナーが5つ。コースの最大の特徴は、1kmにも及ぶロングストレートで、トップスピードは時速300kmを超えます。

  • 小山知良小山知良
  • ザクゥアン・ザイディザクゥアン・ザイディ
  • 小山知良(左)、ザクゥアン・ザイディ(右)小山知良(左)、ザクゥアン・ザイディ(右)
  • 玉田誠玉田誠
  • ザムリ・ババザムリ・ババ
  • カイルール・イダム・パウィ(#1)、森俊也(#6)カイルール・イダム・パウィ(#1)、森俊也(#6)
  • 森俊也森俊也

各クラスともタイトル争いが大詰めとなり、第4戦を終了時点で、スーパースポーツ 600ccのポイントリーダーは藤原克昭(カワサキ)。2位にザムリ・ババ(MuSASHi Boon Siew Honda Racing)で33ポイント差、3位に玉田誠(MuSASHi Boon Siew Honda Racing)で35ポイント差と続いています。ババは、第4戦鈴鹿大会で転倒し、ケガをしたことで、参戦できるか心配されていましたが、リハビリを耐えて復帰を果たしました。

予選では、ラタポン・ウイライロー(Thai Honda Racing)がポールポジションを獲得。レース1は伊藤勇樹(ヤマハ)がホールショットを奪い、そのまま優勝のチェッカーを受けました。2番手争いはザクゥアン・ザイディ(MuSASHi Boon Siew Honda Racing)と小山知良(T.Pro Yuzy Honda)、ジャクリット・サワンサワット(A.P.Honda Thailand)がセカンド集団から抜け出します。3台は各コーナーで幾度となくポジションを入れ替えました。小山はファステストラップを叩き出しつつ主導権を握りますが、最後はザイディが先行して2位。3位に小山、4位にサワンサワットとなりました。玉田はウイライローと5番手争いを繰り広げ、5位を獲得しました。注目のババは、転倒を喫してノーポイントでした。

レース2も伊藤が飛び出し、それを小山とザイディが追う展開。しかし、伊藤はレース1のように逃げることができず、最終ラップまで、3台が激しいトップ争いを繰り広げながら周回を重ねました。そして勝負は、最終ラップの最終コーナーでの攻防に。小山が伊藤を捕らえますが、クロスラインとなって伊藤が逃げ、小山、ザイディが僅差で続いてチェッカーを受けました。玉田は追い上げのレースとなり、4位でチェッカー。ババはウイライローとの5番手争いを制して5位、ウイライローは6位でした。

伊藤が両レースを制したことで、タイトル争いの様子は大きく変化しました。伊藤はランキングトップの藤原を7ポイント差で追うことに。ザイディが3位、玉田が4位、小山が5位、ババが6位となり、この上位6人にタイトルの可能性があり、最終戦を迎えます。

アジアドリームカップは、ランキングトップのカイルール・イダム・パウィが両レースで2位に入り、最終戦を待たずに初のチャンピオン獲得となりました。

レース1は、8ラップで争われる予定が7ラップでチェッカーが振られ、最終ラップに入った時点でのポジションがリザルトとなりました。トップは8台で争われ、そこから2台が転倒で脱落。最終ラップの攻防で、マシンが接触する激しさをみせる中、アディティア・パンゲストゥが優勝。2位にパウィ、3位に森俊也が入りました。5位は名越哲平、7位は黒木玲徳でした。

レース2は8ラップの戦い。9台による大集団のトップ争いから、最終ラップに森とパウィが抜け出して一騎打ちとなり、森が制して初優勝。そして、2位に入ったパウィが初のチャンピオンに輝きました。3位にはパンゲストゥが僅差で続き、表彰台に上がりました。4位に名越、6位に黒木が入りました。

パウィはアジアドリームカップにおいて、日本人以外での初のチャンピオン。当然、同時にマレーシア人としても初という、栄誉に輝きました。

コメント

ザクゥアン・ザイディ(スーパースポーツ 600cc 2位/3位)
「トップ争いに加わりながらも、勝つことができずに残念です。最終戦では、マシンのセッティングをもっとしっかり煮詰め、僕も努力を重ね、トップ争いで前に出られるようにしたいです」

小山知良(スーパースポーツ 600cc 3位/2位)
「決勝の朝に行われたウォームアップの2周目に、他車に接触されてしまい、メディカルセンターへ運ばれました。痛みはありましたが、レースをあきらめるわけにはいきませんでした。マシンは、スタッフの懸命な修復により復活。序盤は、マシンのフィーリングを確認しながら、8番手あたりを走行しました。中盤からペースをアップして、身体の痛みと戦いながらも、ファステストラップを出すことができました。その後は2番手を争う集団に追い付き、3位でチャッカーを受けられました。レース2は、ファステストラップとサーキットレコードを出してトップ集団に追いつき、ラストラップの最終コーナーでトップに浮上しました。しかし、立ち上がりのクロスラインで抜かれ、2位になりました。最終戦カタールは優勝だけを狙いにいきます」

