エキスパートを生み出すシステム

エキスパートを生み出すシステム

「1人の天才能力にかわる集団能力を、いかに組み合わせ、それを全体として向上させていく仕組みを、どのようにしたら作れるか」。
1960年5月に開かれた管理研究会の専務講話の中で、藤澤武夫は全管理職に対して、この問いを投げ掛けた。
1人の天才とは、言うまでもなく本田宗一郎である。

藤澤は、4輪業界への進出を視野に入れ、各々の技術分野で優れた専門能力を有する人・エキスパートを育て、彼らの力が最大限に発揮できる仕組み、体制づくりを着々と進めた。

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1961年11月、(株)本田技術研究所の新社屋完成を記念し、全員が勢ぞろいした

1956年5月、Hondaは埼玉・浜松両製作所の設計部門を統合し、白子工場内に本社設計部を設置し、技術研究所独立への布石を打った。翌1957年6月には、本社・製作所とは別個に独立した組織を有する技術研究所として発足した。
1960年7月1日、(株)本田技術研究所として念願の独立を果たし、本田技研と一体不可分の関係を維持しつつ、独自な研究機構の中で旺盛な開拓精神の発揚が図られる組織体制を創った。1961年11月には、当時の埼玉県大和町(現・和光市)に新社屋が完成した。

1973年11月、2輪車の研究・開発部門が独立し、朝霞研究所として発足した。これに伴い、和光市の研究所は和光研究所と称されるようになり、4輪と汎用製品の研究・開発を担当することとなった。
また、2輪のレース活動のために、1973年3月に(株)ホンダレーシングサービス(RSC)を設立し、1978年には朝霞研究所内にNR(ニューレーシング)部門を設置。1982年9月にRSCとNRを統合して(株)ホンダレーシングが発足した。
その後も業容の拡大に伴い、1974年9月に燃料供給装置の研究開発を行う(株)ホンダ気化器研究所、1976年8月に用品開発を行う(株)用品研究所、1988年4月に電子制御システム関連の重要機能部品を開発する朝霞北研究所、1979年5月に汎用製品の研究・開発を行う朝霞東研究所が発足した。
1982年4月、栃木県芳賀町に完成した新社屋に4輪の開発部隊が徐々に移転し、1986年4月に栃木研究所としてスタートした。
これと同時期に、重要新技術・創造的新技術を自らの手で生み出す研究体制を確立すべく、和光研究センターを設置。同センターは1991年1月に和光基礎技術センターと改称して発足した。

1958年5月、荒川河川敷に本田技研専用の高速テストコースが完成した。
1979年4月には栃木県の芳賀・高根沢工業団地内にテストコース・栃木プルービングセンターを完成。1996年5月には、北海道・鷹栖町に総合試験場・鷹栖プルービングセンターが開所した。これによって、世界の主要道路をシミュレートした状況下でのテスト走行が、日本国内でも可能になった。
アメリカでは1990年5月にカリフォルニアのモハビ砂漠にテストコース、ホンダ・プルービングセンター・オブ・カリフォルニアが完成。オハイオ州では、オハイオ州立大学の研究機関であるトランスポーテーション・リサーチ・センターを1988年1月にホンダ・オブ・アメリカ・マニュファクチャリングが取得し、1992年3月にHRA-Oのテスト施設として完成させた。

研究開発部門の主要な海外拠点は次の通りとなっている。
●ホンダR&Dアメリカズ(HRA)
●ホンダR&Dアメリカズ・オハイオ(HRA-O)
●ホンダR&Dヨーロッパ・ジャーマニー(HRE-G)
●ホンダR&Dヨーロッパ・U.K.(HRE-U.K.)
●ホンダR&Dサウス・イースト・アジア(HRS)
●ホンダR&Dタイランド(HRT)

1960年7月、『私の記録』が全社的に実施された。企業に働く人たちの日々の活動の記録こそが企業の成長の姿だという、藤澤武夫(当時、専務)の発案からスタートしたのである。

1965年8月発行の、『組織の独創性を求めて』と題するホンダ社報臨時号の中で、役員室は、エキスパートとしての昇進の道を明らかにし、彼らがいつでもその能力をフルに発揮し得る組織が必要であるとの認識を表明。同年10月には、資格制度が近く発足することを従業員に告知した。
1966年8月には資格制度委員会が発足。まず、コストリサーチグループ(CRG)に携わる人たちの活動の記録を研究材料として、その内容を分析した。結果、資格制度委員会は記録制度委員会に改組され、当面は記録制度としての運営がなされることとなった。

1968年4月、Hondaにおける初の能力資格者・エキスパートとして技術主任・技師・主任技師が誕生。まずは、技術部門から専門職資格制度がスタートした。翌1969年5月には技術管理や営業・経理などの部門でもエキスパートが認定され、最高の資格として技師長も誕生した。
1976年4月、全部門に資格制度が適用されることとなった。技術系と事務系の資格体系を明らかにし、認定期間を従来の1年から2年に延長するなど、多くの改定が図られた。
1994年10月には、役職資格の見直し、技能系資格の新設など、一部改定が実施された。

