語り継ぎたいこと 〜チャレンジの50年〜

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世界一コンパクトな溶接ライン / 1982

革新的な合理化を達成した溶接システムの開発

世界一コンパクトな溶接ライン / 1982

4輪溶接設備の基盤づくりに向けて

Hondaは1963年6月に、埼玉製作所(現、埼玉製作所和光工場)で軽トラック・T360の生産を開始し、同年8月から浜松製作所でHondaスポーツ・S500の生産を行うことにより、念願としていた4輪車づくりの第一歩を踏み出した。

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1965年9月に発売されたライトバン・L700の溶接ライン。溶接ラインでは太い2次ケーブルでつながった溶接ガンを使い作業が行われていた

当初のホワイトボディー(溶接組み立てされた塗装前の車体)づくりは、中・小物のプレス部品によって構成されていたため、プレス部品はつくりやすい反面、溶接組み立てには多くの工程を要していた。

「工程は少ないほど、品質が良く能率が上がる」
という、本田宗一郎のものづくりに対する考え方からも、いかに高効率で品質の良いクルマをつくるかが、4輪最後発メーカーであるHondaにとっての課題でもあった。こうした状況下で、ホワイトボディーづくりには、本田が描いた独創的なクルマ・N360の製作に向けて、一体成型された大型パネルによるブロック・ビルド方式が新たに採用された。

その溶接ラインはボディーのサイドパネルやルーフ、フロアなどの各部品を組み立てるサブ・アセンブリー溶接工程と、各部品を立体のボディーとして組み立てるメーン・アセンブリー溶接工程、さらに車体が形づくられた後の増し打ち工程により構成された。

1967年に入ると、N360の生産設備として開発されたボディー溶接システムが、狭山製作所(現、埼玉製作所狭山工場)の溶接ラインに設置された。これは、サブ・アセンブリー工程にPW(Press Welder)方式の溶接機を、メーン・アセンブリー工程には総合溶接機・GW(General Welder)を備えたものであった。いずれもボディーの溶接精度と品質の向上、工程短縮を狙い、開発されたが、PW方式の溶接機は溶着率が低く、人の手により多くの打点を補正溶接しなければならないという課題があった。

また、GWは1工程でボディー全体の骨格をつくり上げる高効率・高品質、そして集約型のシステムであったが、N360、LN360シリーズ機種の段取り換えには、数時間を要する専用機に近い溶接機であった。

さらに、増し打ち工程では、太い2次ケーブルでつながったポータブルの溶接ガンが天井から多数ぶらさがり、作業者各自が重い溶接ガンを持って溶接作業をしていた。これは作業者にとって大変辛いもので、この環境を職場の仲間たちは、いつしかポータブルジャングルと呼んでいたのであった。

N360は月産5000台の計画で立ち上がったが、1967年3月の発売と同時に爆発的なヒットになったことから、増産対応のために大幅なラインの改造が重ねられた。

溶接機の設計担当だった前沢信次(のぶじ)(当時、狭山製作所第2工場技術主任)は言う。
「N360のような専用ラインは生産変動に伴い、機種ごとに莫大な投資が必要になる。Hondaでも将来は多機種にわたるクルマをつくることになると思うが、これからの溶接ラインは、そのことを考えていかなければ駄目だと、よく議論していました」。

1969年に入ると、鈴鹿製作所でのHONDA1300(以降、H1300)生産に当たり、狭山製作所第2工場(旧、工機工場)とH1300特別計画室により、サブ・アセンブリー工程のPWが改良され、さらにメーン・アセンブリー工程用のスライドGWが開発された。このスライドGWは、多機種生産対応として、本体とフィクスチャー(溶接機能を持った)治具を分離できる構造にすることで機種チェンジも容易になり、段取り交換は15分程度で終えることができるようになったのである。

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1969年5月、HONDA1300の生産に当たり鈴鹿製作所に設置されたスライドGW。ボディーがセットされると両側の溶接治具がボディーを挟み総合溶接を行う
〔写真提供 池田雄二氏〕

翌1970年には、GWの本体と溶接専用治具を、自動で切り換えるチェンジ機構を備えたスライドGWが、狭山製作所の溶接ラインに導入された。それによって、狭山・鈴鹿両製作所の溶接ラインにおいて、同機種を流すことが可能となっていくのである。

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