玉田誠(スーパースポーツ 600cc 5位/4位)
「新コースのレイアウトでは、1コーナーから伸びるロングストレートと、2コーナーから伸びる上りのストレートで離されてしまいました。体重を3s落として挑んだのですが、追いつけませんでした。インフィールドでは勝負できたのですが。予選では不順な天候でアタックのタイミングを逃してしまい、グリッドが悪く3列目。そこからの追い上げになったことも、厳しいレースになってしまった要因です。最終戦に向けて、さらに体重を落として、予選からしっかり前に出ていこうと思います。やれることを最大限にやり、勝ちにいきたいです」

ザムリ・ババ(スーパースポーツ 600cc リタイア/5位)
「鈴鹿でケガをしてから2カ月、動くことができずにいました。しかし、医師がすばらしい仕事をしてくれて、リハビリがとてもうまくいったことで、参戦できました。タイトル争いをあきらめるわけにはいきません。最大限の努力をして、間に合わせました。1レース目は転倒してしまいましたが、2レース目は走りきれました。最終戦では、もっといい走りができると思います。最後まであきらめずにがんばりたいです」

カイルール・イダム・パウィ(アジア・ドリーム・カップ 2位/2位)
「鈴鹿戦のようにダブルウインで飾って、チャンピオンになりたかったです。せめて、どちらかのレースで勝ち、タイトルを決めたかったのですが、残念ながらそれはかないませんでした。レース1では混乱がありました。それでも、終わってみればチャンピオンを獲得できました。こんなにすばらしい時間を持てたのは、チームのサポート、家族や友達の支えのおかげです。とても感謝しています。ありがとうございました」

森俊也(アジア・ドリーム・カップ 3位/優勝)
「レース1は8ラップの予定が、7ラップでチェッカーが出ました。トップ集団にいて、最終ラップに向けてスパートをしようと思った矢先のチェッカーでした。アクセルを緩めることなく走行するライダーと、スロー走行になるライダーが混在する危険な状況になり、転倒するライダーもいました。どうして1周少なくなったのかは、説明がないため分かりませんが、3位になれたのはラッキーでした。2レース目は、これまでにないくらいの大きなトップ集団となり、難しいレースでした。1レース目のことがあったので、常に前に出ようという作戦で、優勝することができました。やっと、ドリームカップの戦い方が見えてきた気がします。最終戦では、ダブルウインを目指します」

名越鉄平(アジア・ドリーム・カップ 5位/4位)
「今回は新しいサーキットのため、皆が同じ条件でした。そのため、自分のモチベーションは高く、自信もありました。フリープラクティスから、ライダー、マシンともにいい感じでした。予選で5番手となり、日本人最上位のセカンドローからのスタートでした。フロントローを狙っていたので悔しい気持ちもありましたが、トップ争いに加われる位置にいたため、決勝に向けて戦略を練りました。レース1は、スタートからトップ争いに加わりましたが、8周のはずのレースが7周でチェッカーフラッグ。5位に終わってしまいました。レース2は、トップ争いを演じながらも、最終ラップで集団の後方まで下がってしまい、追い上げに時間がかかったため、トップを逃がしてしまいました。最終コーナーで3番手争いのブレーキング勝負をしましたが、届かず4位に終わりました。ここまで、すべてのサーキットで表彰台に立っていたのが、5戦目で初めて、逃してしまいました。約2カ月のインターバルで、たくさんのことを吸収してきました。ですが、自分ではやったつもりでも、ライバルたちはもっと練習をしていたのかもしれません。とても悔しい気持ちでいっぱいです。次戦は最終戦です。今自分にできること、しなければならないことを、しっかりとやって最終戦に挑みます。口ではなんとでも言えます。口だけでなく、自分が今まで学んだことと、これからの努力を、最終戦でしっかりと結果につなげたいです。応援、サポートをしてくださっているたくさんの方々に、優勝という形で恩返しできればと思っています」

黒木玲徳(アジア・ドリーム・カップ 7位/6位)
「初開催となったコースは、路面が綺麗で、走りやすいと感じました。とにかく、優勝だけを目指してがんばりました。1レース目は、パッシングのタイミングや場所をうまく見つけられず、トップ集団の後ろを走行しました。2レース目はその反省を生かして、抜くポイントを考えて走りました。トップ争いに加われたのですが、前には出られずに終わってしまいました。残り1戦となりました。最終戦で今年一番の走りができるように、考えて準備をしたいです」

決勝リザルト

スーパースポーツ 600cc(レース1)
順位 No. ライダー マシン 周回数 タイム/差
176伊藤勇樹ヤマハ1626'52.991
221ザクゥアン・ザイディHonda16+2.652
371小山知良Honda16+2.921
491ジャクリット・サワンサワットHonda16+3.008
5100玉田誠Honda16+8.921
659ラタポン・ウイライローHonda16+8.921
 