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Hondaのチャレンジングスピリット

エキスパートを生み出すシステム
  1. エキスパートを生み出すシステムエキスパートを生み出すシステム
  2. 技術研究所の分離・独立 / 1960技術研究所の分離・独立 / 1960
  3. 私の記録、資格制度の導入 / 1960私の記録、資格制度の導入 / 1960
ついに果たした四輪業界への進出
  1. ついに果たした4輪業界への進出ついに果たした4輪業界への進出
  2. S360・T360発表 / 1962S360・T360発表 / 1962
  3. 4輪車の販売体制づくり / 19664輪車の販売体制づくり / 1966
  4. N360発表 / 1967N360発表 / 1967
  5. Honda1300発表 / 1968Honda1300発表 / 1968
  6. CVCCエンジン発表 / 1972CVCCエンジン発表 / 1972
  7. シビック発表 / 1972シビック発表 / 1972
  8. アコード発表 / 1976アコード発表 / 1976
世界に市場を求め、需要のある所で生産する
  1. 世界に市場を求め、需要のある所で生産する世界に市場を求め、需要のある所で生産する
  2. アメリカン・ホンダ・モーター設立 / 1959アメリカン・ホンダ・モーター設立 / 1959
  3. ベルギー・ホンダ・モーター設立 / 1963ベルギー・ホンダ・モーター設立 / 1963
  4. ホンダ・オブ・アメリカ・マニュファクチャリング設立 / 1980ホンダ・オブ・アメリカ・マニュファクチャリング設立 / 1980
展開期に向けての爽やかなバトンタッチ
  1. 展開期に向けての爽やかなバトンタッチ展開期に向けての爽やかなバトンタッチ
  2. 本田・藤澤両トップ退任、河島社長就任 / 1973本田・藤澤両トップ退任、河島社長就任 / 1973
先進性・独創性にあふれた技術・商品群
  1. 先進性・独創性にあふれた技術・商品群先進性・独創性にあふれた技術・商品群
  2. 長円形ピストン・エンジン / 1979長円形ピストン・エンジン / 1979
  3. ホンダマチック・トランスミッション / 1968ホンダマチック・トランスミッション / 1968
  4. カーナビゲーションシステム / 1981カーナビゲーションシステム / 1981
  5. エアバッグ・システム / 1987エアバッグ・システム / 1987
  6. 舵角応動型4輪操舵システム(4WS) / 1987舵角応動型4輪操舵システム(4WS) / 1987
  7. VTECエンジン / 1989VTECエンジン / 1989
  8. MEエンジン(G100・150・200・300・400)シリーズ / 1977MEエンジン(G100・150・200・300・400)シリーズ / 1977
  9. ZEエンジン(GX110・140・240・270・340)シリーズ / 1983ZEエンジン(GX110・140・240・270・340)シリーズ / 1983
  10. DREAM CB750FOUR / 1969DREAM CB750FOUR / 1969
  11. CG125 / 1975CG125 / 1975
  12. ロードパル / 1976ロードパル / 1976
  13. シティ / 1981シティ / 1981
  14. NSX / 1990NSX / 1990
  15. オデッセイ / 1994オデッセイ / 1994
  16. 電気自動車・Honda EV PLUS / 1988電気自動車・Honda EV PLUS / 1988
  17. 携帯発電機・E300 / 1965携帯発電機・E300 / 1965
  18. 歩行型芝刈機・HR21 / 1978歩行型芝刈機・HR21 / 1978
  19. ミニ耕うん機・F200『こまめ』 / 1980ミニ耕うん機・F200『こまめ』 / 1980
ものづくりの本質を追求するHondaの生産技術
  1. ものづくりの本質を追求するHondaの生産技術ものづくりの本質を追求するHondaの生産技術
  2. ホンダエンジニアリング設立 / 1974ホンダエンジニアリング設立 / 1974
  3. 世界一コンパクトな溶接ライン / 1982世界一コンパクトな溶接ライン / 1982
  4. 箱物部品のモジュールトランスファーライン / 1981箱物部品のモジュールトランスファーライン / 1981
  5. 塗装自動化ライン / 1988塗装自動化ライン / 1988
レースへのあくなき情熱
  1. レースへのあくなき情熱レースへのあくなき情熱
  2. 鈴鹿サーキット完成 / 1962鈴鹿サーキット完成 / 1962
  3. 2輪世界GP参戦 / 19792輪世界GP参戦 / 1979
  4. F1参戦 - 第1期 - / 1964F1参戦 - 第1期 - / 1964
  5. F1参戦 - 第2期 - / 1983F1参戦 - 第2期 - / 1983
  6. インディカー・レース参戦 / 1994インディカー・レース参戦 / 1994
  7. ツインリンクもてぎ誕生 / 1997ツインリンクもてぎ誕生 / 1997
アイデアを出して大いに遊ぶ
  1. アイデアを出して大いに遊ぶアイデアを出して大いに遊ぶ
  2. 創立15周年を京都で祝う / 1963創立15周年を京都で祝う / 1963
  3. オールホンダ・アイデアコンテスト開催 / 1970オールホンダ・アイデアコンテスト開催 / 1970
自然と人々と社会との共生
  1. 自然と人々と社会との共生自然と人々と社会との共生
  2. 安全運転普及本部発足 / 1970安全運転普及本部発足 / 1970
  3. Honda・フランツ・システム車の開発 / 1982Honda・フランツ・システム車の開発 / 1982
  4. ホンダ太陽・希望の里ホンダ・ホンダR&D太陽設立 / 1992ホンダ太陽・希望の里ホンダ・ホンダR&D太陽設立 / 1992
  5. ふるさとの森づくりスタート / 1977ふるさとの森づくりスタート / 1977
  6. 『お礼の会』開催 / 1991『お礼の会』開催 / 1991