VTECエンジン / 1989

自然吸気でリッター100馬力。限界への挑戦が生んだ夢のエンジン

VTECエンジン / 1989

燃費とパワーを両立する可変バルブ

1984年3月、Hondaは次の時代の主役となるエンジンを開発するために、NCE(New Concept Engine)計画をスタートさせた。この計画の中で、具体的な課題として挙げられていたのは、低回転域と高回転域でのハイトルクの両立、リッター当たりの馬力の大幅な向上などであった。その答えとして、1985年モデルのシビック、インテグラのDOHCエンジン、1987年モデルのシティのSOHCセンタープラグエンジンが誕生することになる。

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独創的な発想によって創り上げたVTECエンジンの構造

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吸・排気側それぞれに3つのカム駒とロッカーアームを持つDOHC・VTEC機構。低速と高速でカム山を切り替えることで、幅広いトルクバンドを達成している

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VTECの原点となった、二つの低速用カム駒と高速用カム駒

これらの4バルブエンジンを手掛けてきた、栃木研究所第1設計室の梶谷郁夫は、その開発の経験から、
「次のエンジンは、バルブタイミングの切り替えしかない」
という確信を持つようになっていた。

「4バルブエンジンは、高回転・高出力であることに意味がある。そのため小排気量の「エンジンでは、低回転域との両立が非常に難しい問題となっていた」(梶谷)。

例えば、低回転域でのトルクを上げるためにバルブ夾角を狭くすると、高回転時にタイミングベルトやバルブスプリングなどが持たないという問題が生じていた。そのため、開発スタッフたちは、低回転域と高回転域のバランスをいかに保つのかということに、多くの時間を費やしていた。それでもスタッフたちの努力によって、DOHC、SOHCエンジンは完成することができた。しかし、これ以上の高性能エンジンを開発していくためには、このジレンマを解決することが必要だったのである。

実はこの時、既にバルブタイミングを切り替えるアイデアが動き出していた。それは、NCE計画がスタートする前年の1983年1月に発足した燃費向上研究チームによってもたらされたものだった。
1982年末、Hondaの燃費向上の研究開発は、50MPG(Mile Per Gallon)という格段に高い燃費効率を実現しつつあった。これを受けて、さらに燃費を向上させる技術を模索すること、それが燃費向上研究チームに与えられた課題だった。

この模索の中で、スタッフたちは動弁機構に燃費向上の可能性を見出した。それは、吸・排気側それぞれに新たに高速専用のカム駒とロッカーアームを備え、低速時と高速時でカム山を切り替えることで、バルブタイミングを変えていくという考え方である。そしてこの機構により、エンジンの高効率化を図ろうという狙いであった。

この『バルブ休止プラス可変バルブタイミング機構』はNCE計画の中に採り込まれ、次世代エンジンの核となる技術として、基本構想の熟成が図られていった。
そして後に、1989年モデルのインテグラに搭載されたVTEC(Variable ValveTiming & Lift Electronic Control System )エンジンとして、新しい走りを実現することになっていく。

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