982スハタイ・チャンサップHonda16+13.507
10162ファディル・イマムディンHonda16+24.982
1124アピワット・ウォンタナノンHonda16+25.002
1234岩田悟Honda16+28.488
1595ナカリン・アティラプバパトHonda16+33.450
1627アヌチャー・ナクチャロエンスリHonda16+34.732
1920ディマス・プラタマHonda16+42.210
RT52ザムリ・ババHonda7+9Laps
スーパースポーツ 600cc(レース2)
順位 No. ライダー マシン 周回数 タイム/差
176伊藤勇樹ヤマハ1626'48.999
271小山知良Honda16+0.172
321ザクゥアン・ザイディHonda16+0.256
4100玉田誠Honda16+6.492
552ザムリ・ババHonda16+9.935
659ラタポン・ウイライローHonda16+9.995
 
782スハタイ・チャンサップHonda16+11.038
10162ファディル・イマムディンHonda16+23.828
1120ディマス・プラタマHonda16+24.793
1224 アピワット・ウォンタナノンHonda16+25.230
1595ナカリン・アティラプバパトHonda16+25.697
1634岩田悟Honda16+28.977
1727アヌチャー・ナクチャロエンスリHonda16+38.345
RT91ジャクリット・サワンサワットHonda2+14Laps
アジア・ドリーム・カップ(レース1)
順位 No. ライダー マシン 周回数 タイム/差
111アディティア・パンゲストゥHonda714'54.182
21カイルール・イダム・パウィHonda7+0.110
36森俊也Honda7+0.350
44アンディ・ファリド・イズディハールHonda7+0.425
55名越哲平Honda7+0.435
68チュアン・アンユーHonda7+0.480
72黒木玲徳Honda7+0.677
87ハリス・ファーハン・バハリンHonda7+9.904
912サラス・シャンカル・クマHonda7+10.310
1013ココ・タダチHonda7+10.365
119アルナギリ・プラブHonda7+10.615
1215シュール・アーヴィン・ダニエルHonda7+32.733
1317キアディサック・チャウイセットHonda7+32.823
1416リー・イェン・チンHonda7+36.857
RT3スミト・ルークス・トッポHonda5+2Laps
RT18パサウィト・ティティバララクHonda3+4Laps
アジア・ドリーム・カップ(レース2)
順位 No. ライダー マシン 周回数 タイム/差
16森俊也Honda817'00.262
21カイルール・イダム・パウィHonda8+0.009
311アディティア・パンゲストゥHonda8+0.957
45名越哲平Honda8+1.143
58チュアン・アンユーHonda8+1.354
62黒木玲徳Honda8+1.478
77ハリス・ファーハン・バハリンHonda8+1.574
83スミト・ルークス・トッポHonda8+1.822
918パサウィト・ティティバララクHonda8+8.381
1013ココ・タダチHonda8+14.122
1112サラス・シャンカル・クマHonda8+14.269
1215シュール・アーヴィン・ダニエルHonda8 +37.323
1317キアディサック・チャウイセットHonda8+37.902
1416リー・イェン・チンHonda8+1'09.928
159 アルナギリ・プラブHonda8+2'30.326
164アンディ・ファリド・イズディハールHonda6+2Laps

ポイントスタンディング

ライダー(スーパースポーツ 600cc)
順位 ライダー マシン 総合ポイント
1藤原克昭カワサキ147
2伊藤勇樹ヤマハ140
3ザクゥアン・ザイディHonda125
4玉田誠Honda121
5小山知良Honda118
6ザムリ・ババHonda110
 
7ディマス・プラタマHonda88
9ジャクリット・サワンサワットHonda82
10ラタポン・ウイライローHonda63
11ファディル・イマムディンHonda51
12岩田悟Honda46
15スハタイ・チャンサップHonda23
16ピラワット・ウォンタナノンHonda20
22デニー・トリユゴ・ラクソノHonda11
26ドゥイ・サトリアHonda5
31フィトル・アシュラフ・ラザリHonda2
32田尻克行Honda2
33アヌチャー・ナクチャロエンスリHonda1
34ナカリン・アティラプバパトHonda1
ライダー(アジア・ドリーム・カップ)
順位 ライダー マシン 総合ポイント
1カイルール・イダム・パウィHonda235
2名越哲平Honda159
3アディティア・パンゲストゥHonda146
4森俊也Honda118
5チュアン・アンユーHonda117
6アンディ・ファリド・イズディハールHonda96
 
7黒木玲徳Honda75
8スミト・ルークス・トッポHonda73
9サラス・シャンカル・クマHonda62
10ハリス・ファーハン・バハリンHonda56
11ココ・タダチHonda53
12キアディサック・チャウイセットHonda44
13パサウィト・ティティバララクHonda39
14シュール・アーヴィン・ダニエルHonda38
15アルシャド・ルシュディ・シャハルムHonda25
16リー・イェン・チンHonda25
17アルナギリ・プラブHonda14
18ラクラン・カヴニーHonda5